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【第111回】

ファンタジーRPG「ルナティックドーン 第三の書」

どう生きるかはあなた次第。まさに人生のRPGなのだ

(00/12/06)

タイトル画面

 最近、めっきりRPGの数が減った。ネットワーク対応のマルチプレイRPGがそれなりの人気を集めてはいるものの、いずれもリアルタイムのアクション系で、1人でじっくり冒険を楽しむタイプではない。しかも海外のタイトルがほとんど。国産の、つまり日本語で楽しめるRPGは激減し、とくにパソコン系は絶滅の危機に瀕している。残念なことだと思う。今回紹介するアートディンクの「ルナティックドーン 第三の書」は、そんな冬の時代でもなお根強い支持を集める、国産RPGのビッグタイトルだ。じっくり腰を据えてプレイする、パソコンらしいRPGを楽しむことができる。

どう生きるかをプレイヤー自身が考えるRPG

ジェネレートされたマップの例
ジェネレートされたマップの例。気に入らなければ何度でも作り直すことができる

 「ルナティックドーン 第三の書」は、1995年に発売された「ルナティックドーン 開かれた前途」、1997年に発売された「ルナティックドーン 前途への道標」に続く「ルナドン」シリーズの3作目。「開かれた前途」から600年前の時代という設定だ。しかしストーリーには直接関係がなく、前作をプレイしたことがなくても問題なく楽しめる。

 「ルナドン」シリーズの最大の特徴は、定められた目的がないという点だ。たいていのRPGには「竜を倒す」とか「悪の支配者を倒す」といった最終目的が用意されているものだが、「ルナドン」にはそれがない。プレイヤーは一市民としてこの世界に生まれ、自分の人生をどう生きるかはまったくの自由。冒険者として精進し、正義の道を貫くこともできるし、悪に身を染めて山賊や強盗になることもできる。正義や悪とは関係なく、商売や金儲けで身を立てる道もある。ファンタジーの世界でどう生きるかを自ら選択するゲーム、それが「ルナドン」なのだ。

自分だけの世界を創って冒険しよう

キャラクターを選ぶ
キャラクターを選ぶ。初めてプレイするなら戦士系がいいだろう

 デモ版を起動したら、まず最初にアップデートのチェックを済ませておこう。画面左上のプルダウンメニュー“ゲーム”を開いて“アップデート”を実行。筆者が試した状態では、5Mバイト程度のアップデートパッチがダウンロードされた。続いて、冒険の舞台となる世界を創る。「ルナティックドーン 第三の書」にはあらかじめ用意されたマップがなく、ゲーム開始時に自動的にマップが創られるようになっているからだ。ジェネレーターがデザインするマップは様々で、都市や国の名前もその都度変わる。秩序と混沌のバランス、武器と魔法のバランス等をマニュアルで指定することもできる。どんな世界を旅するかはプレイヤーのお好み次第というわけ。

 世界ができ上がったら、次はキャラクターの決定だ。自動的に創られたキャラの中から、パラメーターを見ながらもっとも好みに合った者を選ぶ。全体のバランスも重要だが、戦士系なら“筋力”、魔術師系なら“知力”が高いほど有利なのは当然のこと。またゲーム開始時の年齢が若いほどパラメーターが低い傾向にあるが、そのぶん成長が早くなる。意外に重要なのが“魅力”で、これが低いとパーティーに仲間が加わらなかったり、チームをきちんと統率できないこともある。できれば50以上のキャラを選びたい。

 操作はすべてマウスを使って行う。ゲームというよりはむしろOffice系のアプリケーションに似たデザインで、ウィンドウやダイアログを自由に配置してプレイすることができる。

最初は“宅配”から始めよう

街の酒場で仕事を探す
街の酒場で仕事を探す。「宅配」と「買物」がお手ごろだ

 このゲームは何をするのも“自由”なので、最初のうちは目的がはっきりと見えてこないかもしれない。とりあえず最初は、街の広場で適当に会話をするところから始めてみよう。この世界にまつわる、何気ない情報が聞きだせるはずだ。続いて街の酒場へ向かい、仕事の依頼の一覧を見る。冒険者に依頼される仕事はまちまちだが、最初のうちは簡単なものから始めよう。ズバリ“宅配”がおススメだ。品物を預かって相手に届け、期限内に酒場に戻れば報酬が渡される。“買物”も比較的難易度の低い仕事だが、購入資金を一時的に立て替えなくてはならないので、所持金に注意すること。

