ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第106回】

「RouteChanger」

IEのスタートページとプロキシー設定を曜日や時間帯によって自動で使い分ける

(00/11/27)

 インターネットをほぼ一日中活用しているという人は今では少なくなくなった。1台のノートPCを会社と自宅で使っているビジネスマンはもちろん、SOHOの在宅ワーカーや専業主婦たちが、最近普及しつつある低価格な常時接続サービスなどを利用し、暇さえあればPCの前に座っているということも決して珍しくないようだ。しかし、平日の昼間は仕事に、夜間や休日は趣味に、という風に曜日や時間帯によってWebブラウザーの用途やインターネットの接続環境が違ってくると、IEが最初に開くスタートページやプロキシー設定なども使い分けたいという欲求はおのずと出てくる。そこで今回は、曜日や時間帯によってこれらの設定を自動的に使い分けられるソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……IEのスタートページやプロキシーの設定を一発切り換え

「RouteChanger」v1.00  「RouteChanger」は、IEのスタートページやプロキシーの設定を簡単に切り換えられる常駐ソフトだ。設定パターン2つをタスクトレイから切り換られるだけでなく、曜日や時間帯により自動で設定が切り換わるようにできるのが特長。例えば1台のノートPCを会社と自宅で使うなら、「RouteChanger」によって普段会社にいる昼間は自動的にIEのスタートページが仕事用のビジネスサイトになり、IEは社内専用プロキシーを使う設定になるが、夜間や休日には自動的にIEのスタートページが趣味の音楽サイトになり、IEはプロキシーを使わなくなる、といったことが可能なのだ。もちろんデスクトップPCなどプロキシー設定を変える必要がない場合でも、昼は株価情報サイト、夜はアイドルサイトという風にスタートページだけ自動で切り換える使い方もできる。

 「RouteChanger」をインストールすると、スタートアップに「RouteChanger」のショートカットアイコンが登録され、起動するとタスクトレイに常駐する。まず最初はこのタスクトレイアイコンをクリックし、各種設定を行う必要がある。「RouteChanger」で切り換えられるIEの設定は大きく分けて、プロキシーに関する設定、スタートページの設定、インターネットの接続方法の設定、曜日と時間帯の設定の4種類だ。これら4種類の設定を1つの設定パターンとして[設定1]というグループに登録し、これとは別の設定パターンを[設定2]というグループに登録しておくことができる。すなわち例えば[設定1]には会社でPCを使うときのスタートページURLやプロキシー設定を登録しておき、[設定2]には自宅でPCを使うときのスタートページURLやプロキシー設定を登録しておけるわけだ。

 [設定1]と[設定2]にはそれぞれ好きな名称、例えば“会社”と“自宅”などと名前をつけられる。この名前がタスクトレイアイコンのメニューに表示される。あとは、このメニューから[会社]を選ぶと、会社用すなわち[設定1]に登録したIEのスタートページとプロキシーが有効になり、メニューから[自宅]を選べば、自宅用すなわち[設定2]に登録したIEのスタートページとプロキシー設定が有効になるという仕組みだ。

 曜日や時間帯によってIEの設定を自動的に切り換えるには、切り換える曜日と時間帯を「RouteChanger」の設定に登録し、「RouteChanger」を“自動モード”にする。[設定1]には「稼働時間」と「稼働日」という設定項目があり、ここに入力した曜日と時間帯によって[設定1]と[設定2]を自動的に切り換えることができる。稼働時間の入力は24時間制で、開始と終了の時間を数値で登録する。稼働日は月曜から日曜までがチェックボックスになっていて、[設定1]にしたい曜日をチェックしておく。つまり、ここで入力した曜日と時間帯に該当する間は自動的に[設定1]が有効になり、該当しない間は[設定2]が有効になる。

 なお、[設定1]と[設定2]ではそれぞれインターネットの接続方法としてLANかダイヤルアップかを選択できるが、ダイヤルアップを選択した場合でダイヤルアップの接続先が複数あるときは、IEのインターネットオプションで[標準設定]になっているダイヤルアップ先が常に使用される。

ここがスゴイ!……曜日と時間帯により自動的に設定変更

設定1はプロキシーありでLANを使う会社用にする  「RouteChanger」のスゴイところは、単にスタートページやプロキシーを一発で切り換えるだけに終わらず、切り換えを曜日と時間帯でスケジュール化することで自動化しようという発想にある。タスクトレイから切り換えられるだけでも便利だが、それも毎日手動で行うとなると手間に感じることもあるだろう。これをユーザーが意識せず自動化できるのはありがたい。確かにノートPCを持ち歩くビジネスマンも、平日の昼間はたいてい会社、夜や休日はたいてい家にいるわけで、規則的な生活をしていればIEの設定を切り換えるスケジュールはだいたい決まるものだ。もちろん手動で切り換えることも簡単にできるから、残業など例外的な場合にも対応できる。

こんな場合に便利……モバイル派の人や、スタートページを使い分けたい人に

設定2はプロキシーなしでダイヤルアップの自宅用に  モバイル派の人はもちろん、デスクトップユーザーでも曜日や時間帯によるスタートページの使い分けをしたい人にはオススメだ。例えば仕事の関係でスタートページを株価情報のようなビジネス関係のWebページに設定している人なら、株式の取引がない夜間や休日は趣味のWebページに設定しておくのもいいだろう。また家族で1台のPCを共有して使っている家庭なら、夕方までは子ども向けのサイトをスタートページに設定しておき、深夜は大人向けのサイトをスタートページに設定しておく、といった使い方もよさそうだ。

使用上の注意は?……設定は2つまで、常駐させずに使うことはできない

 さて、実際に使っていて最も気になったのが、切り換えられる設定パターンが2つまでということだ。会社と出先と自宅、または朝と昼と夜と深夜、といったように3つ以上の設定パターンを使い分けたい要望は、多くのユーザーにあるだろう。また、常駐ソフトはシステムリソースの消費が気になるという人のために、起動時の時間によりIEの設定を切り換えた後、「RouteChanger」本体はすぐに終了するような“非常駐”で使える起動時オプションなどもあるといいと思われる。これらは今後の改良に期待したい。

【著作権者】中澤 泰隆 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.00(00/11/11)

□作者: 中澤 泰隆
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an021284.html

(ひぐち たかし)

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