|
「Internet Explorer 7」がついに登場、新機能や使い勝手を探るタブやRSS、Web検索、フィッシング対策など、流行を取り入れた王者IE
(06/11/02)
しかし、これほど長い期間に渡って大きなバージョンアップがなかったIEにも、強い味方が存在していた。それは、個人や企業などが制作したツールバーやプラグインなどのアドオンソフトだ。IE用アドオンと言えば、オンラインソフト界で定番ジャンルとして地位を確立している。これまでのIEは、機能がシンプルであったために、アドオンを利用して自分なりに使い勝手を向上させる、という楽しみもあったのかもしれない。 一方IE以外のWebブラウザーは、インターネットの普及にともなって、機能の革新が著しかった。とくにWindows XPが発売された2001年以降は、独自エンジンを搭載する「Mozilla」「Firefox」や「Opera」のほか、日本国内を見ると個人制作で始まった「Lunascape」「Sleipnir」など、多機能かつカスタマイズ性が高いWebブラウザーに注目が集まり、“タブ切り替え”が1つの大きなキーワードだった。また最近では、RSSとの連携がWebブラウザーに欠かせない要素になってきている。 今回公開されたIE7にも、タブ切り替え機能とRSSリーダー機能が標準で搭載されている。IE以外のWebブラウザーを利用しているユーザーにとっては、『ようやく搭載された』という表現のほうがむしろ正しいかもしれない。しかし、圧倒的なシェアを誇るIEがタブとRSSという重要ファクターを手に入れたことは、ユーザーだけでなく、Webと関わる企業などからも注目を集めるのは間違いないだろう。本企画では、IE7の新機能や使い勝手を、旧バージョンのIEとの比較などを交えながら探っていこう。
□Microsoft Internet Explorer 7 : ホーム IE7はWindows XP/Server 2003専用なので、ほかのOS上では利用できない。旧バージョンのIEに上書きされる形でインストールされ、“お気に入り”や履歴、Cookieなどのデータがそのまま引き継がれる。また筆者の環境では、IE6にインストールしていたツールバーやプラグインもIE7へ引き継がれて、おおむね問題なく利用できている。ただし、利用できないアドオンもあったので、IE6用のアドオンが必ずしもIE7で利用できるとは限らないようだ。 また、IE7の初回起動時にはセットアップ画面が表示され、Web検索ツールバーで利用するWeb検索サービスを変更したり、フィッシング対策機能やClearTypeフォントのON/OFFなどを設定できる。これらの設定はあとからでも変更できるが、ClearTypeフォントはそもそも日本語に完全対応していないのでOFFでもよいだろう。
上段のツールバーには、アドレスバーを挟むように[戻る][進む]と[更新][中止]ボタンが配置され、その右側にIE7の新機能である“インスタント検索ボックス”が新設されている。インスタント検索ボックスとは、Web検索サービスをすばやく利用できる機能で、ほかのWebブラウザーでは“検索バー”などと呼ばれることが多い。この上段のツールバーはすべてが一体化しているので、ツールバー全体を下段へ移動したり、[戻る]などのツールボタンを配置換えすることができない。 下段には、IE7の目玉機能“タブ”と、IEの各種機能や設定画面を呼び出すボタン群“コマンドバー”が配置されている。また左端にある星マークは、お馴染みの“お気に入り”を呼び出すボタンだが、IE7の“お気に入り”は一味違ったものに改良されている。従来の“お気に入り”は、エクスプローラバーに表示できる機能の1つであったため、エクスプローラバーを拡張するプラグインを利用すると、“お気に入り”を同時に表示することができなかった。IE7では、“お気に入り”の表示領域が“お気に入りセンター”という別枠に設けられているので、“お気に入り”とプラグインの同時表示が可能だ。
Webページを新しいタブで開くには、タブ右隣のボタンまたは[Ctrl]+[T]キーを押して空白のタブを作成し、“お気に入り”などから閲覧したいWebページを選択すればよい。もしくは、閲覧ページ上のリンクを[Ctrl]キーを押しながらクリックして、リンク先のページを新しいタブで表示する方法もある。一方、Webページをタブではなく新しいウィンドウで開きたい場合は、従来どおり閲覧ページ上のリンクを[Shift]キーを押しながらクリックすればよい。もちろん、IEのショートカットファイルをダブルクリックすれば、ウィンドウがもう1つ起動する。 タブが複数表示されている状態のときは、タブをクリックすることで閲覧ページを切り替えられるほか、[Ctrl]キーを押しながら[Tab]キーを押せば、タブを左から右へ順次切り替えることも可能だ。また、タブはドラッグ&ドロップで並び順を入れ替えられるので、関連するWebページのタブを隣に並べたいときに便利だ。
そこで、この欠点を補うために設けられたのが“クイック タブ”機能だ。タブ群の左側にある[クイック タブ]ボタンを押すと、各タブで現在開いているWebページのサムネイル画像が一覧表示される。一覧でサムネイルをクリックすれば、該当のタブをアクティブにできるほか、各サムネイルの右上にある[×]ボタンで該当のタブを閉じることも可能だ。この機能を活用すれば、タブに不慣れな人でも複数のタブをスムーズに管理できるだろう。
また設定画面では、Webページを開いたときのタブ動作を細かく指定できる。まず画面上部のチェックボックスでは、Webページを新しいタブで開いた際にそのタブをアクティブにするかどうか、新しいタブの作成位置をどこにするかなどを設定可能。 設定画面下部のラジオボタンは、ポップアップで表示されるWebページをタブとウィンドウのどちらで開くのかを指定でき、状況に応じてタブとウィンドウを自動で切り替えるモードもある。さらに、メールソフトなどの外部アプリケーションでWebページのリンクをクリックしたときに、そのWebページを新しいタブと新しいウィンドウのどちらで開くのかを指定することが可能。 そのほか、インターネットオプションの[詳細設定]にもタブ関連の設定項目があり、[Ctrl]+[Tab]キーでタブを切り替える際に、タブの並び順に関係なく、Webページを表示した順番でタブをアクティブにするよう設定できる。
