週末ゲーム
 

【第140回】

ミステリーアドベンチャー「紫蝶」

1,200年前の忌まわしき呪いを解くため、5人の勇士が妖魔に挑む

(02/06/28)

 アドベンチャーゲームは、主人公の置かれた状況が重要だ。なぜ主人公はそこにい るのか? なぜ主人公は“冒険”をしなければならないのか? こうした理由付けが 希薄だと、ゲーム全体の魅力も薄くなってしまう。設定を決めた時点で、ゲームとし ての魅力の大半が決まってしまうといっても、過言ではないだろう。今回紹介する「紫 蝶」は古都の怨念を題材に選び、神秘的かつオカルトな雰囲気の中で謎解きを楽しめ るところが一番の魅力となっている。

タイトル画面
タイトル画面

 「紫蝶」はコマンド選択式でプレイする、学園モノのミステリーアドベンチャーだ。 主人公の桂炎は高校3年生の男の子。ある日いつもどおりに登校すると、見知らぬ少 女から「自分は、1,200年前に妖魔に呪いを掛けられた紫月一族の琴姫。呪いを解き、 この街を守るために、勇士として共に戦ってほしい」と頼まれる。わけもわからぬま ま戦いに巻き込まれた桂炎は、クラスメート3人と共に学園内をさまよう…という設 定だ。

 ゲームは、学内を移動し、アイテムを手に入れたり怪物と戦ったりしながら進行す る。画面は、上側に現在いる場所の絵、下側にはセリフ、画面右側にはコマンドが表 示される。基本的には“見る”“移動する”などのコマンドを選択していく方式だが、 アイテムを探すシーンでは画面内をマウスでクリックする方式、戦闘シーンは互いの ヒットポイントを奪い合うRPGに似た方式が採用されている。移動範囲はあまり広く ないが、そのぶんアイテムの使用や他のキャラとの会話が重要だ。

一族に掛けられた呪いを解くため、1,200年前の世界から蘇ったと語る少女
一族に掛けられた呪いを解くため、1,200年前の世界から蘇ったと語る少女

 この作品はマルチエンディングになっていて、手にしているアイテムや戦闘で生き 残った仲間の数に応じて結末が変わるようになっている。最期に現れる“妖魔”との 戦いが大きく影響するが、これに勝つにはゲーム前半でできるだけ多くのアイテムを 手に入れておく必要がある。教室や書庫、美術室をよく調べて、取り残してしまわな いよう注意しよう。プレイに行き詰まってしまった場合は、作者の公式ホームページ に用意されている「紫蝶攻略チャート」と「ネタバレbbs」が役に立つはずだ。

 ストーリーはもちろん、アイテムと謎解きの関連付けや、それに伴うシナリオの分 岐がよくできている。謎を解かないと先に進めない…つまり同じ場所をぐるぐる回ら なければならないこともあるが、ヒントの多くは登場人物たちのセリフに含まれてい るので、キチンと読めば無理なく解けるはずだ。効果音やBGMもゲームの雰囲気によ く合っていて、存分に楽しむことができた。軽く謎解きを楽しみたい人に、ぜひおス スメしたい作品だ。

戦闘シーンはアイテムを使ったRPG形式で行われる
戦闘シーンはアイテムを使ったRPG形式で行われる

【著作権者】smomope 氏
【対応OS】(編集部にてWindows Me/2000で動作確認)
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-(02/06/01)
【ファイルサイズ】4.93MB

□**PURE工房**
http://www.starcity.ne.jp/~smomope/

(三鷹 昭一郎)

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