【第135回】
第135回:鉄道経営ストラテジー「Rails Across America」
目指せ鉄道王、アメリカ大陸に鉄道網を敷け!!
(01/06/13)
フライトシミュレーターと並んで根強い人気があるのが、鉄道系のゲーム。海外の作品では「レイルロードタイクーン」や「トランスポートタイクーン」。日本の作品では「A列車」シリーズや「電車でGO!」シリーズ。いずれもゲームとしてのジャンルやスタイルは異なるものの、よくできた作品だったと思う。まもなくマイクロソフトからも「トレインシミュレータ」が発売される予定になっており、こちらも待ち遠しい。さて、今回紹介する「Rails Across America」は、しいていえば「レイルロードタイクーン」に似た、鉄道会社経営のリアルタイムストラテジーだ。都市間を鉄道で結びながら規模を拡大し、北米大陸を支配する鉄道王を目指す。
開拓時代の北米大陸で鉄道会社を経営
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初期設定ではシカゴからスタート。任意の都市から始めることもできる
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ゲームが始まったら、メインメニューから“SINGLE PLAYER”ボタンをクリックする。続いて“REGULAR GAME”ボタンをクリック。メインメニューには“QUICK GAME”というボタンもあるが、これは「前回プレイした設定でもう一度トライ」という意味なので、いきなりはおススメできない。
“NEW GAME”画面が表示されたら、プレイに入る前にもろもろの条件を確認しておこう。初期設定の状態だと、ゲームの参加者は4名。コンピューターが担当する3名はランダムで決めることも、12人の個性的なキャラクターの中から任意の者を指定することもできる。とりあえずはランダム設定のままでいいだろう。スタートする都市はシカゴ、時代は1870年~1885年までの15年間。開始時の予算は750万ドルだ。スタート地点と予算は任意に指定することもできるが、まずはこのままで。
勝利条件は、期間終了後にもっとも長い路線を持っていること。それさえ満たせば、経営状態は問われない。ようするに、どれだけ長い線路を支配できたかで決まるわけだが…もちろん、経営状態が悪ければ路線の拡張は無理なので、そこそこ健全な状態でなければならないのは当然だ。
区間を決めて工事開始!!
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貨物と乗客の数を見ながら車両の種類と本数を決める
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すべての条件を確認し、“START”ボタンを押すと、いよいよプレイが始まる。マップの中央にシカゴが表示されるので、“-”の虫眼鏡アイコンをクリックして縮尺をかえてみよう。シカゴの北にはミルウォーキー、南南東にインディアナポリスが見えるはずだ。マップを動かしたいときは、マウスポインタを上下左右に動かすだけでいい。
路線を引くには、まず起点となる都市をクリックし、続いて画面右側の“LAY TRACK”ボタンをクリックする。続いて線路を引きたい、つまり終点となる都市をクリック。白く線路の敷設予定区間が表示されたら、“PURCHASE”ボタンをクリックして工事を開始する。線路は、その敷設する長さに応じて工期がかかる。つまり、長い路線ほど開通までに時間がかかるわけだ。突貫工事で工期を短縮することもできるが、その場合はより高い費用を覚悟しなければならない。
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複雑に入り組んだ各社の鉄道網。同じ区間で競合する場合もある
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走らせる車両と本数を考える
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路線の状況を一覧。緑色が順調なところ。黄色や赤は運行にムダがあるところ
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最初は「シカゴ~ミルウォーキー」の路線が手ごろでいいだろう。よく見ると、ミルウォーキーには“$”マークが付いていることがわかる。これは開通ボーナスがもらえるという意味で、最初に路線を開通させると、それだけで300万~500万ドルの報酬がもらえてしまうのだ。次に、走らせる車両を決める。選べる車両は5種類で、それぞれ速度や積載できる貨物と定員が異なる。もちろん、速くて積載能力が高いものほど運行にかかるコストも高い。いずれも一長一短があるが、なれないうちはコストが安く全体的にバランスがいい“MOGUL”をおススメしたい。
路線が開通したら、次に走らせる列車の本数を決める。資材・旅客ともに過不足ない本数を指定し、最大限の利潤を目指す。もし路線のキャパシティ(CONGESTION)が100%以上になっても混雑が解消できない場合は、より速度の速い車両や輸送量の大きな車両に切り替えよう。こうして都市間を次々に結び、支配する地域を広げていく。マップ上には各都市の特産物、たとえば鉱石や石油、木材、農産物のアイコンが表示されるので、これを見ながら需要が高そうな路線を確保すること。
またこのゲームでは、競合する他の鉄道会社に対して、カードバトル方式で妨害や破壊工作を仕かけることもできる。暴力・政治・情報操作など様々な手段を組み合わせて相手を揺さぶり、経営のじゃまをする。もちろん、他社からの攻撃に備えて手札をそろえておくことも重要だ。
ドル箱路線を独占しろ!!