 仕事の依頼はいくつも同時に引き受けることができるが、“宅配”の仕事は期限の短いものが多く、あまり欲張ってかけもちすると配達期限が過ぎてしまうこともある。期限内に荷物を届けないと、届け物を持ち逃げしたネコババ犯として指名手配されてしまうので、届け先が同じ街かルート上にある街以外の依頼は、むやみに手を出さないようにしよう。


移動中に突然モンスターに遭遇。敵は最大9匹のパーティーで襲いかかってくる
移動中に突然モンスターに遭遇。敵は最大9匹のパーティーで襲いかかってくる



仲間を募って、難易度の高い依頼を引き受ける

道具屋や武器屋で必要な装備を整える
道具屋や武器屋で必要な装備を整える。スキルや体力に合わせて持ち物を決めよう
 こうして何度か仕事を続けるうちに、手持ちの資金も豊かになってくるはずだ。装備を揃えたり訓練所で体を鍛えたりして、戦闘力のアップを目指そう。街の広場で誘えば、あなたを好いてパーティーに参加してくれる冒険者が現れるかもしれない。自分のキャラが戦士系なら魔術師系、逆に魔術師系なら戦士系の仲間が見つかれば心強い。パーティーのメンバーも増え、戦力に自信がついたら“退治”や“討伐”“護衛”など冒険者らしい生き方を目指す道もある。逆に盗賊となって、店や他の冒険者を襲うという道もある。どう生きるかは、プレイヤー自身が決めるのだ。

人生を自由に生きる楽しみ、そして不安

こちらはダンジョンでの戦闘シーン
こちらはダンジョンでの戦闘シーン。強力なモンスターがゾロゾロ待ち構えている
 1993年に発売された最初の「ルナドン」、1994年に発売された「ルナドンII」、その後Windows 95用として発売された「開かれた前途」をプレイしてきたが、基本的な部分はそれほど変わっていないように感じた。「ルナドン」らしさがよい形で引き継がれたことがうれしい。…というか、少しほっとしている。

 筆者は「ルナドン」が好きだ。シナリオの展開に流されることなく自分で次の目的を見つけ、生きていけるところがいい。誘った相手が快くパーティーに加わってくれたり、何度も仕事をこなしていくうちに少しずつ知名度が上がっていくところが楽しい。その反面、今後の成りゆきが見えない不安も混じる。「ルナドン」の世界での生活は、フリーランスとして生きる筆者のライフスタイルにとてもよく似ていると思う。

自分の創った世界をインターネット上に公開

仕事を完了して報酬を受け取る。至福のひととき
仕事を完了して報酬を受け取る。至福のひととき

 デモ版では、プレイできるのがゲーム中の時間で3年間に限られている。利用できるアイテムや魔法、キャラクターの進化や成長にも制限がある。移動に時間を費やすことが多いこのゲームではあっというまに3年間が過ぎてしまうが、それでも「ルナティックドーン」が目指した“自由な冒険”やNPCたちとの出会いと別れ、死の恐怖、戦闘やカードバトルの楽しさを十分に味わってもらえるはずだ。製品版では、インターネットを利用して自分が創った世界を公開したり、他のプレイヤーが創った世界を冒険することもできるとのこと。

 製品版は現在すでに発売中で、価格は7,800円(税別)。Windows 95/98/Me/2000の各OSに対応している。

発売元(株)アートディンク
価格7,800円
発売日発売中

(lunatic.zip、46.3MB、ゲームデモ)

□「ルナティックドーン 第三の書」のホームページ
http://lunatic.artdink.co.jp/3rdbook/
□「ルナティックドーン 第三の書」のダウンロードページ
http://lunatic.artdink.co.jp/3rdbook/trial.html

(駒沢 丈治)


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