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「Windows Media Player 9 シリーズ」日本語版が遂にリリース!!

従来バージョンとはどこが変わったのか? 多彩な魅力に迫る!

(03/01/29)

 すべてのWindowsユーザーにとって、なじみの深いプレイヤー「Windows Media Player」。OSに標準でバンドルされているということもあるが、これさえあれば音楽CDも再生できるし、MP3/WMA形式といった音楽ファイル、AVI/MPEG形式の動画ファイルのほか、ストリーミング放送の動画までもが再生できるなど、まさにマルチメディア対応のプレイヤーであり、ユーザーにとっては強力なツールである。また単に再生するだけでなく、音楽CDの音声データをWMA形式に変換したり、音楽CDをCD-ROMドライブにセットするだけで曲名やアーティスト名が表示されるなど、いろいろな機能が搭載されている。

 これまででも十分過ぎる機能をもっていたように思える「Windows Media Player」だが、今回公開された「Windows Media Player 9 シリーズ」では、さらに大きなバージョンアップが図られた。とくにブロードバンドに対応したコンテンツ配信に関する機能が強化されるとともに、音質が向上したり、サラウンドに対応するなど、一段とジャンプアップしている。またマイクロソフトは、今回のバージョンアップを単にプレイヤーとしてだけではなく、“Windows Media 9 シリーズ”という一連のアーキテクチャーとして発表している。これは、ユーザーにとってどんなことを意味しているのだろうか?

 「Windows Media Player 9 シリーズ」には、標準バージョンであるWindows XP用と、一部使えない機能があるWindows 98/Me/2000用の2種類が存在するが、ここではWindows XP用を基本に見ていくことにする。また、「Windows Media Player 9 シリーズ」にどんな機能が搭載され、何ができるのかという視点で紹介していくことで、“Windows Media 9 シリーズ”というアーキテクチャーの全体像を捉えてほしい。

ストリーミングのファストスタート

 従来ストリーミング放送を再生しようとした場合、バッファリングにかなり時間がとられ、なかなか再生がスタートしなかった。しかし、“Windows Media 9 シリーズ”においてはこの問題が解消され、すばやい再生(ファストスタート)が可能となった。待ち時間は従来の1/3以下に短縮されており、ストレスのない再生ができる。これは、オンデマンドコンテンツだけでなく、ライブ放送でも有効。また先送りしたり、前に戻すなどストリーム内を移動させた場合もスムーズに再生を再開することが可能となる。

最適なビットレートの自動選択

回線速度を自動的に検知
回線速度を自動的に検知
 現在のストリーミング放送では、56kbpsと300kbpsなどのデータが用意されており、ユーザーが自分の状況に合わせて選択する必要がある。しかし、今回の「Windows Media Player 9 シリーズ」では、回線速度を自動的に検知し、最適なビットレートを自動的に選択してくれるようになっている。また、常に回線速度をモニターしているため、再生のスタート時だけでなく、途中で通信品質が落ちた場合でも、それに対応することが可能だ。

ビデオフレームのスムージング

ビデオフレームのスムージング
ビデオフレームのスムージング
 ダイアルアップ環境などのナローバンド接続では従来、ストリーミング放送の動画を再生するのはなかなか難しかった。不可能ではないにしろ、画面が非常に小さかったり、フレーム落ちでカクカクした動画になってしまうのが常であった。しかし、「Windows Media Player 9 シリーズ」では、ビデオフレームのスムージングという機能が搭載されている。つまり、フレームとフレームの間を補完する画像をローカル側で自動生成するので、滑らかな動画再生が可能となるのだ。ブロードバンド環境においては不要なものなので、この機能をオフにすることもできる。

ミニプレーヤーモード

ミニプレーヤーモード
ミニプレーヤーモード
 より小さな画面のプレイヤーがほしいというニーズに応えてくれたのがミニプレイヤーモード。これは、「Windows Media Player 9 シリーズ」を最小化したときにWindowsのタスクバーに格納できてしまうというものだ。格納後は、小さなメニューながらも機能的には充実しており、音声・動画ファイルをライブラリから簡単に階層メニューで選択できたり、曲を聴きながら音量調整、視覚エフェクトの表示、メディア情報の表示など、一通りのことができる。

可変速再生

可変速再生
可変速再生
 VHSビデオのプレイヤーなどによくある、高速再生時でも音声の音程は変化させず言葉が理解できるように再生するという機能がコレ。倍速で再生しても、話の内容が十分に理解できる状態を保つことができるほか、再生中に動画・音声ファイルのスピードを上げたり、下げたりすることもできる。たとえば、会議を録音したものであれば倍速で再生させて概要を把握するとか、反対に英語教材を聞く場合は半分のスピードで再生してしっかり聞き取るなど、用途に応じて再生速度を変化でき、なかなか便利だ。なお、再生スピードは1/16~16倍速まで変化させることが可能。

オーディオのクロスフェード

オーディオのクロスフェード
オーディオのクロスフェード
 複数の曲を連続して再生する場合、クロスフェード機能を使うことで、前の曲と次の曲の間に無音の空白を置くことなく、スムーズにつなぎ合わせることができる。つまり、前の曲の終わりと次の曲の始めを重ね、前者をフェードアウト、後者をフェードインさせる機能だ。この機能を利用すると、手持ちの音楽CDから生成したデータを、まるでノンストップCDのような感じに仕立て上げることができる。

