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【第164回】
アドベンチャーゲーム「PicturalStory -twei-」
芸術家の街で画家を目指す青年と女の子の物語
(03/02/28)
アドベンチャーゲームの多くは、文字どおり“冒険すること”…たとえば危機的な状況でのサバイバルや宝探しがテーマになっていたり、事件の究明と犯人探しを行うミステリーが主流だ。いずれにしても非日常的な設定のものがほとんどで、全体に演出過多の作品が増えているような気がしてならない。しかし、今回紹介する「PicturalStory -twei-」は、ひとりの人間の成長と出会いを穏やかに描いている、まったりとした作品だ。
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女の子と親しくなり、絵のモデルになってもらうのが目的 |
「PicturalStory -twei-」は、コマンドを選択してプレイするアドベンチャーゲーム。しかし、ゲームの中にはちょっとした色当てクイズやマウスを使ったミニゲームが盛り込まれているほか、登場する女の子たちとの好感度を高める恋愛シミュレーションゲーム的な要素も加味されている。プレイヤーが演じるのは、父が伝説の画家でありながら、父のことや絵のことを知らずに生きてきた青年。父が伝説の画家として崇められている街で芸術家としての腕を磨き、3年間という限られた時間の中で名声を高め、知り合った女の子に絵のモデルになってもらうのが目的だ。なお、このゲームは同じ作者が公開している「PicturalStory」の続編に当たるが、前作をプレイしていなくても十分楽しめる内容となっている。
コマンド選択式のアドベンチャーゲームといっても、プレイヤーがやらなければならないことは結構多い。まず1つは、さまざまな人物たちと知り合い、自分の住む街のことやライバルの画家などの情報を得ること。2つめは、絵画教室に通って画家としての基本を学ぶこと。そして3つめは、登場する7人の女の子との交友親交を深めることだ。ゲーム後半では描いた絵を売って収入を得ながら女の子にプレゼントを贈り、展覧会での入賞を目指すことになる。いつどこで誰と話をするか、画家としての能力と名声をどれだけ高めることができるかによって、エンディングが変わる仕組みになっている。
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示された色と同じ色を当てるミニゲーム |
このゲームでは何か1つ行動を行うたびに1週間が過ぎてしまうので、もたもたしているとアッというまに3年が過ぎてしまう。ムダな行動を最小限に抑えるのが、ハッピーエンドを迎えるために欠かせない条件だ。そのためには、絵の訓練をできるだけ早く終わらせることが重要となる。与えられた課題をクリアできないと次の週にもう一度挑戦しなければならないので、細かくセーブしながらクリアしていこう。また、登場する女の子全員と親しくなるのは時間的・経済的に難しいので、誰か1人“本命”を決めてアタックしたほうがいい。主人公が画家として成功するためには、ライバル画家の青年ヒクソンとの会話が重要になる。彼から、展覧会に関する情報を聞き出すことも忘れないように。
アドベンチャーゲームといってもミニゲームふんだんにも盛り込まれており、コマンドを選択するだけの単調な作業に終始しないので、完成度は非常に高い。イベントや会話もたっぷり用意されており、一度プレイしただけではシナリオ全体が見えない奥の深さもある。なにより、作品全体が醸し出す雰囲気がとてもいい。油絵調の背景画と落ち着いたBGM、そして軽妙な会話など、気軽にそして楽しく遊べる素晴らしい作品だと思う。
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ランダムに動くマウスの動きを上手にトレースできたかどうかで絵の値段が変わる |
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絵を売って得た収入で、女の子にプレゼント。好感度アップを目指せ!! |
【著作権者】東 真哉 氏
【対応OS】Windows(編集部にてWindows 2000/XPで動作を確認)
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.15(03/01/14)
【ファイルサイズ】12.2MB+77.0KB(差分ファイル)
□Rare Reality
http://hgashi.tripod.com/
□RedLetter
http://hgashi.tripod.com/redletter/
(三鷹 昭一郎)