【第107回】

「ブックススケジューラ」

書籍やコミックの新刊情報をWebから収集して新刊検索やメール通知が可能

(00/12/04)

 インターネットの利用時間が増え、かわりに小説やコミックなど紙の本を読む時間が減ったという人も多いようだが、それでも好きな作家たちの新刊くらいはチェックしておきたいものだろう。しかしいくら好きな作家といっても、新刊情報について常に敏感でいるのはなかなか難しい。書店から足が遠ざかっている人ならなおさらだ。最近は出版社や書店のWebサイトで新刊案内をしているところもあるが、そういった書籍情報のWebサイトを定期的に見に行くこと自体、ついつい忘れがち。そこで今回は、Webから新刊データを収集し、気になる作家の新刊発売予定をメールで通知することもできるという、新刊専用の書籍情報検索ソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……新刊情報をWebから収集し、検索したりメール通知ができる

「ブックススケジューラ」v1.2.2  「ブックススケジューラ」は、書籍やコミックなどの新刊情報をインターネットのWeb上に複数ある書籍情報サイトから収集し、新刊情報を検索したり、検索結果をメールで通知できるソフトだ。書籍タイトルや著者名などをキーワードにして発売日や価格、ISBNなどの詳細な書籍情報を検索でき、一覧表に見やすくリストアップする。多数の書籍が検索でヒットしてもタイトル名や発売日でソートして目的の新刊を素早く探し出せるほか、正確な書籍タイトルやISBNもわかるため、書店の店頭で注文するときに間違いがない。また、あらかじめ好きな作家名などを登録しておくことで、該当する書籍がWebから収集した新刊データの中に含まれていれば、その新刊情報を自動的にメールなどで通知してくれる。いわば新刊専用のスケジューラーとして使えるのが特長だ。

 「ブックススケジューラ」では、書籍情報のWebサイトから新刊案内のWebページを一旦HDDにダウンロードし、その際に書籍名や著者名、発売日といった新刊データの部分だけを自動的に取り込んで独自にデータベースを構築する。したがって新刊データのダウンロード後は、オフラインでいつでも新刊をキーワード検索できるようになる。検索の際は、書籍タイトル、著者名、シリーズ名、出版社名、ISBNなどで検索でき、発売日の範囲を指定して検索することも可能だ。検索結果は、著者名や発売日などのデータ項目ごとに正順や逆順でソートできる一覧表で見やすく表示される。

 新刊データ収集の対象にできる書籍情報サイトは、日本出版販売が運営している“本やタウン”をはじめ、集英社、小学館、祥伝社、白泉社、照林社などの書籍を扱っている“s-Books”、さらに角川書店のWebサイト、白泉社のWebサイト、小学館のWebサイト、および図書館流通センターのWebサイトの6種類。それぞれのサイトについて、データ収集の対象にするかどうかはユーザーが選択できるが、これらすべてのサイトをデータ収集対象にするとWebからのデータダウンロードに時間がかかるので注意しよう。小学館や白泉社の書籍のように同じ新刊データが複数のサイトに掲載されている場合もあるので、自分に必要な書籍情報サイトだけを収集対象に指定するのが効率的だ。

 一旦新刊データをダウンロードした後は、書籍タイトルや著者名などの検索キーワードを入力して新刊検索できるようになる。キーワード検索した結果は書籍タイトルや著者名、価格、発売日、出版社などが一覧リストに表示され、リストの中から1つをダブルクリックすればその書籍に関するISBNもダイアログで示される。またダイアログに表示される[Webサイト]ボタンを押すと、インターネットへの接続確認をしたのち、その書籍情報を入手したインターネット上のWebページをWebブラウザーで開いてくれる。そのため書籍情報を入手したWebサイトによっては、書籍の大きさやページ数、内容の概略、表紙の図柄などを知ることもできる。

 また、あらかじめ好きな著者名や書籍タイトルなどをいくつでも“お気に入り”として登録しておくことで、気になる新刊を簡単に一括検索できる機能がうれしい。登録できるのはタイトル、シリーズ名、著者名の3種類で、これらをAND条件にして1つの“お気に入り”作品の検索条件とし、複数の“お気に入り”作品を登録しておくことが可能だ。例えば“お気に入り”作品の1つ目には著者名を「デヴィ」とし、タイトルには「よろしいかしら」と登録しておいて、“お気に入り”作品の2つ目には著者名に「石原慎太郎」と登録しておけば、今話題のデヴィ夫人の新刊と石原慎太郎東京都知事の新刊を一括して検索することもできるわけだ。

