週末ゲーム
 

【第132回】

ノベルアドベンチャー「FLOOD OF TEARS」

そしてぼくは、彼女と出会った雪の日のことを思い出した…

(02/04/12)

 筆者が通っていた高校は、それはそれはむさくるしい男子校だった。右を向いても左を向いてもヤロウばかり。そんなわけで、男女共学校の実態がどんなものなのか、いまひとつピンとこない。「それなりに面倒かもしれないな」とも思うが、できれば一度体験してみたかった。だから、というわけではないが、今回はそんな高校生活を題材にした作品、「FLOOD OF TEARS」を紹介しよう。

タイトル画面
タイトル画面
 「FLOOD OF TEARS」は、物語を“読む”タイプのアドベンチャーゲームだ。ときどき分岐のある、挿絵入りの小説といったほうがわかりやすいかもしれない。主人公はとある高校に通う男子学生。お調子者だがそれなりに人気があり、“川瀬雛乃”というガールフレンドもいる。何気ない毎日を過ごす主人公だが、ある日“篠山宇海”という少女が転入してきたときから、彼の周囲が少しずつ変わり始めた。

 男女の仲を越えてくったくのない付き合いをしてくれる雛乃と、不自然なまでによそよそしい宇海。宇海は何かとんでもない秘密を隠しているようなのだが、言葉は少なく、態度も冷ややかだ。そして主人公の脳裏によぎる、遠い昔の雪の日の思い出。ぼんやりと霞む記憶の向こうにたたずむ少女は誰なのか? 大切な出来事だったはずなのに、すべてを思い出すことができないのは、いったいなぜなのだろう?

主人公のガールフレンド川瀬雛乃。世話好きなタイプ
主人公のガールフレンド川瀬雛乃。世話好きなタイプ
 アドベンチャーゲームというよりはサウンドノベルに近い作品なので、難度はそれほど高くはない。分岐も数えるほどだし、いつでも好きなときにセーブすることができるから、誰でも無理なくベストエンディングにたどり着くことができると思う。ただし、ベストエンディングを迎えても多くの謎が残ったままなので、あえて異なる選択で2~3回やり直してみることをおススメしたい。登場人物たちの過去、そして物語の全貌が少しずつ見えてくるはずだ。

 瞳が大きなアニメ系の美少女と、美しいBGM。ウィットに富んだセリフと、甘く切ないストーリー。ちょっぴり強引な展開…というか、演出過多に感じたところがないわけではないが、丁寧に作られた作品だ。始めはコミカルだが、じんと心にしみるエンディングがすばらしい。そして、男女共学ならではのドキドキ感も、ほんの少しだけ味わうこともできた。小説を読むような感覚で、ページを繰るような感覚で楽しんでいただけたらと思う。

謎の転校生篠山宇海。彼女は何かを隠しているようなのだが…
謎の転校生篠山宇海。彼女は何かを隠しているようなのだが…

【著作権者】TMS
【対応OS】(編集部でWindows 98/2000/XPで動作確認)
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-(01/09/23)
【ファイルサイズ】3.05MB

□TMS-HomePage
http://homepage1.nifty.com/TMS/

(三鷹 昭一郎)

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