【第3回】

安全なインターネットショッピングのために

(01/01/26)

 最近は、さまざまな商品をインターネットを通じて購入できるようになりました。自宅にいながら全国のお店のホームページにアクセスして、24時間いつでも注文することができます。しかし、インターネットショッピングに対して、不安をもっている人が多いのも事実です。それでは、どうすれば安心してインターネットショッピングを楽しめるのでしょうか。

便利なインターネットショッピング

インターネットショッピングでいろんなものが購入できる
インターネットショッピングで
いろんなものが購入できる
 インターネットショッピングは、ホームページで商品のカタログを閲覧して注文できる通信販売の一種です。現在ではパソコンに関連する商品や書籍、文房具、食料品、家電製品など、さまざまなものがインターネットショッピングで購入できるようになりました。インターネットショッピングを利用するには、ショッピングサイトに掲載された商品の説明や写真をWeb ーで閲覧し、購入したいものがあればその場で入力フォームに住所や氏名、購入方法などを入力して注文し、2~3日すると宅配便で商品が送られてくるというシステムが基本です。

 日本でもっとも利用されているショッピングサイトのひとつに、「楽天市場」があげられます。5,450店のテナントがあるいわば巨大なショッピングモールで、なんと65万種類のアイテムを購入することが可能です。楽天市場にアクセスすると、“フラワー・ガーデン”や“パソコン・モバイル・家電”といったカテゴリー別に商品を探したり、自分が気になっている商品をキーワードで検索することができます。自分が欲しい商品があれば、買い物かごに商品を入れておき、欲しい商品がまとまったところで購入手続きをします。会員登録していなくても購入可能ですが、会員登録するとユーザー名とパスワードだけで購入できるようになり、住所や電話番号などの入力を毎回する必要がなくなります。最後に送り先や支払い方法を入力してお買い物が完了します。支払い方法はお店によってさまざまで、クレジットカード、銀行振込、現金書留、宅配業者の代金引換、コンビニでの後払いなどが選択できます。

 また、パソコンソフトを購入するショッピングサイトとしては、“シェアレジ”・“プロレジ”を取り扱うベクターの「Softショップ」がよく利用されています。ベクターにアクセスし、ソフトの「レジ作品番号」を入力すると支払手続き画面が表示されます。こちらも会員登録をしてないくても利用することはできますが、シェアウェア料金を送金することが多いユーザーは、会員登録しておくとよいでしょう。支払い方法は、クレジットカードを使うのが一般的ですが、「SET」と呼ばれる安全性の高い仕組みでクレジットカードやデビットカードを使うことも可能です。

 そのほか、世界中のショッピングサイトを自分で検索サービスなどで探し出して利用できるのも、これまでには考えられなかった利点です。海外の小さなショップにしかない特別な商品を、直接注文してクレジットカードで購入する利点もあります。これらのショッピングサイトはインターネット上にお店を開いていますので、24時間買いたいものが注文できるところも便利です。そのほか、コンビニなどを利用して、支払いや商品の受け取りを24時間できるといったサービスも始まっており、今後インターネットショッピングはますます便利になり、利用する機会も増えてくることでしょう。

インターネットショッピングを利用する際の不安

個人情報が漏れる不安も
個人情報が漏れる不安も
 インターネットショッピングを利用する際にもっとも不安を感じるのは、クレジットカード番号を他人に知られて金銭的な被害を受けるのでないかということや、プライバシーが漏れる可能性があるということでしょう。インターネットショッピングに限ったことではありませんが、登録した名前や住所が他のことに利用されてしまうのではないかという不安もあります。また、Webブラウザーで入力した内容がインターネット上に流れ、誰かに読まれてしまう可能性も考えられます。もし漏洩した情報にクレジットカード番号などの重要な情報が含まれていれば、他人が不正利用してしまうということも考えられ、とても心配です。

 インターネットショッピングは、注文する際に入力した情報が漏れるのではないかという不安を感じる人も多いでしょう。しかし、はたしてインターネットショッピングは、これまでの注文方法と比べて危険なのでしょうか。たとえば、電話で注文する場合、そばで通話内容を聞かれてしまえば注文内容は簡単に漏れてしまいます。また、FAXで注文する場合は、注文後にFAXの注文用紙をちゃんと処分しているでしょうか。もしそのままごみ箱に捨てているだけだとすれば、拾われてしまえば注文の内容を確認したり、クレジットカード番号を書き写すことができるのではないでしょうか。これらの方法に比べて、インターネットで注文した内容を盗み見るのは、それほどたやすくないはずです。このようにインターネットショッピングだけが特別に危険なわけではありませんから、万一の場合に備えてセキュリティ対策を意識していれば、安全で便利なショッピングを楽しむことができるのです。

