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【第139回】

「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」

『三國志』の世界をリアルタイムストラテジーで戦う

(01/07/11)

タイトル画面

 中国の歴史というと、高校の頃必死で暗記した年表を思い出す。古代中国の歴史はただひたすら複雑で、受験生泣かせだった。『三國志』についても「魏は蜀を滅ぼし晋となり、晋は呉を滅ぼす」なんて呪文のような言葉を丸呑みしただけで、本当にそのおもしろさを知ったのはだいぶ後になってからだ。コーエー(当時は“光栄”だった)の歴史シミュレーションをプレイするようになって初めて小説を読むようになり、登場人物の魅力や戦略の楽しさを知った。『三國志』の中には実に勉強になる戦略や事例が多く、シミュレーション/ストラテジー系のゲーマーにとっても必読の書だと思う。なんて、わき道にそれてしまって申し訳ないが、今回はその『三國志』をそのままリアルタイムストラテジーにした作品、アイドス・インタラクティブの「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」を紹介しよう。

キミは『三國志』を知っているか?

デモ版では劉備のみ
劉備、曹操、孫権の中から好みのキャラクターを選んでプレイ。ただし、デモ版では劉備のみ

 作品そのものの説明に入る前に、まず『三國志』についてざっとおさらいをしておこう。もともと『三國志』というのは、晋の時代に陳壽が著した三冊の史書『魏書』『呉書』『蜀書』のこと。これをベースにして後に『三國志演義』という小説が書かれ、前者を『正史』後者を『演義』と読んでいる。現在我々が『三國志』と呼んでいるのは、だいたいがドラマチックに演出された『演義』のほうだ。舞台となるのは後漢末期~魏晋王朝の時代で、西暦でいうと200年頃の話。当時中国大陸の中央部(中原)の覇権を争っていた魏・呉・蜀の三国が互いに手を結び、あるいは裏切ったりして戦う様を登場人物たちの人間性に絡めて描いたドラマで、最終的には魏から皇位を奪った皇帝司馬炎が呉を滅ぼして終わる。

 この作品「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」は『三國志演義』を下敷きにして、アイドス・インタラクティブの中国人デザイナーがフィーチャーした作品であるという。時代を追いながらプレイを続けるキャンペーンスタイルで、実に300人以上の武将たちが登場するという、壮大な歴史ドラマになっている。

与えられた目標を達成しつつシナリオを進める

登場人物の生い立ちや政治的な立場について、詳しく知ることができる
登場人物の生い立ちや政治的な立場について、詳しく知ることができる
義兄弟となった関羽、張飛と共に天下統一を目指す劉備
義兄弟となった関羽、張飛と共に天下統一を目指す劉備。歴史は変わるのか

 デモ版を起動したら、メインメニューから“シングルプレイ”をクリックする。続いて“ニューゲーム”をクリック。難度の指定は無理せず“初心者”がいいだろう。シングルプレイメニューの中には“トレーニング”という選択肢も用意されているが、“ニューゲーム”の最初のシナリオと重なるので、あえて実行する必要はない。なおこの作品では、自分が演じるキャラクターを劉備、曹操、孫権の中から選ぶことができるが、デモ版では劉備のみに制限されている。

 画面のデザインは、マイクロソフトの定番リアルタイムストラテジー「エイジ・オブ・エンパイア」に似ている。マップを斜め上から見おろすクォータービューを採用し、ユニットが移動する様子や建物のデザインもそっくりだ。コマンドを与えるキャラクターの指定は、マウスの左クリック、もしくは範囲指定で行う。その他、建築の指定や生産方法についても「エイジ・オブ・エンパイア」に似たアイコン選択方式を採用し、なんだか初めてプレイするような気がしない。食料や木材、鉱石など、基本となる物資の扱いも、ほぼ同じといっていいだろう。

 違うのは、プレイの進行に一定の流れがあるということ。この作品は『三國志』をベースにしているため、なんでもかんでも自由にプレイできるというわけではない。次に攻めるべき城や達成すべき目的について指示されるので、それらをクリアしながら、本筋となるシナリオを進めるというわけだ。


農場や工房を建設し、国力を蓄える。「エイジ・オブ・エンパイア」に似たデザインだ
農場や工房を建設し、国力を蓄える。「エイジ・オブ・エンパイア」に似たデザインだ


効率のよい建設と技術開発が国力増強のカギ

兵士と攻城兵器を生産して攻撃の準備を整える。斥候用の騎馬小隊も編成しよう
兵士と攻城兵器を生産して攻撃の準備を整える。斥候用の騎馬小隊も編成しよう

 プレイが始まったら城内の左上、つまり北西にある“牌楼”と呼ばれる建物にポインタを移動せて4名の人夫を雇う。1人を鉄の採掘に、2人を木材の伐採に、残る1人に農場を建設を行わせる。農場が完成したら、さらに3人を雇って、2人を穀物の生産に、1人を養豚を命じよう。役割を指定した後にチェックボタンをクリックしないとコマンドが有効にならないので、注意すること。その後木材の伐採と穀物の生産を行う人夫を増やしながら、工房、幹林院、兵舎の建設を行う。幹林院が完成次第、新しい兵器と技術の研究を行う。