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手持ちのカードを使って敵対する企業に攻撃する。数字の大きいカードほど強い
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勝つための第一条件は、「儲かる路線を独占しろ」だ。人の移動が激しい大都市間や鉱物資源の輸送が活発に行われる工業都市間など、利潤の高い路線を自分の支配下に置き、他のプレイヤーの参入を許してはならない。たとえはシカゴ周辺の場合、一番おいしいのはシンシナティを中心とした路線だ。「シンシナティ~インディアナポリス」「シンシナティ~コロンバス」「シンシナティ~ルイスビル」の路線を基幹にして、シカゴやピッツバーグ、デトロイトなど周囲の工業都市を結ぶ。もしこの路線に他のプレイヤーが参入を試みたら、速度に勝る車両を投入して競争力を高めたり、破壊工作や妨害工作などの実力行使も辞さない態度で臨もう。
そしてふたつめの条件は、「借金は豪快に行け」だ。ゲーム序盤は悲しいほど資金が乏しい。ちょっと線路を引いただけで、あっというまに使い果たしてしまう。鉄道に限らず、インフラ商売は出だしが肝心だ。ちまちまやるな!! 借金して、ガンガン線路を引きまくれ!! 独占できれば、借金などすぐに返せる。5年で5%、10年で6%ぐらいのローンを見つけたら、1,000万ドルぐらいガーンとまとめて借りてしまえ!! あとは、それを使って「どう稼ぐか?」の問題だ。
大胆な決断と繊細な対応が求められる極上のストラテジー
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攻撃成功。これで4週間以上、相手の工事を遅らせることができる
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大胆な決断と繊細なプレイの両方が求められるゲームだ。各路線の状況を常にモニターし、刻々と変化する需要に合わせて車両のタイプや本数を変更しなければならない。コンピューターが担当するプレイヤーは皆攻撃的で、ちょっとでも収益のいい路線があると、次々に群がってくる。全員を敵に回すのではなく、「敵の敵」を見つけて一時的に手を結ぶ作戦も必要になるだろう。考えなければならないこと、そしてプレイから学ぶことが多く、ストラテジーとしては上質だと思う。
ただ、鉄道経営シミュレーションといっても、アートディンクの「A列車」シリーズのようにプレイヤー自身がダイヤを編成したり、車両そのものの3D映像が楽しめるわけではない。ボードゲームの雰囲気を漂わせる作品で、ビジュアル的には数世代古く感じる。列車が走る箱庭のような世界ではないので、念のため。
ニューヨークやロサンゼルスを起点に始めるのも楽しい
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中部の都市をおさえて1位に。しかし北米大陸を支配するにはまだ程遠い
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デモ版では北米のマップのみ試すことができる。期間は1870年~1885年の15年間。LANやインターネットを経由した、最大4名までのマルチプレイにも対応している。期間が短いので全米を支配するのは難しいが、ゲーム序盤の激しい開発競争が楽しめるはずだ。スタートする都市を自由に設定することもできるので、シカゴだけでなく、ニューヨークやロサンゼルスを起点に始めてみるのもいいだろう。製品版では、様々なシチュエーションでプレイするシナリオモードのほか、最大8名までのマルチプレイに対応しているとのこと。米国では8月に発売予定で、日本国内での販売、および日本語化の予定はいまのところ発表されていない。
発売元 | Flying Lab Software |
価格 | 未定 |
発売日 | 8月発売予定 |
(railsinstall.exe、30.7MB、ゲームデモ)
□「Rails Across America」のホームページ
http://www.flyinglab.com/rails/
□「Rails Across America」デモ版のダウンロードページ
http://www.flyinglab.com/rails/downloads/
(駒沢 丈治)
Copyright (c) 2001, Flying Lab Software LLC