たとえば「Firefox」では、登録したRSSの最新記事がブックマークとして取り込まれ、ブックマーク名で記事タイトルを確認したり、そのブックマークをクリックして実際の記事ページを閲覧できる仕組みになっている。また「Opera」では、同梱のメールソフトを使って、RSSの記事をメールのように受信する仕組み。 IE7のRSSリーダー機能は、「Firefox」や「Opera」とはまた違う手法。そもそもRSSはXML形式のデータファイルで、Webコンテンツの1つではあるが、このRSSファイルをWebブラウザーで開いても単なるデータでしかない。ところがIE7には、RSSファイルのデータを読みやすいように整形したうえで、Webページとして表示してくれる機能が搭載された。これによりIE7では、RSSファイルを読み込むだけで最新記事のタイトルがタブに一覧表示され、各タイトルをクリックすれば配信元の記事ページへアクセスできる。つまり、最新記事を集めたリンク集のような感覚で、RSSファイルを閲覧できるわけだ。 またIE7は、RSSを配信しているWebサイトを自動認識する機能もあり、RSSを配信しているWebサイト表示すると、コマンドバー上にあるRSSマークのボタンが点灯する。このボタンを押せば、閲覧サイトのRSSファイルをアクティブなタブで開くことが可能。このとき、記事タイトル一覧の上部にある[このフィードを購読する]をクリックすることで、閲覧中のRSSをいつでもチェックできるように登録することができる。
さらに、“フィード”画面でRSSのプロパティを表示すれば、登録したRSSを定期受信するように設定でき、受信後には新着記事があるRSSの名前を太字で表示してくれる。RSSの受信間隔はWebサイトごとに設定でき、15分・30分・1時間・4時間・1週間・1日間隔から選択可能。また、RSSは手動で受信することもでき、“フィード”画面上の右クリックメニューなどで、登録済みのRSSを個別または一括で受信できる。
IEの開発元であるマイクロソフトは、Web検索サイト“MSN”を運営しているので、検索ボックスから利用できるWeb検索サービスは、もちろんMSNの“Live Search”であろうと予想する人も多いだろう。しかし実際は良い意味で予想を裏切り、利用したいWeb検索サービスをユーザーが自由に選択できるように設計されている。 Web検索サービスを新たに追加したい場合は、まず検索ボックス上の[追加プロバイダの検索]メニューを選択して、マイクロソフトのWebページにアクセスしよう。すると、検索ボックスに対応するWeb検索サービスが、Webページ上に一覧表示されるので、あとは追加したいWeb検索サービスを選択するだけでよい。 現在追加できるWeb検索サイトは@nifty、BIGLOBE、DION、excite、goo、Google、MSN、livedoor、OCN、So-net、Yahoo! JAPANの11種類。また、オンラインショッピングサイトのAmazonや楽天市場、Web百科事典のWikipediaなどの検索サービスも追加できる。また、IE7に最適化されたWebサイトを閲覧すると、検索ボックスのメニュー内に、そのWebサイトの検索サービスを追加するための項目が自動表示される仕組みになっている。
さらに“フィッシング詐欺検出機能”以外にも、フィッシング詐欺対策が施されている。IEには、アドレスバーのないウィンドウをポップアップ表示させる仕組みが用意されているが、アドレスバーがないとURLを確認できないため、フィッシング詐欺に悪用されることがあった。そこでIE7では、アドレスバーの有無に関わらず、WebページのURLが必ずウィンドウ内に表示されるようになっている。
そのほか、Webサイトのアイコン画像“favicon”への対応が強化されている。IE6では、キャッシュ削除などが原因で、“お気に入り”内の“favicon”も一緒に消えてしまうことがあり、その後も“favicon”が自動で再取得されなかった。しかしIE7では、“お気に入り”からWebページへアクセスするたびに“favicon”を取得するので、最新のアイコン画像を常に表示できるようになっている。
今回公開されたIE7は、2年間もバージョンアップがなかったこともあり、新機能のオンパレードといった印象だ。時代の流れに合わせて、流行の機能も一通りカバーしており、既存のIEユーザーは迷うことなくIE7へバージョンアップすることをお勧めする。 またIE7の登場で、“Webブラウザー戦争”が再燃するかもしれない。WebブラウザーのデファクトスタンダードであるIEが、タブ切り替え型になることで、もはやWebブラウザーはタブ切り替え型であることが前提になってくる。つまり、ほかのWebブラウザーはタブを売りの機能として押し出せなくなるわけだ。今後は、さらなる付加価値がWebブラウザーに求められるようになるだろう。 最後に、IE7の個人的な感想を述べると、RSSリーダー機能の使い勝手がいまひとつ。できれば、RSSリーダー機能は“お気に入りセンター”内で完結してほしかった。そもそもRSSは、Webサイトを表示することなく、省スペースで記事タイトルをチェックできることがメリットの1つだ。しかしIE7のRSSリーダー機能は、RSSの詳細をタブで表示するまで記事タイトルを確認できないため、RSSの手軽さが薄れてしまっている。そのほか、タブ切り替え型Webブラウザーを愛するコアなユーザーにとって、IE7のタブは物足りないかもしれない。だが、IE7は初出航したばかりなので、今後のバージョンアップやアドオンの公開に期待していこう。
|
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トップページへ 特集・集中企画INDEXへ |