【第11回】

オリジナルソングのプロモーションビデオ、ついに完成!

(00/12/15)


 フォトレタッチ、3D CG、ビデオ編集…マルチメディア系のオンラインソフト“だけ”でネットアイドルをプロデュースしよう! 窓の杜のネットアイドルだから、略して“杜ドル”だ。歌って踊れるネットアイドルのプロモーションビデオをつくってストリーミング配信するまでの奮闘記!! 今回はとうとうプロモーションビデオ・リリースバージョンの完成だ。

 オンラインソフトを使って窓の杜のネットアイドル=“杜ドル”をプロデュースするこの企画。静止画、オリジナルソング、ビデオ撮影、3D CGと進めてきた杜ドルプロモーション作戦も仕上げの段階に到達した。オリジナルソング「Going Ahead」のプロモーションビデオを編集して、完成させてしまうのだ。以前公開したプレビュー版からどこが変わっているのか? それは見てのお・た・の・し・み。

まずはキャプチャー! キャプチャー!

「MainActor DV-Capture」でIEEE1394経由のキャプチャを行う
「MainActor DV-Capture」でIEEE1394経由のキャプチャを行う
 今回はプロモーションビデオ“リリースバージョン”の編集。一連の“杜ドル・プロモーションビデオ作戦”も最終過程の一歩手前だ。あぁ、思えば…って、これは前回言ったか。でも、感慨に浸っているヒマはない。ワタクシことモッティの経験上、ちょっと気を緩めたりすると、編集部からキビシイ課題をいただいちゃったりするからだ。ちゃんと順序を踏んでピシっとしたものをつくらなきゃ。

 じゃ、まずしなければいけないことといえば、素材の取り込み。それも、プロモーションビデオの大部分を占めるビデオ素材のキャプチャーからだ。実は第7回でプロモーションビデオのプレビュー版を公開したときにも、かなりの量のビデオをキャプチャーしたんだけど、今回リリース版を編集するのにあたって追加でキャプチャーした。

 使用したソフトは、プレビュー版のときと同じく、ドイツMainConcept社のシェアウェア「MainActor」。「MainActor」は、ノンリニア編集ソフト「Sequencer」、ビデオと連番静止画の変換ソフト「VideoEditor」、OHCI準拠のIEEE1394ポートを利用するDVキャプチャーソフト「DV-Capture」、DV機器への録画ソフト「DV-Out」、Video for Windowsベースのキャプチャーソフト「VideoCapture」の5つからなるビデオ編集ソフトだ。ビデオはすべてDVカメラで撮影してあり、DVカメラとPCはOHCI準拠のIEEE1394ポートで接続してあるので、キャプチャーは「DV-Capture」を利用する。キャプチャーする前に、DVカメラとモニター用のテレビを接続しておいた。ビデオキャプチャーは結構目の疲れる作業。なにせ60分テープ7本分の映像から使えそうなカットを選ぶわけだから、少しでも大きな画面で映像を見たほうが身のためだ。

 「DV-Capture」は、DV機器のリモートコントロールをしながらキャプチャーの開始、停止をマウスクリックで操作するスタイルのビデオキャプチャーソフト。連続してキャプチャーする場合には、ファイル名を“capture0001.avi”、“capture0002.avi”と自動的に連番で保存してくれるので便利だ。欲をいえば、キャプチャーしたい部分を複数指定して、あとから一括してキャプチャーしてくれる“バッチキャプチャー”機能があったら言うことないんだけどなぁ…。なんてことはおいといて、ひたすらキャプチャーだ。第7回の時点ではキャプチャーしたAVIファイルは20GBだったけど、今回さらに、5GB分のキャプチャーを行ったぜ。

並べろ! 並べろ! あとはセンスの問題だぜ!

「MainActor Sequencer」はタイムラインでビデオを編集するソフト
「MainActor Sequencer」はタイムラインでビデオを編集するソフト
 キャプチャーしたAVIファイル、3D CGの画像、オリジナルソングのWAVファイルを組み立てて、1本のビデオに編集する作業は「Sequencer」で行う。「Sequencer」のインターフェイスはタイムライン(時間軸)上に動画や静止画、音声などの素材を並べていくスタイルだ。素材を並べていく部分はトラックと呼ばれ、映像、音声ともに複数のトラックがある。映像のトラックは画像編集ソフトのレイヤーに似ていて、上位のトラック(トラック番号が大きい方)の映像が下位のトラックの映像にかぶさる形で表示される。「Adobe Premiere」や「Ulead MediaStudio Pro」など、市販のビデオ編集ソフトでもよく使われるインターフェイスだ。

