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【第111回】

温泉宿を舞台にした推理アドベンチャー「Foster」

シンプルでお手軽だけど奥が深い!

(01/09/13)

 推理もののアドベンチャーゲームというと、ゲーム内で捜査を行いつつ長い長いストーリーを楽しむというタイプも多いが、今回ご紹介する「Foster」はプレイ時間がピリッと短く、それでいて犯人を推理していく楽しさが味わえるゲームだ。

事件の幕開けとなるタイトル画面
事件の幕開けとなるタイトル画面
 祖父と二人で温泉宿に来た少女“椎名 亜美”は、翌朝、突然の殺人事件に巻き込まれてしまう。一体、誰がそんなことをと思う間に、もう一人の犠牲者も出てしまい……、というストーリーの中でゲームは進んでいく。プレイヤーは主人公の亜美となり、コマンドを選択して行動しながら、容疑者たちの人間関係や事件の前後に起こった出来事について、事件に関わった人々から聞きださなくてはならない。ただし、一つの場所から別の場所に移動するごとにゲーム内の時間は進んでいってしまい、現実世界と同じように、一度流れた時間は元に戻らないのがポイントだ。

 しかも、会話の選択肢でどの答えを選ぶかによって、もしくはどの時間にどういう行動を取ったかによって、ストーリーや手に入る証拠・証言も変わる。例えば、1回目のプレイの時は神社に行ったけど、次のプレイで宿屋に残ってみたら新たな出来事にぶつかったり、誰それに問い掛けられた質問に違う答えをしたら、異なる返事が得られたりといった具合だ。ゲームのラストには謎解きのシーンが用意されており、刑事から発せられる質問に答え、事件に関係のある出来事を伝えなければならない。真相につながる行動と会話選択をすべておさえた上でラストを迎えなければ、事件は解決できないのだ。

場面ごとに背景とキャラクタグラフィックが変わり、状況がわかりやすい
場面ごとに背景とキャラクタグラフィックが変わり、状況がわかりやすい
 攻略のコツとしては、誰が何をして、どんな話をしたのかということを、簡単に時系列順の表にするのがいい。どのタイミングで何が起こるのかをしらみつぶしに、時には勘だよりに調べ、それをまとめていけば、犯人像と彼(もしくは彼女)がどういう行動を取りたかったのかが見えてくる。ただし、ゲームクリアには、必ず経験しておかなくてはならない出来事やキーワードがいくつかあるため、事件が起こる前の行動にも注意してゲームを進めなければならない。どうしても事件が解けないという人は、作者のページにかなり詳しいヒントが書かているので参照してみよう。

 とにかく、いろいろ行動しているうちに時間が過ぎていってしまうというのが、このゲームの一番のミソだ。特定の時間にしか出会えない人や証拠は、その瞬間を逃すともう取り返しがつかない。謎解きのキーとなる出来事を探すため、繰り返し同じストーリーをプレイして証拠を探すのは、毎日同じことが起こる閉じた時空の中で、昨日とは違う明日を探すような感覚だった。アドベンチャーゲームは特定の行動をとらないとゲームが進まず、それが話を作りモノくさくする時がある。だが、「Foster」はどういう行動を取るか自体をも探っていくわけで、ゲーム全体が一つのまとまったアドベンチャーになっている。

最後の大詰めでは犯人のフルネームを直接入力!
最後の大詰めでは犯人のフルネームを直接入力!

【著作権者】東 真哉 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.10(01/08/03)
【ファイルサイズ】2.63MB

□Rare Reality
http://www.hgashi.f2s.com/

(西尾 ゆき)

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