暗号化通信でクレジットカード番号を守る

 クレジットカード使用の安全性についてとても気になります。クレジットカード番号を送信するだけで物が購入できる手軽さは、番号が漏れたときに他人が勝手に使う危険性をあわせもっています。インターネット上に流れる情報を他人に盗み見されてしまうのが心配であれば、“SSL”というセキュリティ機能をもったショッピングサイトを利用しましょう。SSLと呼ばれる暗号化通信を利用するとWebブラウザーとショッピングサイトの間の情報は常に暗号化され、クレジットカード番号などの情報を他人に盗み見されることはなくなります。「Internet Explorer」と「Netscape」のどちらのWebブラウザーでもSSLに対応しており、SSLを利用してショッピングサイトにアクセスをするとWebブラウザーの下のバーに鍵のかかった錠前の絵が表示されるので、暗号化通信していることを確認できます。

 また、クレジットカード会社が中心となって開発した“SET”という支払い方法を利用すると、安全にクレジットカードによる支払いができるようになります。SSLはWebブラウザーとショッピングサイトの間を暗号化するのに対して、SETはクレジットカード所有者本人が、Webブラウザーとクレジットカード会社の間で暗号化通信するものです。よって、注文したショッピングサイトにもクレジットカード番号を知られることがありません。SETを利用するには、ウォレットと呼ばれるソフトウェアを導入する必要があります。

個人情報の漏洩に注意

 プライバシー情報の取り扱いについて不安を感じて、インターネットショッピングの利用に抵抗がある人も多いようです。ショッピングサイトが、住所やメールアドレスをダイレクトメールや電話勧誘などに使ったりする場合もあります。ある商品を買うために一度利用しただけなのに、その後延々とダイレクトメールが届くのは、あまりうれしいものではありません。注文フォームの最後のあたりに、「ダイレクトメールを希望する」といった項目があらかじめチェックされていることも多いため、不要であればチェックを外しておくとよいでしょう。

 悪質なショッピングサイトが、個人情報を他者にもらしたりする不安もあります。たいていのショッピングサイトは個人情報保護には非常に気を使っていて、個人情報をどのように扱うかを示す「プライバシーポリシー」を掲載しているお店は増えています。こういったプライバシーポリシーを確認してショッピングサイトの姿勢を確認するのも一案です。また、最近ではインターネットショッピング業界で、個人情報保護のガイドラインを作成し、遵守している事業者に個人情報保護を示すマークを付与する制度も始まっています。日本情報処理開発協会の「プライバシーマーク制度」や日本データ通信協会の「個人情報保護登録制度」などがこれにあたります。

 ショッピングサイトは、実際に店舗を構える必要がなく、手軽にオープンすることができるため、代金を引き落としただけで商品を発送しないとか、クレジットカード番号やプライバシーに関する情報を悪用するサイトがないとも限りません。訪問販売法で義務付けられている住所などの連絡先の表示がなかったり、ショッピングのトラブル解決を含めた約款がないとか、偽ブランド商品やコピーソフトを販売しているなど法的に問題のあるショッピングサイトの利用は絶対に避けましょう。詐欺にあったり、トラブルにあって泣き寝入りしないためにも、常に注意をしながらインターネットショッピングを楽しみましょう。

 そのほか、Webブラウザーを使って注文するために起こる問題もあります。もしWebブラウザーで注文ページや会員用の利用履歴のページなどを開いたまま席を立ってしまえば、近くにいる人に見られる可能性もあります。また、それらのページを開いているつもりがなくても、WebブラウザーはBackボタンでその日開いていたページに戻ることも可能ですので、インターネットショッピングの利用後は必ず会員用ページからログアウトするか、Webブラウザー自体を終了するように注意してください。また、注文をメールで受け付けているショッピングサイトもありますが、メールで注文した場合は送信箱に残っている注文メールの管理に気をつけるようにしましょう。

もしトラブルにあったら

トラブルにあったらまず相談
トラブルにあったらまず相談
 トラブルが発生してしまったら、まずはショッピングサイトにメールや電話で問い合わせてみましょう。しかし、ショッピングサイトと連絡が取れなかったり、対応が悪くてトラブルが解決に向かわなければ、国民生活センターや日本通信販売協会などの機関に相談して、解決策をアドバイスしてもらいましょう。なお、これらの機関のホームページには通信販売に関する最新情報が掲載されておりますので、前もって確認しておくとよいでしょう。

□国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/
□社団法人日本通信販売協会
http://www.jadma.org/

 また、クレジットカードを利用したら、常に利用明細書を確認して、不明な請求がないかをよく確認するようにしましょう。もし、不明な引き落としがあった場合は、すぐにクレジットカード会社に連絡をし、引き落とし内容を照会したり、カード利用を一時停止をするなどの対処をしてください。もし、インターネットショッピングを頻繁に行うならば、インターネットショッピング用にクレジットカードを作っておくという方法もあります。普段利用しているクレジットカードと明細書が異なるため不明な引き落としをすぐに確認できますし、トラブルが起こって利用停止していても普段利用しているクレジットカードをそのまま利用できるというメリットもあります。

 インターネットショッピングを利用する際に、SSLやSETと呼ばれる暗号化通信が用意されていることを紹介しましたが、インターネットで情報をやり取りする際には、さまざまな暗号化通信が利用されています。次回は暗号化通信について説明します。

(山崎 真裕)

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