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ブロック生物が自ら歩き方を考える不思議なシミュレーター「Anlife」

物理演算の世界で、より複雑で効率的な動きをする生物に進化させよう

「Anlife」のタイトル画面

話題の生物進化シミュレーター

 2月12日に発売された「Anlife」というゲームが注目を集めている。生物を進化させるシミュレーターだそうで、この原型となるものが宮崎駿監督を怒らせた……という逸話とセットである。

 興味がある方は検索していただくとして、今回はそういう話は抜きで、どんな作品なのかを純粋に見ていきたい。Steamにて1,600円で販売されている。

ブロック生物にエサを与えて進化を促す

舞台となる球体状の世界。最初は何もいない

 本作は球体状の小さな箱庭のような世界で、ブロック型の生命体を進化させていくという内容。物理演算された世界で、ブロックという動くのに適さない形状のモデル生物がよちよちと動く。

 生物は最初は3ブロック程度で構成されたとてもシンプルな形状をしている。それゆえに動きはとてもぎこちなく、1体を構成するブロックのサイズもバラバラだ。1体ごとに違う体の動かし方を試行錯誤しながら、より良い動きを探して学習していく。

とても動きにくそうなシンプルな体で、何とか動こうとする

 効率のいい動きを見つけていくことで、結果的にコミカルな動きをすることもある。それぞれに形も動きも違うので、『この子は見た目と動きがかわいいな』という感情がわいてくる。見た目はブロックで、点のような目が付いただけなのだが。

 生物たちはエサを求めて動こうとする。そしてエサの中には、繁殖を促すものもある。食べさせると、親生物の形状を受け継いだ新たな生物が誕生する。

 また突然変異を促すエサもある。こちらも子供が生まれるのは同じだが、体を構成するブロックの数がランダムに増減する。ブロックが増えれば、手足のように機能して動きが活発になるものもあるが、逆にブロックが減って起き上がることすらままならないものも生まれる。

 どうなれば成功という決まりもなく、時間制限もない。いろんな生物をどうやって生み出していくか、エサをやりながらじっくり考える。

繁殖して新たな生物が誕生。突然変異するとブロックの数が増えることも

泳いだり、空を飛んだりする生物も

 これだけだと完全にシミュレーターだが、プレイヤーが介在する要素も多い。エサをあげたり繁殖を促したりすることでゲーム内のポイントを獲得でき、これを使って新たな要素を解禁できる。

 最初はかなり狭い球体内の世界だが、ポイントでより広い世界に拡張していける。また地形を修正したり、生物のブロックのタイプを変更できたりもする。最初は四角いブロックだけで構成されていたものが、丸いブロックを使えたり、バネのような関節を持たせたりと、モデルの自由度が上がっていく。

ツリー型の機能リストをアンロックしていく

 生物は最初は陸上だけだが、水中や空中にも広がっていく。特に空中生物は、水中生物から繁殖し、空中生物用のエサで突然変異させないと生まれないらしい。生物を自分で配置し、ただエサを与えているだけでは進化しないということだ。

水中生物。見た目は陸上生物とそれほど変わらないような

 空中に出られるようになったとしても、どんな飛行生物が生まれるかはランダム性が高い。飛ぶのに適した形であるかどうかは、実際に動いてくれないとわからない。またブロックの数が増えれば動きが複雑になって賢い動きが可能になるが、消費エネルギーも増えるのでエサをいっぱい用意しないといけない。

 エサは無限に出せるが、多くの生物を配置するとあっという間に食い尽くされる。そしてエサがなくなると、目的を失って動かなくなってしまう。また適切に管理しないと死んでしまうこともあり、水中生物の相手にかまけている間に陸上生物がいなくなっていた、なんてことも起こる。

空を飛ぶ生物は生み出すだけで大変。およそ飛ぶような外見には見えないが、ちゃんと飛ぶ

物理演算で生み出される不思議な動きの生物に何を感じるか?

 本作をゲームとして見るなら、まずはポイントを稼いでいろいろな要素をアンロックしていくのが目標になる。生物を配置し、いろんな進化を試していれば自然とポイントは貯まっていくので、それほど苦労はしない。

 より多くの生物を育てたい、多様で複雑な生物を生み出したいといった目標を立てると、ぐっとゲームらしくなる。ランダムに進化する生物を選別し、うまく繁殖させて、高性能な(という表現が正しいかどうかはわからない)個体を生み出す楽しさは確かにある。どこまで複雑な生物を生み出せるかのチャレンジはかなりハードになりそうだ。

ブロックが増えれば関節が増えて、複雑な動きが可能になるはずだが、動きは生物自身が試行錯誤して学んでいく

 とはいえ、ゲームとして明確な目的があるという感じもないし、時間や物量の制限もない。初期のシンプルな生物がもぞもぞ動く姿を眺めているだけで可愛らしいと感じたら、それで本作は十分なのだと思う。放っておくと死ぬので、お世話はせねばならないが。

 要はユーザーの遊び方次第で、簡単にも難しくもなる。Steamの実績もないようなので、基本的には説明通りにシミュレーターだと思っておくのがいい。ゲームだと思ってやりこもうとすると、割とすぐ終わったと感じるかもしれない。

 ブロックでできた単純な形の生物が、物理演算の世界で試行錯誤する不思議な動きを眺めて、面白そうだなと感じるかどうか。本作が気になるなら、その1点で判断してよいと思う。生物の進化は思ったとおりにいかないが、それもまた面白いと思える方に、ぜひ遊んでもらいたい。

ごちゃごちゃした生き物だらけの世界にするもよし、気に入った個体をのんびり眺めるもよし
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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