Chromebookって何?

第2回

Windowsとどこが違う? Chrome OSの基本操作とユーザーインターフェイス

タスクバーやスタートメニューに相当する機能もちゃんとある

「Chrome OS」のログイン画面

 ChromebookとそのOS「Chrome OS」について解説する本連載。2回目となる今回は、実際に「Chrome OS」を動かしながら、基礎的な使い方を解説する。

“Google アカウント”でログイン

 「Chrome OS」へのログインは、“Google アカウント”で行う。Windows 10も最近は“Microsoft アカウント”でのログインが(しつこいぐらいに)推奨されているが、Microsoftのオンラインサービスと紐づけずに利用する“ローカル アカウント”も選択できる。しかし、「Chrome OS」は“Google アカウント”との紐付けが必須となっている。Googleのオンラインサービスを利用することが前提となっているわけだ。

「Chrome OS」のログイン画面

 OSのセットアップに難しい点はなく、案内に従って進めていくだけだ。迷うところはとくにないだろう。「Google Chrome」を起動すると、すでにブックマークや拡張機能などが同期されているのがわかる。パスワードも同期されるので、パソコンの「Chrome」でパスワードを覚えさせていれば、Chromebookで新たにWebサービスを利用する際もパスワードを入力する必要はない。

「Chrome OS」はGoogleのサービスを使うのが前提。“Google アカウント”でログインすれば、「Google Chrome」のブックマークや拡張機能などが自動で同期される

 ちなみに、「Chrome OS」はマルチユーザーでも利用できる。家族それぞれがアカウントを作成すれば、1つの端末を共有する場合もプライバシーを保てる。

PINを設定しておこう

 「Chrome OS」を利用する際は“Google アカウント”へのログインが必要だが、ログインの手間を省くために“Google アカウント”のパスワードを覚えやすい・簡単なものにしておくことはお勧めできない。とはいえ、複雑にし過ぎていると「Chrome OS」へのログインが面倒になる。

パスワードの入力よりも手軽なPIN

 そこでお勧めしたいのが、PINの設定だ。これを設定しておけば、数字の入力(6文字以上)だけでログインできるようになる。パスワードの入力よりも手軽だ。

Androidスマホが手元にあれば、パスワードレスでログインすることも

 「Chrome OS」には“Smart Lock”と呼ばれる仕組みがあり、Androidスマートフォンを持っていればパスワードレスでのログインも可能だ。OSのセットアップ時に案内されるので、とくに何もせずに有効になっていることも多いが、利用の際は少し注意が必要だ。

スマートフォンに接続

 まず、以下の要件を満たす必要がある。また、両者は同じ“Google アカウント”でログインし、ペアリングしておかなければならない。

  • Chromebook:「Chrome OS 71」以降
  • スマートフォン:「Android 5.1」以降。Bluetooth接続をONにして、端末のロックを解除しておく

 “Smart Lock”が有効な状態でChromebookのログイン画面を開くと、パスワード入力欄の鍵アイコンが緑色になる。あとはプロフィール画像をタップすれば、パスワードの入力なしに「Chrome OS」へログインできる(PINの入力モードになっている場合は、パスワードの入力に切り替えておく)。

パスワード入力欄の鍵アイコンが緑色であれば、プロフィール画像のタップでパスワードレスログインが可能

 ただし、稀に失敗することもあるようなので、先ほど紹介したPINも併用するとよいだろう。

ウィンドウマネージャー

「Chrome OS」の外観

 続いて、「Chrome OS」の外観を見てみよう。

 デスクトップはWindowsと少しデザインが異なるものの、本質的にはあまり変わらない。複数のウィンドウ(タスク)を開き、マウスのクリックやタスクバー(「Chrome OS」では“シェルフ”と呼ばれる)で切り替える点では同じだ。[Alt]+[Tab]キーによるタスク切り替えや、ウィンドウスナップによる2画面分割もできる。

 “シェルフ”の右端には通知領域があり、時刻やバッテリー残量、Wi-Fiの強度、日本語入力システムの状態などが確認できる。タップすればBluetoothや通知、音量、ディスプレイの輝度といった追加のコマンドへアクセスできる。設定画面へのアクセスもここで可能だ。

