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【第302回】
数々の工夫が光るRPG「呪いの海に願いを」快適さとやり込み要素、そして力の入った演出を見よ!
(07/05/18)
インターネット上で公開されているゲームは、大手メーカーが制作・販売している大作から、個人が趣味で制作して無料で公開しているものまで、ジャンルや価格を問わず、さまざまなものが存在している。しかし、公開されているゲームの数が多すぎて、どんな作品が存在し、どの作品が本当に面白いのかを判断できずに困っている方も多いだろう。そこで『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、バリエーション豊かな技と細かい演出、そして快適なプレイを実現するさまざまな試みが盛り込まれたRPG「呪いの海に願いを」を紹介しよう。
細かい演出が光る2D RPG
会話シーンではレオン達をはじめ村人ひとりひとりまで全員顔グラフィックが用意されており、場面に応じて表情が変化する。さらにフィールド上のキャラクターもよく動き、対決シーンで格闘を演じたり、華麗に宙を舞ったりと、プレイヤーの想像を超えたアクションを見せてくれる。そして要所では、見応えあるムービーがドラマに華をそえる。
同じ敵との戦闘が一瞬で終わる“作戦”システムが快適
輝晶片には剛力、勇気、慈愛、機敏、知性、憎悪という6つのタイプがあり、組み合わせる種類や数に応じて新しい技が使えるようになる仕組み。技はおよそ100種類あり、どの技を覚えていくかで戦闘の難易度および戦い方がかなり違ってくる。最終局面へ至るまでに入手できる輝晶片の数は限られているので、パーティーメンバーの3人それぞれを異なるタイプの輝晶片で強化していくのが基本だ。
また、ボス敵、ザコ敵を問わずほとんどの敵には弱点となる属性があり、それを突いて戦うことが重要となる。そのため“炎の刃”や“光の刃”といった属性系の攻撃技は、3人のうち誰か1人は必ず使えるようにしておくといい。
ほかにも、ダンジョンから外に出るとパーティ全員のステータスが全回復するためダンジョンの入り口近辺で効率的にレベル上げができたり、町では行き先をコマンド選択して一瞬で移動できるなど、プレイを簡略化するための仕組みが用意されている。輝晶片の合成や回復アイテムの購入にはお金が必要となるが、調査依頼の報酬でまかなうことができるので、クリアのためにザコ戦でお金を稼ぐ必要もない。このスッキリ感が実に遊び心地よく、いい意味でRPGらしくないテンポのよさでプレイが進んでいくのが新鮮に感じられる。
気軽にプレイできやり込みにも対応する、遊びの幅の広さが魅力一方、やり込み要素もかなりのものだ。およそ100もの技を全部覚えるには、最終局面で購入可能となる輝晶片を買い集めるためお金稼ぎが必要となるし、強さを追求するために、訓練所でお金を払ってステータスをアップさせていくとなれば莫大な時間がかかる。逆に最短でのクリアを目指して、覚える技を厳選していく楽しみ方もあるだろう。RPGのプレイスタイルは、じっくり強さを極めてからクリアする人と最低限の強さでクリアに挑む人で大きく異なるものだが、本作はその両者を満足させるだけの遊びの幅を備えている。数々の特殊な要素を盛り込みつつも遊びの幅を失っていない点には、作者のRPGに対する愛情を感じずにはいられない。
本作は、快適さもやり込みの奥深さもある、優れた一作であることには間違いない。ただひとつ惜しい点を挙げるとすれば、用意した世界設定とストーリーに対して、ボリュームが不足していることだろうか。最終ダンジョンに物語の諸要素がぎっしり入ってしまい、展開が急になってしまっていたので、あと1~2エピソード増やしてイベントを分散させていれば、より理想的だったのではと感じた。言い換えればそれぐらいしか不満な点はない。RPGが好きな人、とくに忙しくてプレイ時間がない人や、RPGの手間暇かかる部分が苦手な人にお勧めしたい。
【著作権者】タンクタウン
□ツクール・ゲーム|タンクタウントップページ (藤井 宏幸)
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