【第7回】

撮って撮って撮りまくったぜ! ビデオプレビュー

(00/11/10)


 フォトレタッチ、3D CG、ビデオ編集…マルチメディア系のオンラインソフト“だけ”でネットアイドルをプロデュースしよう! 窓の杜のネットアイドルだから、略して“杜ドル”だ。歌って踊れるネットアイドルのプロモーションビデオをつくってストリーミング配信するまでの奮闘記!! 今回はビデオ撮影の模様とプレビュービデオを紹介する。

 オンラインソフトを使って窓の杜のネットアイドル=“杜ドル”をプロデュースするこの企画。杜ドル・まのりが歌うオリジナルソング「Going Ahead」も完成し、いよいよこの曲の上に乗る映像づくりにとりかかることになった。えーと、はじめにやらなきゃいけないことって何だったっけ?

はじめにやること……やっぱビデオのプレビューでしょう

Y副編集長:「前回の最後で、次は3D CGだ! って書いてあったけど、まだ映像見てないんだよね。だからCGはおいといて、映像を見せてよ、映像を。じゃ」
モッティ:「……。」

 杜ドル・まのりの歌うオリジナルソング「Going Ahead」は聴いていただけただろうか? プロに頼んだだけあってなかなかの出来だとワタクシことプロデューサーことモッティ的には自負しているんだけど、読者の皆様はどんな感想をもったのかなぁ? ま、ひとまず音楽はおいといて、今度はその上にかぶせる映像づくりだ。前回の最後に「いよいよ3D CG制作に乗り出す」と書いたもんだから「モデリングはメタセコイア、アニメーションはBlenderで、合成は…」とかいろいろ考えていたのだが、そんなときに編集部から電話(くどいようだが、着信音は帝国軍のテーマ。理由は第1回参照のこと)。Y副編集長じきじきの電話だ。

 そうでした。前回ちょこっと触れたように、すでにビデオ撮影は済んでいる。それも、まのりの実家付近の大自然に囲まれたところと、東京の街中での2回分が完了しているのだ。これを読者の皆様にお見せしなければ! つーことでは曲と映像のマッチングをつかむためにも、使うシーンを紹介しながら“プレビュー版”をつくってみることにした。

杜ドルビデオプレビュー:大自然編

 まのりの実家付近で撮影した日は秋に差しかかった頃だったのだが、とてもむし暑かったのを覚えている。撮影は基本的にはモッティだが、編集K氏もカメラを回している部分がある。

 まずは、山や川といった自然をバックに、ゆっくりと歩いているシーンが欲しかったので、田んぼ、お寺、川といった場所でまのりに歩いてもらって、それを遠くから三脚で固定させたカメラで狙い、さらにいっしょに歩きながら横顔を押さえてみた。複数の場所で同じようなショットを押さえておけば、それを前後につなぎあわせるだけで、「まのりは同じように歩いているのに背景が変わる」というような面白い効果をだせるかもしれない。

 つづいて、さらなる自然を求めて山のほうを探索しているときれいな林を見つけた。木漏れ日が落ちるような林の中、まのりを歩かせてビデオを撮る。第4回で紹介した静止画で、まのりがトンボを捕まえたのはこの林だ。

 いちばん長くビデオを回していたのは川原だ。まのりに「きれいな川があるけど、その中に入ったりするのはどう?」とたずねると、「川の中大好きだよ!」という自然の中で育った子らしい答えが返ってきた。でも、ただ川の中でバシャバシャやっているのを撮っても面白くないから、歌って踊っているところを撮ってみよう! ということになった。やっぱりプロモーションビデオは歌っているところがないと話にならない。だけど、この時点ではオリジナルソングは未完成なので、まのりのお気に入りである宇多田ヒカルのCDをラジカセでかけながらの撮影となった。口パクと歌詞が合わなくなっちゃうかもしれないが、細かくカットしていけばなんとかごまかすことも不可能じゃないぜ!

 昼食時もカメラをまのりの前においてずっと回しておいた。早送り再生で見ていると、まのりはほとんどずっと笑いっぱなし。まぁ、モッティ、編集K氏がこっちで笑わせようといろんな話をしているからあたりまえなんだけど、笑っている表情も映像の中に挿入していけば効果的だ。曲にあわせていろんな表情をストップモーションにして見せるなんていうときに使えそうだ。

 そのほか、公園でブランコをしたり、子供用の遊具で遊んでいるシーンを押さえた。滑車につかまって向こう岸まで渡るようなミニアスレチック施設もあって、無邪気に遊んでいるシーンは、映像の中に断片的に入れていけばアクセントになるはずだ。ちなみに、いちばん無邪気に遊んでいたのは編集K氏だったような気がする…。

杜ドルビデオプレビュー:東京編

 レコーディング当日のバタバタは前回紹介したとおりだけど、まのりがマイクに向かって歌っているところもバッチリとビデオに収めてある。ヘッドフォンをして真剣な表情で歌っているシーン、歌詞が書いてある紙に注意点をメモしているシーン、緊張がちょっとほぐれて笑っているシーンなど、ここでもいろんな表情が撮れた。ここではオリジナルソング「Going Ahead」を歌っているので、口パクと歌詞もピッタリと合うはず。

 レコーディングの翌朝から東京での撮影開始だ。音楽制作の岡村 正章氏が「Going Ahead」の歌入りバージョンをCD-Rに焼いてくれたので、お台場海浜公園でそれをラジカセで鳴らしながら歌っているシーンを撮影した。大自然編で撮影した山と対比しても面白い“画”になるぞ。お台場海浜公園は早朝でまだ人出も少なかったが、さすがに屋外で歌っているところをビデオに撮られているのは恥ずかしそうだった。でも、自分の持ち歌を持っている人は少ないし、こんなことで恥ずかしがっていたら大物にはなれないぞ>まのり!

