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【第355回】
中編アドベンチャーゲーム「かげろうは涼風にゆれて」初回プレイ時はセーブ不可! “実験”の裏に隠された真実に迫るSFホラー作品
(08/10/17)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、限られた期間の中で選択肢を選びながら物語の真相へと近づいていくアドベンチャーゲーム「かげろうは涼風にゆれて」を紹介しよう。
孤島を舞台に2人の少年少女が“実験”の不可解な謎を解き明かしていく
物語には、主人公たちのほかにも、博士の研究所で警備を担当する“木田”や、研究所の建物や土地の前の持ち主である“谷浦(たにうら)”といった人物が登場し、重要な役割を演じることとなる。
初回プレイ時はセーブ不可などの特殊なシステムがゲームの緊張感を演出
ゲームを開始するには、タイトル画面の[最初から]をクリックしよう。途中でゲームを中断した場合はプレイ中のデータが自動的にセーブされるので、次回からは[続きから]を選べばよい。なお本作には、初回プレイ時は任意のタイミングでの手動セーブが行えない“ファーストタイム・ノーセーブ”と、[最初から]が選択できなくなる“ファーストタイム・ノーリトライ”という特殊なシステムが用意されているため、何らかのエンディングを迎えるまでは、途中のやり直しが一切出来ず、緊張感のあるプレイが楽しめる。 さらに、一度物語の結末を見たあとは、タイトル画面に[エンドリスト]と[プレイログ]が追加される。プレイログには、実時間の何月何日何時何分に初回プレイを開始し、どんな結末を迎えたのかといった情報が記録されていく仕組み。これにより、ゲームの謎をいかに早く解き明かして真のエンディングにたどり着くかという、アドベンチャーゲームの“ゲーム”としての側面をうまく演出しているのが特徴だ。 ほかにも、主人公が記憶しているこれまでの出来事を箇条書き形式で参照できる“記憶の確認”や、特定の条件を満たすと追加される“運命の俯瞰”など、物語の全体像を把握するための手助けとなる仕組みが設けられているので、ゲームの攻略に役立てていこう。
プレイヤーの手で一歩ずつ真相に近づく過程が楽しめる
このように書いてしまうと、敷居の高いゲームだと思われるかもしれないが、本作はこの種のゲームとしては比較的難易度が低いうえ、ゆっくり読んでも1周あたり小一時間程度と短く、一度読んだ文章を高速にスキップする機能も用意されているので、この種のゲームは苦手という人でも気軽にチャレンジできるので安心だ。 また、本作には派手な演出やキャラクターイラストなどはなく、一見すると地味な印象を受けるが、予想外の真実が次々と判明していく展開や、キャラクターの心情を考えさせられるような内容のおかげで、謎解きゲームにありがちな無味乾燥さはあまり感じられない。純粋に物語として見た場合でも、十分に楽しめる作品に仕上がっているのも魅力と言えるだろう。 適度な難易度とプレイ時間で、アドベンチャーゲームの初心者にお勧めできるのはもちろん、推理物などが得意という人でも早解きに挑戦できるなど、幅広いゲームファンにお勧めできる作品と言えそうだ。
□言ノ葉迷宮 (霧島 煌一)
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