 新しい技術が開発されると、兵器工場や旅館、厩舎の建設が行えるようになる。敵の城門を突き破るには投石器が有効なので、できるだけ早く生産しよう。2基もあれば十分だ。兵舎では兵士の生産を行う。敵城に攻め込むには少なくとも10名以上の部隊が必要だが、さしあたり城の警護と偵察を行うには3~5名用意すれば十分。余力があれば、むしろ物資の生産と必要な施設の建設を優先したい。

必要な資材を集中的に生産せよ

投石器を使って城門を破壊。敵が防御を整える前に、一気になだれ込め!!
投石器を使って城門を破壊。敵が防御を整える前に、一気になだれ込め!!
 基本的な戦略は、まず十分な物資を蓄えるところにある。ゲーム序盤では人夫を雇うために“穀物”と“木材”が必要になるので、この2つが不足しないように心がけよう。農場で働く5人のうち、養豚に従事するものは1人で十分。他の4人は穀物の生産に回すこと。木材の伐採は3人を目安にしたい。しかし兵器の生産を始める段階に来ると、ボトルネックとなるのは“食物”だ。穀物との違いがちょっとわかりにくいが、食物というのは工房で生産される餅のようなもの。これが十分に蓄えられていないと、投石器や梯子など、攻城用の武器が作れなくなってしまう。工房で働く5人のうち4人を食物の生産に回し、それでも足りない場合はもうひとつ工房を建設すること。

 戦闘の基本は、十分な兵力を蓄えて一気にタタくことだが、敵地までの長い移動は兵士の体力を奪う。敵地にようやくたどり着いた頃には疲れてボロボロということにもなりかねないので、まず先に斥候を走らせてマップやワナの確認を行おう。厩舎を建設して3~5頭の馬を生産し、これに兵士を乗せて騎馬小隊を編成する。これを先に走らせてマップ全体を確認し、その後本体を最短距離で進軍させるといい。また部隊に荷車を同行させると、食物の補給も容易に行える。

リアルタイムストラテジー+αの魅力

敵兵との激しい戦闘が続く。仙術を使う道士を先に倒すのがコツだ
敵兵との激しい戦闘が続く。仙術を使う道士を先に倒すのがコツだ
 操作方法の説明でも書いたように、画面のデザインや操作性は、マイクロソフトの「エイジ・オブ・エンパイア」にとてもよく似ている。生産の仕組みや戦闘シーンも、ほぼ同じスタイルといっていいだろう。戦闘用のユニットや生産物の役割にちょっとした違いはあるものの、「エイジ・オブ・エンパイア」をプレイしたことがある人なら、そしてこの手のリアルタイムストラテジーが好きな人なら、すぐにこの作品の“おもしろさ”をわかってもらえるはずだ。

 しかし、もちろん「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」ならではのオリジナリティもたっぷりと盛り込まれている。『三國志』の設定とストーリーを持ち込み、劉備、関羽、張飛といったお馴染みのキャラクターを登場させることによって、RPG性を加味した。様々な登場人部の中から誰を武将として採用し、部隊を任せるかによって、勝敗だけでなくシナリオの展開が変わることもある。勝敗だけでなく、各登場人物が互いに絡み合うストーリーを楽しめるところがいい。

初心者用のシナリオ5本を存分に満喫!!

占領。破壊された城内の施設や仏像の修復も忘れないように
占領。破壊された城内の施設や仏像の修復も忘れないように

 デモ版では、チュートリアルを含めた5本のシングルプレイと、2本のマルチプレイ用マップを楽しむことができる。シングルプレイ用のシナリオはいずれも初心者向け…つまり敵の攻撃が比較的甘めのシナリオだが、勝つためには相応のテクニックが必要で試行錯誤することになるため、全部合わせるとかなりのボリュームになる。デモ版なのに、ここまで存分にプレイさせてくれるとはありがたい。逆にいえば、初心者用のシナリオを5本程度公開したぐらいでは揺るぎもしないゲーム性があると、アイドス・インタラクティブ側は考えているのだろう。製品に対する絶対の自信がなければ、ここまで大胆な公開はできないはずだ。せっかくの厚意をムダにすることなく、ぜひプレイしていただきたい。製品版はすでに発売中で、価格は8,800円。Windows 98/Me/2000に対応している。

発売元アイドス・インタラクティブ
価格8,800円
発売日発売中

(FoD_Demo_n.exe、66.2MB、ゲームデモ)

□「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」のホームページ
http://www.eidos.co.jp/title/FOD/FOD_index.htm
□「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」デモ版のダウンロードページ
http://www.eidos.co.jp/Demo/Demo.htm

(駒沢 丈治)


Fate of the Dragon is registered by Eidos Interactive Limited. © 2001 Eidos Interactive. 龍の系譜 © Sinosoft Limited. Published by Eidos Interactive KK. 「フェイト オブ ドラゴン~龍の系譜」 is registered by Eidos Interactive KK. © 2001 Eidos Interactive KK.
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