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新「Kindle Paperwhite」が登場! 旧モデルから買い替えるべきか1世代ずつチェック

画面が6.8型に大型化、レスポンスは目に見えて高速に

 Amazonから、電子書籍端末のスタンダードモデル「Kindle Paperwhite」の新モデルが登場した。画面サイズが6型から6.8型へと大型化したほか、ページめくりの速度も高速化を果たしており、Kindleで電子書籍を楽しんでいるユーザには気になる1台だ。

左から、Kindle Paperwhiteの第11世代、第10世代、第7世代、第5世代。新製品である第11世代のみ画面サイズは6.8型、ほかはすべて6型となる

 とはいえ、下位にあたるエントリーモデルの「Kindle」からの買い替えであればまだしも、過去のKindle Paperwhiteを所有しているユーザからすると、わざわざ買い替えるだけの価値があるかどうか、判断しかねている人も多いだろう。画面サイズが大きくなっていると言っても、それ以外は変わっていない部分も存在するからだ。

 今回は、この新モデル(第11世代)を、Kindle Paperwhiteの旧モデル3製品(第5世代、第7世代、第10世代)と比較して、どのような相違点があるのか、また実際の速度差がどのくらいあるのかを、動画も踏まえつつチェックしていく。なお画質比較のサンプルには、「Kindle Unlimited」で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第5巻』を許諾を得て使用している。

 なお基本的な知識として、Kindleの各製品における「第○世代」という表現は、原則として発売年によってつけられるため、数字が連続していないことに気をつけたい。例えば現行モデルは第11世代、その前は第10世代だが、もう一つ前は第7世代であり、第9世代・第8世代というモデルや、第4世代以前のモデルは存在しない。見分け方はAmazonのサイトも掲載されているので、参考にしてほしい。

第5世代(2012年発売)とはどこが違う?

 第5世代のKindle Paperwhiteは、Kindleが日本上陸を果たした2012年に発売された、いわばKindle Paperwhiteの初代モデル。現行モデルと異なるのは、画面サイズが6型とひとまわり小さいこと、また解像度が212ppiと低いために細かいディティールの表現が苦手なことが挙げられる。防水機能も非搭載だ。

 なお翌2013年には、速度を25%高速化した第6世代モデルが登場しているが、外見上はまったく同一。また後年のアップデートで、この第5世代と第6世代はページめくりの速度が33%向上している。

 ちなみにこの第5世代と第6世代はソフトウェアアップデートが長らく行われておらず、すでに更新の対象から外れていると見られる。そのため、今年夏にリリースされた新しいホーム画面(バージョン5.14.1以降)は、少なくとも現段階では利用できない。

 現行の第11世代モデルと比べて、画面サイズが小さいだけでなく解像度も低いこと、また動作速度も含めたE Ink電子ペーパーの性能が低いこと、そしてソフトウェアアップデートが今後行われる見通しが低いことを考慮すると、新モデルへと買い替える必要性は、極めて高いと言っていいだろう。

第5世代。画面サイズは6型で、ソフトウェアアップデートがすでに終了していることから、ホーム画面やメニュー類はかつてのデザインのまま。いまとなっては懐かしさを感じる
解像度が212ppiと現行モデルより低いため、細い線の描写が苦手で、髪は完全な黒ベタになってしまう。また現行モデルではほぼ気にせずに済むE Inkの残像もかなり目立つ
【Kindle Paperwhite 第11世代と第5世代の比較】
ページめくり速度の比較。左が現行の第11世代、右が第5世代。ほぼ瞬時に反応する現行モデルと異なり、第5世代は2テンポは待つ必要があり、ストレスが溜まる

第7世代(2015年発売)とはどこが違う?

