週末ゲーム
 

【第137回】

未知の惑星が舞台のSFアドベンチャーゲーム「遠来」

宇宙船が不時着した惑星は、驚くほど地球によく似た場所だった

(02/05/31)

 宇宙人とのファーストコンタクトを題材にしたSFは多い。古くはH・G・ウエルズの『宇宙戦争』。タコのような姿をした火星人が地球侵略を企てるという作品だ。映画『未知との遭遇』や『コンタクト』も、地球人と宇宙人の接触をテーマにしている。独自の文明設定と、何が起こるか予測できない緊張感。宇宙人とのファーストコンタクトものは、SFの王道といっていいだろう。今回紹介するSFアドベンチャーゲーム「遠来」も、人類と宇宙人のファーストコンタクトを描いた作品だ。

タイトル画面
タイトル画面

 「遠来」は、要所要所で行動を選びながら進めるコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。シナリオを“読ませる”部分が多いので、むしろアドベンチャーノベルといったほうが正しいかもしれない。オープニングストーリーはこんな感じだ。ときは宇宙歴353年。主人公の“オレ”ことフタバ・ヨウイチは宇宙船スターリム号に乗って外宇宙を冒険していたが、機器のトラブルが原因で未知の惑星に不時着してしまう。その惑星“ラテ”には、驚いたことに人類そっくりのヒューマノイドが生息するだけでなく、20世紀後半の地球とほぼ変わらない文明があった。興味を感じた主人公は、宇宙船の修理が終わるまでの7日間、惑星“ラテ”の調査を行うことにした。

 プレイはゲーム内での7日間。1日あたり15分もあれば十分なので、ゆっくりプレイしても2時間弱で終了するはずだ。コマンドの選択は1日に1~2回。いずれも二者択一で、どちらを選ぶかによって途中の展開や結末が変わるマルチエンディング形式になっている。ゲームの目的はとくに示されていないが、惑星“ラテ”の住民と知り合い、会話を続けるうちに、いくつかの疑問を感じるだろう。地球とあまりにもよく似ているのは、本当に偶然なのだろうか? これほどの惑星がいまままで発見されなかったのはなぜか? そしてプレイヤーが選んだコマンドによって、様々な結末が訪れる。

不時着した惑星には、20世紀後半の地球によく似た文明があった
不時着した惑星には、20世紀後半の地球によく似た文明があった

 謎解きが必要…というほどではないが、グッドエンディング(?)を迎えるには何度かプレイを繰り返す必要があるだろう。1日進むごとにセーブすると、やり直すのも楽になるだろう。また、とりあえず一度最期まで終わらせると、オプションメニューの中にクリアのヒントが表示されるようになるので、それを参考にするのもいいかもしれない。作者のホームページにはネタバレOKの掲示板もあるので、どうしても行き詰まってしまったら、そちらをのぞいて見るのも手だ。

 セーブしながら何度か繰り返して、ようやくシナリオの全貌を知ることができた。現代の地球に宇宙人が訪れるという設定のSFは多いが、その逆、主人公が“宇宙人”として現代の地球によく似た惑星を訪れるという設定が、とても新鮮に感じた。比較的シリアスな内容であるにもかかわらず、コミカルな会話でまとめられているところもいい。グラフィックも美しく、丁寧かつマジメに作られた作品だと思う。

惑星“ラテ”で出会った少女マヤオア。彼女との会話を中心に物語りは進む
惑星“ラテ”で出会った少女マヤオア。彼女との会話を中心に物語りは進む

【著作権者】TEAM・NagiKaze
【対応OS】Windows 95/98以降
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.3(02/05/16)
【ファイルサイズ】12.8MB

□移ろう刻の狭間
http://www1.neweb.ne.jp/wb/kusanagi/

(三鷹 昭一郎)

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