【第148回】
コマンド式ホラーアドベンチャー「NightMare」
悪夢の中をさまよう吸血鬼“ラルク”の魂に安らぎあれ
(02/09/20)
ネット上には、無数のオンライン小説が掲載されている。その中でも多くの人に親
しまれ、高い評価を受けているのが吸血鬼“ラルク”を主人公にした藍澤風樹氏の
「EMPTY DREAM」シリーズだ。本編、外伝、関連ストーリーと様々な作品が掲載され、
小説をベースにしたアドベンチャーゲームやCGも公開されている。今回はこの
「EMPTY DREAM」シリーズから生まれた作品「NightMare」を紹介しよう。
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「夢の枷」と「夢の檻」の前後2編の構成になっている |
「NightMare」は、コマンド選択式のアドベンチャーゲームだ。ゲーム版「EMPTY
DREAM」シリーズの4作目で、小説版「EMPTY DREAM」の本編「鮮血の夢」の後日談に
当たる。「NightMare」自体は完結した作品として仕上げられているが、登場人物や
物語の流れを知っていないと十分に楽しめないのではないかと思うので、まず先に小
説を読むか、もしくは「EMPTY DREAM」シリーズの「夢の終わり」と
「BotherRhapsody」をプレイしたほうがいいだろう。逆にこれらの作品を読んだりプ
レイしたことがある人なら、すんなりゲームの世界に入ることができるに違いない。
ゲームの主人公は、「EMPTYDREAM」シリーズに登場する吸血鬼“ラルク”の異母弟
“カイル”。ある事件をきっかけに悪夢の中をさまよい続ける“ラルク”を救う…と
いうより、現実に呼び戻すために“カイル”が“ラルク”の心の奥へ入り込むという
ストーリーだ。雨の降りしきる夜に“カイル”と“ラルク”が再開する「夢の枷」と、
“カイル”が“ラルク”の記憶をたどる「夢の檻」の前後2編の構成になっている。
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プレイは画面右側に表示されるコマンドを選んで進める |
アドベンチャーゲームというよりは、むしろサウンドノベルに近い内容で、選択肢
はあまり多くない。むしろ、ストーリーを楽しむことに重点が置かれた、演出重視の
作品であるように感じた。丁寧に描かれた人物、そしてBGMがすばらしい。プレイ時
間も比較的短めで、小一時間もあればエンディングを迎えることができるだろう。ち
なみにエンディングは後編のみ2つ用意され、どちらか一方を終了するとクリアのた
めのヒント画面を見ることもできるようになっている。
冷血で無敵にすら思えた吸血鬼“ラルク”の意外な脆さ。そして一見不仲のように
見える“ラルク”と“カイル”の間に存在する、強い絆。過去の作品と少々イメージ
が異なる部分も感じたが、これまで語られていなかったキャラクターの内面を知る作
品として楽しめるのではないだろうか。「EMPTYDREAM」シリーズが好きな人にはもち
ろん、この際「夢の終わり」からとおしてプレイするのもアリではないと思う。
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生気がなく、ぐったりと疲れているように見える“ラルク” |
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ある少女の死が“ラルク”の悪夢の原因となっていた |
【著作権者】藍澤 風樹 氏
【対応OS】Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.00(02/08/03)
【ファイルサイズ】4.71MB
□銀の盾
http://hp.vector.co.jp/authors/VA022686/
□NightMare
http://hp.vector.co.jp/authors/VA022686/nm.html
(三鷹 昭一郎)