 お台場に立ち並ぶ高層ビル群の中のショットを押さえた後、ゆりかもめに乗ってみた。車内には乗客もまばらでほとんど貸し切り状態。当然ここでもラジカセで曲をかける。東京湾岸の景色をバックに歌う「Going Ahead」も撮影済みだ。

 お台場での撮影を終えたら、この日のメインイベントである原宿の路上での撮影にGO! まのりも「ラフォーレ行くんだ!」と別の意味で(?)期待が高まっている。まずは表参道の人ごみの中を歩いているシーンを撮影。これも固定カメラと移動カメラの両方で押さえた。移動時にもカメラから三脚は外さなかったので、街中を歩くときにはほかの人にぶつからないようにけっこう気を遣う。

 三脚を据えてまのりが歩いて行くのを後方から撮っていると、露店のお兄さんがまのりに声をかけているじゃないか! お店の人と話をしてるシーンが撮れるチャンス! とばかりに急いでカメラを担いで行ってみたが、まのりはお兄さんの誘いを振り切って歩いていってしまった。うーん残念。じゃぁ、もう一回今のところを通りかかって、今度はちゃんと露店をのぞいてくるよう、まのりに指示を出す。遠くからそれをビデオで狙う作戦だ。

 果たして露店のお兄さんは再び声をかけてくれた。お兄さんには悪いけど、バッチリと隠し撮りさせていただいた。しばらくしてモッティと編集K氏が露店に近づき事情を説明すると、気のいい露店のお兄さんは撮影とインターネットでの公開を承諾してくれた。この露店で売っているのは、アンティーク食器を加工してつくった指輪などのアクセサリー。まのりも銀のスプーンをその場で加工してもらい、指輪をつくってもらった。本来なら撮る前に相手に許可を求めるべきで、すでに撮ってたものを「使っちゃイカン!」ということであれば、ここのカットはもちろんお蔵入りするつもりだった。表参道のシェーキーズ前あたりによく店を出している、関西弁の陽気なお兄さん、ありがとうございます!!

 表参道の撮影が済んだ後、ちょっと自由時間。ここで、まのりお待ちかねのラフォーレに突入する。気に入った洋服があって、それが撮影で使えそうだったら衣装として買っちゃおう! ということでまのりは気合を入れて選んでいるようだ。でも、まのりが選んだ服は地味な色のフード付スウェット。うーん、空も曇ってきたし、この色じゃ映り栄えしないぞ、ということでモッティが臨時スタイリストになる。派手めの色で、それでいて大人っぽくなりすぎないような服…くすんだピンクのシャツとどピンクの五分丈スウェットを選んでみた。さいわい、まのりも気に入ってくれたみたいで、ちょっとホッとする。

 新しい衣装に着替えて、今度は竹下通りを原宿駅の方へと歩く。ここでの撮影は、竹下通りの出口に立ち止まっているまのりを、駅のほうから固定カメラで狙うというもの。後でまのり以外の部分をぼかして使おうという意図だ。ビデオ編集ソフトでコマを落して、ストップモーションにしてやればより印象的なカットになる。

 そんなこんなしている間にだんだんと日が傾いてくる。秋から冬にかけての屋外撮影はお日さまとにらめっこで行わなければならない。あと数カット撮影したところで日没、撮影終了だ。

 今回、ビデオキャプチャおよび編集に使用したのは、ドイツMainConcept社のシェアウェア「MainActor」。Video for WindowsとDVデバイスの両方に対応したキャプチャ機能やDVカメラ/デッキへの書き戻し機能を備えた統合型ビデオ編集ソフトだ。Adobe Premiere的なタイムラインのインターフェイスを備えているので、直感的に操作ができる。本チャンのビデオを編集するのにも、このソフトなら効率的に作業が行えそうだ。ここまでのビデオプレビューをWMVにエンコードしておいたので、Webからダウンロードして見てほしい。

ビデオプレビュー

WMVファイルの再生
(4.20MB、1分42秒)

 さて、次回こそいよいよ3D CG制作に乗り出す。まずはまのりと共演するかわいらしいキャラクターのモデリングからだ。待て、次回!!!!!!!!!!!!!

■「MainActor」
【著作権者】MainConcept GmbH
【ソフト種別】シェアウェア 85ドル
【バージョン】3.55
□MainConcept GmbH
http://www.mainconcept.com/

(望月 貞敏)


 記事中の映像の制作者は望月 貞敏氏です。映像中の楽曲の作詞者はまのりとその友達、作曲者は岡村 正章氏です。著作権は各氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。
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