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【第284回】
妖怪アクションノベルゲーム「あやかしよりまし」“妖(あやかし)”が見える少年とさまざまな妖たちが織りなす物語
(06/11/10)
インターネット上で公開されているゲームは、大手メーカーが制作・販売している大作から、個人が趣味で制作して無料で公開しているものまで、ジャンルや価格を問わず、さまざまなものが存在している。しかし、公開されているゲームの数が多すぎて、どんな作品が存在し、どの作品が本当に面白いのかを判断できずに困っている方も多いだろう。そこで『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、“妖(あやかし)”が見える少年の家に迷い込んだ“座敷わらし”の女の子がもたらす、出会いと事件を描いたノベルゲーム「あやかしよりまし」を紹介しよう。
本作はノベルタイプのアドベンチャーゲームだ。画面には実写による背景画像と、さまざまな表情やポーズが用意されたキャラクターイラストが表示され、その上に重なる形で画面全体に小説形式の本文が表示される。物語の途中に選択肢などは一切用意されておらず、プレイヤーはマウスクリックで文章を読み進めていくことになる。総プレイ時間は3時間程度と気軽に読むことができ、本編のクリア後には、ちょっとしたおまけシナリオが用意されている。
物語の見せ場では、画面全体を使用した一枚絵が表示され、ゲームを盛り上げてくれる。プレイ中は、右クリックでメニュー画面を呼び出すことができ、文章表示を消してイラストをじっくりと鑑賞したり、セーブ・ロード機能を利用可能だ。また、過去に読んだ本文をさかのぼって表示する履歴機能や、本文表示フォントの変更機能なども利用できる。
本作には、能天気な性格で修一郎と同じく妖が見える、姉の“稲生 楓(いのう かえで)”や、修一郎のクラスメイトといった人間たちに加えて、さまざまな妖怪たちが登場する。妖怪というと恐ろしいものを想像してしまいがちだが、彼の家に住み着いている妖は、修一郎を妖がらみのトラブルから守ってくれる狛犬型の守護霊獣“吽狛(うんこま)”や楓の守護霊獣“阿狛(あこま)”といった味方に加え、TVを見るのが大好きな巨大な生首の妖“おおかむろ”や、ホウキに強い力が宿った存在である“箒神”、家事などを手伝ってくれる“小人”の家族といった大人しい妖たちだ。どこか懐かしさを感じさせる絵柄も相まって、ほのぼのとした独特の雰囲気を作り出している。 また、物語の後半では少年マンガばりの、アクションシーンを交えた派手な展開を楽しむことができるのだが、主人公の少年、修一郎の心の成長も見どころのひとつだ。彼は、子供の頃から人には見えないものが見えるせいで、周囲との付き合い方で一歩退いてしまう生活を送っていたが、紅葉や紗都梨との出会いを通して、彼の心に変化が訪れることとなる。
本作は親しみのもちやすい内容と軽快なテンポでサクサク読めるうえ、読み終わったあと、どこかすがすがしい気持ちになれる。アクション物は好きだけど、血なまぐさい展開は苦手という人や、ちょっと不思議な物語を読んでみたいという人にお勧めしたい作品だ。
【著作権者】冒険野郎のトムソーヤ
□冒険野郎のトムソーヤ (霧島 煌一)
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