週末ゲーム
 

【第149回】

ホラー系サウンドノベル「ゾウディアック」移植版

今宵、極上のホラーをあなたに…

(02/09/27)

タイトル画面

 ホラーにはいくつかのジャンル、というかタイプがある。明確な定義付けなどできるはずもないが、たとえばヒッチコックが描いたサイコホラー。バンパイアや狼男が登場するゴシックホラー。さらにサスペンスやスプラッターの一部が、これらホラーとして扱われることも少なくない。一方、ゲームの世界ではカプコンの「バイオハザード」やコナミの「サイレントヒル」などバイオホラーが主流で、今回紹介する「ゾウディアック移植版」も、これらの作品に似た雰囲気をもっている。

カイル、エイミー、ジェイクの3人が“ゾウディアック”を訪れるところから始まる
カイル、エイミー、ジェイクの3人が“ゾウディアック”を訪れるところから始まる

 「ゾウディアック」移植版 v1.10は、コマンド選択式でプレイするホラー系のサウンドノベルだ。以前公開されていた「ゾウディアック」完成版 v1.5」を「吉里吉里/KAG」を使ってリメイクした作品で、いつくか既知のバグが修正されていると同時に、画像エフェクトやBGMが強化されている。全体の大きな流れは、写真を素材にした映像を背景に、選択肢を選ぶだけで次々とストーリーが展開するサウンドノベルとして進められるが、ところどころに盛り込まれた謎解きでは、同じ場所を何度も行き来しなければならない古典的なアドベンチャーゲームのように進行していく部分もある。エンディングも5種類用意されており、プレイヤーの行動次第で結末が変わるようになっている。

 ストーリーは、カイル、エイミー、ジェイクの3人が宝探しのために“ゾウディアック”と呼ばれる場所を訪れるところから始まる。しかし3人は雪崩に巻き込まれ、宝探しどころではなくなってしまった。プレイヤーはカイルを演じてゲームを始め、とりあえず自分が生き残ること、そして他の2人を探し出すことが目的となる。雪山をさまよってようやくたどり着いた場所は、無人の“研究施設”。施設のあちこちに意味不明なメッセージが記され、ゾンビと化した怪物たちがカイルに襲い掛かる。“ゾウディアック”とは何か? 残されたメッセージの意味するものは? そして、3人は無事に生還することができるのだろうか?

イメージ写真が効果的に使われている
イメージ写真が効果的に使われている

 攻略の基本は、ゲームの途中で表示される謎解き用のメッセージをきちんと読み、必要があればメモを取っておくこと。メッセージはいずれも比喩的・暗示的だが、あたかもジグゾーパズルのピースがピタリとはまるように、あるとき突然意味することが理解できるようになるはずだ。また、プレイの途中で新しい展開があったときは、もう一度すべての場所を一巡してみよう。行けなかった場所に行けるようになっていたり、アイテムが入手できる場合がある。どうしても謎が解けないときは、「ゾウディアック」の公式ホームページに設置されている掲示板から、ヒントが得られるかもしれない。

 ひととおりプレイしてみたが、これはかなり怖い。周囲の温度がスッと下がるような、肌寒い怖さがある。仕掛けられた謎も秀逸で、惑星やギロチンの謎は、そのヒント用のメッセージも合わせて本当によくできていると思う。唐突にアイテムが出現したり、まったく無関係と思われる行動が新しい展開のカギになったりと少々不条理に感じるところがないわけではなかったが、常識を超えた異空間が舞台であることを考えれば十分納得できるだろう。使われている映像や効果音、BGMもゲームの内容によく合っているように感じた。秋の夜長にもってこいの1本。

あちこちに残された謎のメッセージが意味するものは?   肌寒い映像と効果音が恐怖を演出する
あちこちに残された謎のメッセージが意味するものは?   肌寒い映像と効果音が恐怖を演出する

【著作権者】陽炎/バイオハザード・サイレントヒルを考える会
【対応OS】Windows 95/98/Me/2000/XP
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】移植版 1.10(02/09/24)
【ファイルサイズ】17.6MB

□ゾウディアック
http://home.attbi.com/~zodiac/

(三鷹 昭一郎)

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