いまさら聞けないExcelの使い方講座

AI時代は“分析しやすさ”でExcelの表を整える ~Copilotを前提とした作成方法とは?

Copilotに依頼する前提で、表の形を見直しておこう

 Excelで作成した表に対して、集計や分析をCopilotに依頼する機会が増えていますよね。例えば、担当者別の売上の集計、「未対応」の案件の抽出、月別の傾向のグラフ化といった作業は、Copilotに任せやすい代表的な例です。

 ただし、ここで意識しておきたいのが、元になる表の形です。Copilotは、表が多少崩れていても内容を読み取ります。人が見やすいように用意した空白行や結合セルが含まれていても、できるだけ意図を読み取ろうとします。

 問題は分析に入るまでのやり取りが増えることです。表の範囲や項目の意味が曖昧だと、Copilotから確認されたり、こちらが条件を補足したりする必要があります。新しく表を作るなら、最初からCopilotに伝わりやすい形にしておくほうが効率的です。今回は、実務で見かける表を例に、Copilotとの無駄なやり取りを避ける表の作り方を見直してみましょう。

「見やすい表」が確認の手間を増やすことがある

 報告用に作成した表では、区切りを意味する空白行や小計行が含まれていたり、金額を入力するセルに「未確定」といった文字列を入力していることがあります。

 人が読むだけなら、資料としては見やすく感じることもあるでしょう。しかし、Copilotに「見積金額を集計して」と依頼する場合は、話が少し変わります。未確定な値やメモが含まれている場合、それらを含めるかどうか、または小計行を合計するかといった確認をされることがあります。

「東京と大阪の見積もりの合算を求めてください」と指示したところ、Copilotから集計方法について確認された

 そのままCopilotとのやり取りを続けるのは手間がかかるうえ、回答が正確かどうかも疑わしくなります。別の例として、期限が「6月」の案件を数えてみましょう。

「6月が期限の案件は何件ありますか?」の指示に対するCopilotの回答は「2件」。しかし、本来は3行目の「6月28日まで」と、4行目の「今週中」、10行目の「6月25日」の3件を数えてほしかった

 実際には、6月締め切りの案件は3件ですが、Copilotの回答は2件でした。Copilotが判断に利用した数式は以下の通りです。

=COUNTIF(E3:E5,"*6月*")+COUNTIF(E9:E10,"*6月*")

 ワイルドカードを用いて「6月」の前後に任意の文字列が入力されているかどうかを判断しているため、「今週中」といった文言や、「6/20」という表記が含まれるデータは漏れてしまいます。

 この問題を解決するために、『日付から見て「今週中」も6月中です』といった補足や、期限について細かく指示するのは、Copilotの使い方として本末転倒です。

 そもそもの原因は、複数の情報を1つのセルにまとめた「担当・状況・期限」列です。「担当」「状況」「期限」は、それぞれの列として独立させておくべきです。

 また、1つのシートに複数の表を作成することも避けたほうがいいでしょう。Copilotはある程度、融通を利かせてくれますが、同じ列名が存在する場合など、追加のやり取りが発生したり、間違った回答の原因にもなります。

「担当」列が複数あるため、Copilotが先回りして回答してくれた。実際には「売上一覧」だけを対象にしたかった場合など、Copilotに追加の指示が必要になることもある

一発で伝えるなら「1行1件」「1列1項目」が基本

 Copilotに意図を伝えやすい表の基本は、従来からExcelで推奨されている「データベース形式」です。つまり、1行に1件のデータを入力し、1列には1種類の項目だけを入力します。

 加えて、入力するデータの形式は統一しておきましょう。特に日付や金額を入力するセルに余計な情報を含めてはいけません。先ほどの表を整えてからCopilotに同じ指示をすれば、期待した回答を得やすくなります。

先ほどと同様に「東京と大阪の見積もりの合算を求めてください」と指示した。合計する見積金額が明確なので、正しく集計された
エリアごとの小計と合計も入力された
「期限」列を用意して、日付を入力してある。未定の場合は空白。「6月が期限の案件は何件ありますか?」の指示に正しく回答された

 期限が6月の案件を数える際の数式も変わっていることがわかります。

=COUNTIFS(G:G,">="&DATE(2026,6,1),G:G,"<="&DATE(2026,6,30))

 担当や状況といった複数の情報を1つのセルに含めていた場合は、ワイルドカードが使われていましたが、修正後の表では、Copilotが「期限」列に日付が入力されていると判断して、DATE関数を利用しています。

新しく作る表はAIに渡す前提で整える

 重要なのは、過去に作成したすべての表を無理に作り替えることではありません。報告用のレイアウトとして完成している表や、印刷を前提にした表には、それぞれの役割があります。

 一方で、これから新しく作る表については、Copilotで分析することを前提に形を決めておく価値があります。まずはデータとして扱いやすい形で入力し、必要に応じて別途レポート用の見せ方を作る、という考え方です。

 プロンプトの書き方だけでなく、元になる表の作り方も意識しておくと作業効率が上がります。AIにも意味が伝わりやすい形になっているかも確認してみましょう。