 「Sequencer」には“ブラウザ”というウィンドウがあって、ハードディスク内の映像素材のサムネイルを表示できる。通常はこの“ブラウザ”ウィンドウからタイムラインへと素材をドラッグ&ドロップするんだけど、ここでちょっと問題発生。“ブラウザ”ウィンドウからドラッグ&ドロップするときに、思ったとおりのファイルがつかめないのだ。“ブラウザ”ウィンドウの上の方に表示されているファイルは大丈夫なんだけど、下の方に行くに連れてドラッグしたサムネイルよりも下にあるファイルがドロップされてしまう。どうやらマウスボタンを押した位置の検出が徐々にズレていっているみたいだ。ほかのマシンでやってみても同じ現象が出る。1フォルダに100個以上のAVIファイルを詰め込んでいるから仕方ないのかなぁ。エクスプローラからのドラッグアンドドロップという方法も使えたので何とかなったけど、せっかくのサムネイルが使えないのはすごくもったいない。

 ビデオ編集は素材を並べてつながり具合をプレビューする作業の繰り返し。プロモーションビデオの場合、つながり具合の良し悪しを握るのが歌と映像とのマッチさせるタイミングだ。映像中の口パクと歌を合わせる“リップシンク”なんかは、その最たるもの。歌を基本にして映像を組み立てていくためにも、真っ先に「Going Ahead」のWAVファイルを音声トラックに並べておいた。

 あとは、ひたすら素材を並べ換えたり、素材の長さを調整したりという試行錯誤の連続だ。いちおう連載開始当初につくった絵コンテはあるけど、思いどおりに撮影できたカット、撮影できなかったカットなどいろいろあるので、ここまできたら参考程度。実際にある素材を使ってでしか、ビデオ編集はできないのだ。「テンポよく、ダラダラと長いカットにならないように」という点を心がけて素材をつなげていった。

色調補正と控えめのトランジションで映像をまとめる

「MainActor Sequencer」はタイムラインでビデオを編集するソフト
「MainActor Sequencer」はタイムラインでビデオを編集するソフト
 前回も書いたように、3D CG部分をTARGA形式のアルファチャンネルつきの連番ファイルで出力しておいて「Sequencer」のトラック上に読み込み、背景となる実写のトラックと合成することにした。前回公開した合成プレビューでは3D CG部分の色調整を十分にやらなかったので背景の色とうまくなじんでいなかったけど、「Sequencer」はトラックごとに色調補正や変形などのフィルターがかけられるから、違和感が少なくなるように調整してやる。3D CGと実写だけでなく、実写素材の間の色調の差もここで調整する。

 ビデオ編集ソフトというと、どうしてもカットのつなぎ目に使うトランジション効果にこだわりがち。次のカットにじわじわっと移ったり、画面の真ん中から割れてそこから次のカットが出てくるといったアレだ。モッティもビデオ編集ソフトに始めて触った頃、トランジションを使うのがうれしくて(笑)、すべてのシーンのつなぎ目に違うトランジションを使いまくったこともある。「Sequencer」には52種類のトランジションが用意されているけど、今回使ったのはカットとカットをじわじわっとつなぐAdditive Disolveだけ。それも、オープニング、エンディング以外のビデオ本編中では1ヵ所にしか使っていない。モッティが効果的なトランジションの使い方を知らないと言われてしまえばそれまでだが、あまりにトランジションを使いすぎると逆効果で映像にまとまりがつかなくなる、というのも真実だ。

 「Sequencer」には、2Dと3Dのロゴを作成する機能もついているが、2バイト文字が使えないので今回は見送り。オープニング、エンディングのロゴはGIMPでつくった静止画ファイルだ。ポスター風静止画をつくったときのエラー連発の悪夢を思い出したけど、バージョンが上がって少し安定度は増したようだ。

 そんなこんなで編集が完了したので、1本のAVIファイルにエクスポートする。コーデックはDVのままだ。DVコーデックで出力しておけば、DV-OutでDVカメラに録画することもできる。テレビモニターに編集した結果が映し出されるのは、はっきり言って快感だ。

 で、ついに完成版プロモーションビデオ公開だ!! ソフトがエラーで落ちまくったり、貸し出しマシンがうまく動かなかったり、ハードディスクがクラッシュしてOS再インストールしたり(涙)といろいろあったけど、なんとかこぎつけた。例によってWMV形式でアップロードしてあるのでじっくりと見てね。

プロモーションビデオ
リリースバージョン

WMVファイルの再生
(8.41MB)

 さてさて次回はいよいよ最終回。インターネットで配信するためのビデオファイル作りの締めくくりはファイル変換だ。いままでWMV形式に変換するときには「WindowsMedia エンコーダ」のウィザードでお手軽にやってきたけど、次回はこの「WindowsMedia エンコーダ」に突っ込んでみるぞ。待て、次回!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

■「MainActor」
【著作権者】MainConcept GmbH
【ソフト種別】シェアウェア 85ドル
【バージョン】3.55(00/08/29)

□MainConcept GmbH
http://www.mainconcept.com/

(望月 貞敏)


 記事中の映像の制作者は望月 貞敏氏です。映像中の楽曲の作詞者はまのりとその友達、作曲者は岡村 正章氏です。著作権は各氏に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。
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