 さらに、検索結果を任意のメールアドレスにメール送信する機能もある。メール送信はウィンドウメニューからユーザーが手動で送信できるほか、ダウンロードした新刊データの中で“お気に入り”に登録してある条件に該当する新刊情報があれば、その内容をダウンロード終了後ただちに任意のメールアドレスに自動でメール送信するよう設定できる。例えばタスクスケジューラーと組み合わせれば、インターネット回線が比較的すいている深夜の時間帯に「ブックススケジューラ」が自動的に新刊データをダウンロードし、そのうち“お気に入り”に登録してある作家の新刊情報だけをユーザーのメールアドレス宛に自動送信する、ということが可能なのだ。また、“お気に入り”の条件に該当する新刊情報は、メールで通知する以外にも、Outlook 98/2000ユーザーならOutlookの“予定表”や“仕事”に自動登録することが可能になっている。

ここがスゴイ!……タスクスケジューラーと連動し発売予定日をメールに自動送信

“お気に入り”の作品タイトルや著者名などを登録  「ブックススケジューラ」のスゴイところは、Web上の新刊発売データを収集して自前で使いやすいように取り込んでしまうことだ。サイトによって見せ方やフォーマットの違うWeb上の情報を、同じデータフォーマットに統一して保存し、検索結果を一覧表にすることで目的の新刊を探しやすくしている。データのダウンロードには時間がかかるが、タスクスケジューラーと連動させることで深夜や早朝のテレホーダイタイムに無人運転もできるし、一度ダウンロードしたデータはオフラインでいつでも検索できる。たくさんの新刊情報をチェックしたい人には便利だろう。

 また、特にスゴイのが新刊情報をメールで通知してくれる機能だ。メールはたいていの人が毎日チェックするものなので気が付きやすいし、例えば通知先を携帯電話のメールにすれば、メールを見ながら書店の店頭で予約することも簡単だ。携帯電話を店頭に持っていけば、ISBNのような覚えにくい番号を紙に書き写す必要もない。読みたい新刊を確実にゲットできるだろう。また仕事のスケジュール管理をOutlookで行っている人なら、「ブックススケジューラ」がOutlookの“予定表”や“仕事”に新刊情報を自動登録する機能は非常にありがたいだろう。

こんな場合に便利……気になる著者の新刊をいち早く入手したいときに

新刊情報をメールで自動通知できる  気になる著者の新刊情報や、好きなコミックの新刊情報などをいち早く確実に入手したいときに便利なソフトだ。週に何冊も読むような本好きはもちろん、話題のベストセラーくらいしか読まないという人も、読んだ作家の次回作を忘れずにチェックしたいときに役に立つだろう。“お気に入り”に作家名を登録してしまえば普段は本のことを忘れていても構わないので、毎日足繁く書店に通う人より、本を読むのは嫌いではないけれど書店に行く機会は少ないという、新刊情報に疎い人にむしろオススメしたい。

使用上の注意は?……データのダウンロード時間に注意、自動化は十分テストして

 実際に使ってみて最も気になったのは、Webから新刊情報をダウンロードするのに時間がかかることだ。ダウンロード対象にするサイトの設定やインターネット回線の混雑状況にもよるが、筆者の試した限りでは1時間以上かかってもダウンロードが終わらないことがあった。やはりこのソフトで定期的に新刊情報をダウンロードして利用するためには、タスクスケジューラーに登録し、深夜や早朝の回線が空いている時間帯に自動ダウンロードする設定にして使うほうがいいだろう。またダイヤルアップで使う場合は、Windowsの設定によってダイヤルアップ接続ダイアログが出たまま止まってしまい、自動ダウンロードを始めないこともあるので、事前に十分動作テストしておこう。

【著作権者】ヴァルヘル 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.2.2(00/12/02)

□ヴァルヘル ホームページ
http://www.vector.co.jp/authors/VA016442/

(ひぐち たかし)

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