【第9回】

3D CGキャラクターと共演させるぞ! モデリング編

(00/11/24)


 フォトレタッチ、3D CG、ビデオ編集…マルチメディア系のオンラインソフト“だけ”でネットアイドルをプロデュースしよう! 窓の杜のネットアイドルだから、略して“杜ドル”だ。歌って踊れるネットアイドルのプロモーションビデオをつくってストリーミング配信するまでの奮闘記!! 今回は共演する3D CGキャラクターのモデリングだ。

 オンラインソフトを使って窓の杜のネットアイドル=“杜ドル”をプロデュースするこの企画。ついにプロモーションビデオ制作の山場、3D CGの制作にさしかかった! 前回はどんなデザインの3D CGキャラクターをどんなシーンに登場させるのかを決定したが、今回は実作業に突入だ。まずは登場人物(生物?)である3D CGキャラクターのモデリング。杜ドル・まのりと共演させるキャラクターだから、愛嬌のあるかわいいキャラクターをつくりあげるぞ!

モデリング=大道具・小道具・メイク・その他もろもろ、なのだ!

 「オンラインソフトを使ってネットアイドルつくりませんか?」という窓の杜副編集長Y氏のひとことから始まった“杜ドル”プロモーションビデオ制作大作戦も、ついに3D CG制作までたどりついたぜ! いやぁ、思えば山あり谷ありだったなぁ…なんて感傷に浸っているヒマはない。なにしろ3D CG制作は作業的にはいちばんの難所。これにひとりで立ち向かっていかなければいけないのだ!

 とかいいつつ、ワタクシことモッティはCGの現場に首を突っ込みつづけることを生きがいとする“CGやじうま”であるので、実はわくわくだったりする。特に今回はモデリング。モデリングは好きなんだよねぇ。つくりっぱなしでアニメーションやレンダリングをしてないことが多いけど(苦笑)。

 さて、モデリング、レンダリングなどと3D CG用語が登場しているので、実作業に入る前にちょっと説明しておこう。3D CGの制作過程は、よく映画の制作過程に例えられる。映画の制作では、撮影スタジオやロケ地にセットを組み、そこで役者が演技する様子をカメラマンがいろいろな角度から撮影することでフィルムができあがる。3D CGの場合は、パソコン内のバーチャル3D空間にオブジェクトを配置し、その中でキャラクターが動く様子を任意の視点からレンダリングすることでアニメーションを作成できる。このうちのオブジェクトやキャラクターを作成する作業がモデリングになる。映画の制作でいえば、セットとなる大道具や小道具、はたまた役者そのものをつくったり、役者にメイクを施したりする作業にあたる。

 3D CGソフトの中には統合ソフトといってモデリングからアニメーション、レンダリングまでこなすものもあれば、特定の作業に特化したものもある。モデリングに特化したソフトは“モデラー”と呼ばれている。今回はモデリングには専用のモデラーを使用することにした。今回使用するモデラーに選んだのは「Metasequoia」(メタセコイア)。国産のシェアウェアモデラーで、その使いやすさと高い機能でプロの3D CGクリエイターにも愛用者が多い。“メタセコ”なんて愛称で呼ばれている。多角形ポリゴンを基準にして立体を構成するタイプのモデラーで、ポリゴンを構成する頂点を打って面を貼ったり、球や直方体などのプリミティブ(基本的なモデル)を変形させたりしながら立体の形をつくりあげていく。4つの頂点から構成されるポリゴンを滑らかな曲面に変換する機能をもっているので人物や動物など有機的物体のモデリングにも強い。

 また、「Metasequoia」は数多くの3Dファイル形式の読み込みと保存が可能なので、統合型の3D CGソフトに付属するモデラーが使いにくい場合に代用するためのソフトとしても人気がある。杜ドルプロモーションビデオの作成には、アニメーションとレンダリングで慣れた「Blender」を使おうと考えているが、モッティ的には「Blender」に組み込まれているモデラーよりも「Metasequoia」の方が使いやすいというのが「Metasequoia」を選んだ真相だ。「Metasequoia」からはDXF形式かVRML形式でデータを出力しておけば、難なく「Blender」にデータを引き継ぐことができる。

プリミティブから制作開始!