 第7世代のKindle Paperwhiteは、外観は第5・6世代とほぼ同一ながら、解像度が300ppiに改められ、コミックも実用レベルのクオリティで表示できるようになった。また「マンガモデル」と名付けられた大容量モデルは、通常版のストレージが4GBのところ、32GBを搭載している。防水機能は搭載されていない。

 なおこの第7世代は今年夏のソフトウェアアップデートに対応しており、現行機種と同じホーム画面が利用できる。そのため、ボディデザインで見分けがつかなくとも、最新のホーム画面にアップデートできれば第7世代、できなければ第5・6世代のいずれかという見分け方ができる。

 現行モデルと同じソフトウェアが利用できることに加えて、解像度は現行モデルと変わらないため、買い替えによって表示性能が極端に向上するわけではないが、動作速度の遅さが気になる人、また大きな画面が欲しい人にとっては、買い替える価値は高い。マンガモデルでない通常モデルは容量が4GBと少ないので、そこも買い替えを後押しする要因になるはずだ。

第7世代。外観は第5・6世代と同じだが解像度は現行の第11世代モデルと同じ300ppiで、かつ今年夏にリリースされた新しいソフトウェアも利用できる。ただし画面サイズは現行の第11世代よりひとまわり小さい6型だ
解像度は300ppiなので、表現力自体は現行の第11世代モデル並み。細い線の描写が苦手だった第5、6世代とは別物と言っていいレベル
【Kindle Paperwhite 第11世代と第7世代のページめくり速度比較】
ページめくり速度の比較。左が現行の第11世代、右が第7世代。レスポンスは現行の第11世代とは明らかに異なっており、またページがほぼ瞬時に書き替わる第11世代と違い、白黒反転しながら画面が書き替わる様子が肉眼でもわかるほど遅い

第10世代(2018年発売)とはどこが違う?

 第10世代は2018年に発売されたモデルで、初めてボディデザインが変更になり、第7世代以前のモデルに比べるとひとまわり小さく、軽くなったが、画面サイズ自体は6型のまま。機能面の目玉としては、防水機能を初搭載したことが挙げられる。ストレージの容量が8GB・32GBから選べるようになったのも特徴の一つだ。

 画面とベゼルの間に段差がないデザインは現行の第11世代と共通しており、それゆえ両者を見分けるには画面サイズの違いを見るのが手っ取り早い。なお、この第10世代は今年夏のソフトウェアアップデートに対応しており、現行機種と同じホーム画面が利用できる。

 防水機能が搭載されたことを除けば第7世代とさほど変化はなく、それゆえ現行の第11世代との大きな違いは、画面サイズ、動作速度の有無ということになる。第11世代に買い替えるかはこれらの相違点に魅力を感じるか否かで、価格との相談になるだろう。

第10世代。デザインが一新されてボディはひと回り小さくなったが、画面は6型で解像度は300ppiと、第7世代と違いはない。ちなみに第7世代以前のモデルと違い、画面とベゼルの間に段差がない
解像度は300ppiなので、表現力自体は現行の第11世代モデル並み。第7世代と比べても極端な違いは認められない
【Kindle Paperwhite 第11世代と第7世代のページめくり速度比較】
ページめくり速度の比較。左が現行の第11世代、右が第10世代。レスポンスは前述の第7世代モデルとほぼ同じで、現行モデルに比べると明らかに遅く、また白黒反転しながらの画面の書き替えの様子がはっきりわかるほど遅い

第11世代(2021年発売)はここが変わった

 第11世代は、2021年時点での最新版にあたるモデル。過去のモデルに比べて画面がひとまわり大きい6.8型へと改められたほか、microB(Micro-USB)に代わってUSB Type-C端子が搭載されるなど、「今風」のフォームファクタへと改められている。またページめくりの速度も、上位のKindle Oasisと匹敵するレベルへと向上している。

 ワイヤレス充電に対応した別モデル「シグニチャーエディション」もラインナップされるが、外観および表示性能の相違点はほぼない。なおこの第11世代では無料4Gモデルが廃止されたので、過去のモデルで無料3G/4Gモデルを所有していて、ふだんから重宝している場合、買い替えには慎重になったほうがよいだろう。

第11世代。画面が6.8型へと大型化したものの、同時にベゼル部も細くなったため、ボディの大型化は最小限に留められている。無料4Gモデルはラインナップから消滅した
解像度は300ppiと、従来の第10世代および第7世代と変わらないが、画面サイズがひとまわり大きくなったことで、全体的に見やすくなっている。また前出の動画にもあるように、ページめくり時のレスポンスの速さは歴代モデルの中でトップクラス
左から、Kindle Paperwhiteの第11世代、第10世代、第7世代、第5世代。新しいホーム画面およびメニューが利用できるのは第7世代以降、ダークモードは第10世代以降、色の暖かさの調整機能は第11世代と、細かい違いが見られる