音質を劣化させないWMA Lossless

可逆圧縮のWMA Lossless
可逆圧縮のWMA Lossless
 マイクロソフトが開発したWMA(Windows Media Audio)は、MP3形式のようなオーディオ不可逆圧縮技術の一種で、現在かなり普及している。このWMA形式は高音質ではあるものの、不可逆圧縮なので少なからず音質が劣化してしまう。しかし、今回登場したWMA Lossless形式はその名の通り、音質劣化しないというのがポイント。しかし、1枚の音楽CDをWMA Lossless形式に変換した場合に、音楽CDの1/3~1/2程度の容量までしか圧縮できず、64kbpsのWMA形式に比較したときの実に10倍近いファイルサイズとなってしまうなど、圧縮率は大きく落ちる。とはいえ、音質劣化のないこのWMA Lossless形式は、オーディオファンにとって非常に魅力的な機能である。

5.1chをサポートするWMA Professional

 WMA形式には今回、上記WMA Lossless形式とともにWMA Professional形式という規格も新たに登場している。これは、5.1chや7.1chといったサラウンドサウンドを扱うための規格。つまり、映像と組み合わせて動画にすることでDVDのようなサラウンド放送が可能になるのだ。最近は低価格になったこともあってハード面でサラウンド環境を構築しやすくなっており、WMA Professional形式を堪能できるユーザーも少なくないのではないだろうか。なお、WMA Professional形式には、サラウンドのほかに24bit/96kHzといった高音質に対応したモードも用意されている。

効率的なオーディオ圧縮を実現する可変ビットレート

可変ビットレートが可能になった
可変ビットレートが可能になった
 MP3形式ではすでに実現されていたが、WMA形式には今までなかったのが可変ビットレート、つまりVBRでの圧縮。64kbpsや96kbpsと、ビットレートを固定してしまう従来のCBRと異なり、平均的に約64kbpsでデータを生成するこのVBRを利用することで、複雑な部分は圧縮率を下げ、簡単な部分は圧縮率を上げるといった柔軟性をもたせ、より効率的なオーディオ圧縮を実現する。これにより、同程度の音質でありながらもファイルサイズをより小さくすることが可能となる。

自分のお気に入りだけを聞くための自動評価と個人評価

5点満点の評価
5点満点の評価
 「Windows Media Player 9 シリーズ」で新たに搭載されたユニークな機能が、曲の自動評価と個人評価。ライブラリに登録されている音声ファイルに対して、自分の評価(5点満点)を入れて、評価の順に好きな曲が自動的に選択・再生されるように設定できる。またすべての曲を評価するのは面倒なので、曲の再生頻度を元にして自動的に評価をつけることも可能となっている。

プレイビュー画面でのインフォセンター表示

インフォセンター表示
インフォセンター表示
 WMA形式の曲を再生しているときに、その曲のアーティスト名やアルバム名などを詳しく知りたいと思うこともある。そんなときに、ネットワーク上のサーバーから即情報を引き出すことが可能なのがインフォセンター表示機能だ。単にアルバム名などだけでなく、ジャケット写真やアーティストの指針ニュース、ホームページへのリンクを表示することなども可能になる。とにかく、単に音楽を聴くというだけにとどまらず、さまざまな情報を手に入れることができるというのは、従来の家電では絶対に不可能だった便利な機能だ。ただし、残念ながら邦楽に関してはジャケット写真が提供されるメドは立っていない。

歌詞の同期をとる高度なタグエディター

高度なタグエディター
高度なタグエディター
 「Windows Media Player 9 シリーズ」には、MP3/WMAファイルなどの拡張タグに登録されたムード、コメント、アーティストの写真、歌詞など35種類以上のメディア情報を表示したり、それらの拡張タグを編集するためのタグエディター機能が用意されている。とくに歌詞に関しては、曲と同期が取れるようになっており、ちょうどカラオケで表示される字幕のように、曲の進行にしたがって歌詞を表示させることが可能となる。できれば、こうした歌詞が始めから埋め込まれたファイルを手に入れられるようになっていると便利なのだが、やはり著作権上は難しいらしい。したがって、歌詞表示させたければこのタグエディター機能を使って自分で入力するしかなさそうだ。

自由度の高いオリジナルデータを生成

「Windows Media Encoder 9 シリーズ」
「Windows Media Encoder 9 シリーズ」
 ここまで「Windows Media Player 9 シリーズ」の各新機能について紹介したが、より突っ込んだ使い方をする際に役立つのが「Windows Media Encoder 9 シリーズ」という別ソフト。これは、「Windows Media Player 9 シリーズ」で再生させるためのデータを生成できるツールで、音声と映像、またはそれらを組み合わせた動画のデータも自由に作り出すことができる。たとえば、前述のWMA Lossless形式も、「Windows Media Encoder 9 シリーズ」を用いて生成することが可能。また、動画をWMV形式に変換したり、それにBGMを入れるといったことも可能だ。さらに、この「Windows Media Player 9 シリーズ」を利用することでストリーミング放送自体を行うこともできる。それなりのマシンパワーは必要になるが、やろうと思えばライブ放送だって可能となっている。

 以上、「Windows Media Player 9 シリーズ」を中心に“Windows Media 9 シリーズ”について紹介してみた。プレイヤーをパッと見た感じでは、あまり大きく変化がないようにも思えるが、実は非常に進化しているということをお分かりいただけたと思う。このソフト、数万円、場合によっては数十万円してもおかしくないぐらいの多彩な機能を備えているのだが、もちろん従来どおりタダ。これを使わないという手はないだろう。

・「Windows Media Player 9 シリーズ」
【著作権者】Microsoft Corporation
【対応OS】Windows 98/Me/2000/XP
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】9.00.00.2980(03/01/29)

・「Windows Media Encoder 9 シリーズ」
【著作権者】Microsoft Corporation
【対応OS】(編集部にてWindows 2000/XPで動作確認)
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】9.00.00.2980(03/01/29)

□Windows Media 9 Series
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/9series/
□SUPER 9 WEEKS(さまざまなジャンルのコンテンツを視聴可能)
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/9series/super9/default.asp

(藤本 健)


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