 さて、前回恥ずかしながらも公開した、3D CGキャラクターのラフスケッチをもとにモデリングを開始する。キャラクターアニメーションをさせるときに、すべての要素を一体成型してしまってひとつのオブジェクトにしてもいいのだが、アニメーションさせるときには別パーツになっているほうが、必要なパーツを動かすだけで済んで都合がいい場合もある。ここでも目をパチクリさせたり、歩いているときにしっぽをフニフニと動かしたいから、目としっぽの部分は別パーツでつくることにする。頭のてっぺんから足までは一体成型にして、「Blender」にもっていったときに“スケルトン”という骨格を入れて動かすつもりだ。

 制作の方針としては基本モデルのプリミティブを変形して体全体の形をつくり、手、足、耳にあたる部分はポリゴンを押し出して整形するという順番でいく。キャラクターを前から眺めたシルエットとしては直方体からつくっていくほうがよさそうなのだが、横から眺めると前の部分がふっくらと盛り上がらなければいけない。ここは球を押しつぶした形をベースにしてみよう。

 まずはコマンドパネル内の[システム]→[物体設定]で曲面の制御を[曲面タイプ1]にしておく。これで4角形ポリゴンは滑らかな曲線に変換される。次に基本図形の球を3D空間のまんなかに配置する。詳細設定の[すべての面を四角形にする]をチェックしておいた。これを前後(Z軸)、左右(X軸)の両方向に押しつぶして石鹸みたいな形にして体のベースにする。[拡大]コマンドでZ軸、X軸のボタンをそれぞれ押しながらマウスドラッグした。

 手、足、耳の押し出しの前に、オブジェクト設定のミラーリングで[左右を接続した鏡面]にチェックを入れる。さらに、石鹸みたいな形を正面から半分に切ってしまい、右側だけ残しておく。こうしておくとミラーリング機能がONになり、片方の足をつくるともう片方の足もできてしまうので便利だ。では早速押し出し開始。押し出したい部分のポリゴンをそれぞれ4つ~8つずつ選択しておいて[選択部処理]メニューの[面を押し出す]で押し出す。このとき[通常の押し出し]じゃなくて[押し出しベベル]にチェックがついているとひとつひとつのポリゴンがそれぞれ押し出されて角が何本も生えたみたいになってしまうので注意が必要だ。コマンドパネルの[押出]ボタンでも角が生えてしまうのでこちらは使わない。

面の押し出しで手足をつくる イメージに合わせて何度も調整
面の押し出しで手足をつくる イメージに合わせて何度も調整

 アニメーションさせるときにはポリゴン数が多い方が滑らかな動きになりやすいのでそれぞれ2回くらい押し出しておく。体全体の細かい形は[回転]、[拡大]、[移動]などのコマンドを使って整えていく。メタセコイアでは頂点、辺、面など、選択した個所をマウスドラッグすることによってさまざまな編集効果がかけられる。粘土をこねる感じでイメージに近づくように、何度も調整を行う。

目&しっぽは別パーツで

 次に、オブジェクトパネルで[新規]ボタンを押して新規のオブジェクトを作成する。こうしておけば同一のファイルにキャラクター全体を保存したとしても、分けておきたいパーツは分かれたままで保存される。

 では、まずは丸い方の目からいこう。これも本体と同じように球を押しつぶして形を整える。こうしてつくった目を、本体の顔の部分に移動して位置合わせをする。目全体を選択しておいて[選択部処理]メニューの[面の鏡像を作成]を行えばもう片方の目も左右対称の位置にできあがる。つぶった方の目をつくる場合も新規のオブジェクトを作成してからだ。目をつぶったところは直方体を組み合わせてつくる。丸いほうの目と同様に位置合わせをした後で[面の鏡像を作成]で反対側の目もつくってしまう。

 オブジェクトパネルの左側にある目のアイコンをクリックすると、そのオブジェクトの表示、非表示が切り替わるので、目のパチクリする感じを確認しておく。これはちょうどPhotoshopのレイヤーパレットに似た機能だ。さらに、しっぽも別パーツ。ここは単純に球でいいだろう。球を適当な大きさに縮小しておしりの部分に位置合わせすればOKだ。とりあえず形はできてしまった。

 続いてカラーリングといきたいところだが、表面の質感設定は基本的に「Blender」で行うので今回は仮に本体をピンク、目を黒で塗っておいた。3Dオブジェクトをソフト間でやり取りする場合には、質感設定情報がなくなってしまうことが多い。パーツ分けさえしっかりしておけば質感設定は後からでも大丈夫だ。今回は「Metasequoia」の独自ファイル形式であるMQOファイルにセーブして作業終了だ。

3D CGキャラクターの完成
3D CGキャラクターの完成

 と、ここまでの所要時間1時間足らず。我ながらちょっと簡単すぎるデザインだったかもしれないけど、まいっか。後はこいつにカワイイ動きをつけて実写と合成して…って次回、すげー大変じゃん! 大丈夫なのか>モッティ? 待て、次回!!!!!!!!

■「Metasequoia」(メタセコイア)
【著作権者】O.Mizno 氏
【ソフト種別】シェアウェア 5,000円
【バージョン】2.1.2(2000/11/19)
□Mizno Lab.
http://www1.sphere.ne.jp/mizno/

(望月 貞敏)

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