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【第335回】

学園風SRPG「ドラマチックロード 二輪部の挑戦」

学園ドラマとシミュレーションRPGの意外な融合

(08/04/11)
タイトル画面
   

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は現代の学園を舞台としたシミュレーションRPG「ドラマチックロード 二輪部の挑戦」を紹介しよう。

現代の学園を舞台に、学生たちが戦う異色のシミュレーションRPG

現代風のマップで繰り広げられる学生たちの戦い
現代風のマップで繰り広げられる学生たちの戦い
SRPGの肝となるステータスの充実ぶりがすばらしい
SRPGの肝となるステータスの充実ぶりがすばらしい
ボス級の敵に接近すると会話が発生する場合も
ボス級の敵に接近すると会話が発生する場合も
 「ドラマチックロード 二輪部の挑戦」は、フィールドマップ上に配置された自軍のユニットを動かし、敵軍を撃破しつつクリアを目指すステージクリア型のシミュレーションRPG(SRPG)だ。SRPGはファンタジーを舞台にしたものが多いが、本作は現代の“暁雲学園”を舞台に、学生たちの戦いが描かれるのがユニーク。主人公の“平野タケシ”が率いる“二輪部”は、反乱を起こした“アラスカ横断部”の攻撃を受けて学園の異変を知り、事実を究明して学園を救うために戦いへ身を投じていく。

 本作は1,050円(税込み)などでダウンロード販売されており、全40ステージのボリュームを誇る。作者サイトで公開されている体験版ではこのうち10ステージまでプレイでき、セーブデータを製品版に引き継ぐことが可能だ。

 最初のステージではわずか3ユニットでの戦いになるが、続々と仲間は増えていき、最終的には総勢40名を越える。主人公などの“リーダーユニット”もしくはそのステージの重要人物が倒されるとゲームオーバーで、それ以外の仲間は倒されると次ステージは出撃不可となる。

 ユニットにはその能力を特徴づけるさまざまなクラスが用意されているが、これも現代風でおもしろい。たとえば、移動距離の長い“オートライダー”はバイク乗り、飛行ユニットの“ウイングライダー”は鳥人間部、防御力が高い“ベースアーマー”は野球のキャッチャー、間接攻撃ができる“ベースアーチャー”はピッチャーといった具合だ。ユニットが実行できるコマンドは移動や攻撃のほか、アイテムを使う“物品”、特定の敵ユニットを仲間にする“説得”などがある。

 戦闘はターン制で、自軍ユニットの操作を終えたら敵軍のターンとなり、その繰り返しで進行する。各ステージにはクリアまでのターン数制限があり、50ターン以内にクリアできないと敗北となってしまう。セーブはステージ間に行えるほか、戦闘中は5ターンに1回“戦況記録”コマンドでセーブ可能だ。

 戦闘に必要な装備品や回復アイテムはステージ間にある“設定フェイズ”で購入する。資金はステージクリア時に得ることができ、クリアにかかったターン数が少ないほど獲得資金が多くなる仕組み。なお、武器は一度購入すると捨てる以外に外す手段がないので、慎重に選択しよう。また、ステージ中ではマップ上の民家やダンボールなどからアイテムを入手できることもある。よいアイテムが多いので、確実に回収していこう。


“説得”で仲間を増やしていかなければ勝利への道は遠い   民家を訪問するとアイテムや仲間を得られることがある
“説得”で仲間を増やしていかなければ勝利への道は遠い   民家を訪問するとアイテムや仲間を得られることがある

戦略に加え運も必要。手強いがやり応えのある本格派

戦闘では“スキル”の発動が生死を分ける鍵となる
戦闘では“スキル”の発動が生死を分ける鍵となる
学園の危機は思わぬ展開を見せる。“二輪部”の行く手に待つのは……?
学園の危機は思わぬ展開を見せる。“二輪部”の行く手に待つのは……?
 本作はステージの内容がかなり作り込まれており、なかなかの手応えだ。適当に進められるのはステージ1、2くらいで、以後は慎重かつ計画的な行動が必要だが、さらに運が要求される。なぜなら多くのユニットには一定確率で発動する“スキル”があり、これが発動するとダメージ計算が大幅に狂ってしまい、大被害を受けることが多々あるからだ。

 たとえばクラス“バーバリアン”の“強振”というスキルは一定確率で大ダメージとなり、当たればほとんどのユニットは即死か瀕死。同様に“ベースバッター”の“連続”が発動すれば2~3回攻撃で昇天となりかねない。そのため“戦況記録”でこまめにセーブしつつ進めたいのだが、セーブは5ターンに1回の制限があり、さらにクリアまでのターン数が多いとクリア時に入る資金が減ってしまう。おまけにステージによってはターンごとに敵の増援が来る場合もあり、慎重すぎて50ターンを経過してしまいゲームオーバーというケースも。何とも手強いシミュレーションである。

 とはいえ、これだけ強力なスキル設定やステージ構成でありながら、なんとか先へ進んでいけるバランス調整は絶妙だと言える。何度となくセーブした場所からやり直しになるものの、それはこのジャンルの草分け的存在である「ファイアーエムブレム」以後、ジャンルそのものの伝統であり、手強くなければ面白くないと言っても過言ではない。SRPGの経験者なら、本作を“わかっている”作品と評するのではないだろうか。その一方、製品版では難易度の低い“ライトモード”が用意されており、SRPG初心者への配慮も忘れられてはいない。SRPGに興味がある人はもちろん、独特の世界観が気になる人も、まずは体験版の10ステージをプレイしてみてほしい。


【著作権者】Projection Nermy
【対応OS】Windows 2000/XP/Vista
【ソフト種別】体験版
【バージョン】0.5
【ファイルサイズ】76.6MB

□Projection Nermy
http://nermy.uijin.com/

(藤井 宏幸)




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