“シェルフ”の右端には通知領域があり、時刻やバッテリー残量、Wi-Fiの強度、日本語入力システムの状態などが確認できる

 なお、“シェルフ”の表示位置は右クリックメニューから上下左右に変更が可能。Windowsのように使わないときは表示しないように設定することもできる。

 Windowsの[スタート]画面に相当するものは、画面左下の丸いアイコンを押すと現れる“ランチャー”だ。[検索]キーや2本指で上スワイプすると、サジェスト付きの検索ボックスがまず一段目として現れる。Web検索だけでなく、Chromebookの使い方を聞いたり、アプリを探すときもこの検索ボックスを使う。この状態でさらに2本指で上スワイプすると、二段目のアプリ一覧が現れる。Windowsでいうところの“すべてのアプリ”だ。毎回これにアクセスするのは少し面倒なので、よく使うアプリは“シェルフ”にピン留めしておくとよいだろう(アプリに関しては第3回で解説する)。

Windowsの[スタート]画面に相当する“ランチャー”
“ランチャー”をもう1段階展開。すべてのアプリにアクセスできる

右クリックメニューってどうやるの?

 「Chrome OS」の操作系はWindowsとあまり変わらないが、タッチパッドで右クリックメニュー(コンテキストメニュー)できない点には少し戸惑うかもしれない。タッチパッドはワンボタン(?)仕様となっており、コンテキストメニューにアクセスするのは以下のどちらかを行う必要がある。

  • 2本指でタップ
  • [Alt]キーを押しながら1本指でタップ

 ちなみに、スクロールしたい場合は2本指でタッチパッドを操作すればよい。

スクロールが逆なんだけど?

 もう一つ、「Chrome OS」の操作で戸惑う点としては、タッチパッドによるスクロールがWindowsと逆だという点だ。進行方向と同じと考えれば理にかなっているが、紙をめくるメタファー(比喩)としては逆の方が自然にも感じる。

設定画面に逆スクロールのオプションが用意されている

 幸い設定画面に逆スクロールのオプションが用意されているので、好みの方を使えばよい。

キーボード操作と覚えておくと便利なショートカット

 Chromebookにはいくつか固有のキーがあり、Windows環境でいうところのファンクションキーのエリアなどに集中して配置されている。[CapsLock]キーの位置にある[検索]キーなども存在するが、この点は過去のしがらみのないOSといった趣だ。これらの固有キーは「Chrome OS」の操作にも密接にかかわっているので、順番に紹介していこう。

Chromebookのキーボード配列(一例)

ナビゲーションキー

 「Chrome OS」は「Google Chrome」に特化しているので、そのナビゲーション(戻る・進む・再読み込み)に特化したキーが用意されている。

ウィンドウ操作キー

 その右側には、ウィンドウを全画面表示にするキーと、開いているウィンドウをすべて表示するキー(ウィンドウ一覧キー)がある。

 ウィンドウ一覧キーは[Alt]+[Tab]キーによるタスク切り替えに似た機能を持つ。タッチパッドを指3本で下スワイプしてもアクセスできるので、覚えておくとよいだろう。

ウィンドウ一覧キーは[Alt]+[Tab]キーによるタスク切り替えに似た機能を持つ

 また、このキーは他のキーとの組み合わせでスクリーンショットキーとしても機能する。

  • デスクトップ全体:[Ctrl]キー+ウィンドウ一覧キー
  • ドラッグで指定した領域:[Ctrl]+[Shift]+ウィンドウ一覧キー

 専用の[スクリーンショット]キーを備えた端末もあるが、その場合はキー単体でデスクトップ全体、[Alt]キーとの組み合わせで指定範囲をキャプチャーしてローカルに保存できる。

デスクトップのキャプチャー。スクリーンショットはローカルの“ダウンロード”フォルダーに保存される

ウィンドウスナップの仕方

 アプリを2つ並べた表示するウィンドウスナップは、左右見比べながら作業したい場合に役立つ。

 ウィンドウをデスクトップの右半分に配置するには、ウィンドウをデスクトップ右端にドラッグする。逆もまたしかりだ。また、上端にドラッグするとウィンドウを最大化できる。これらの操作はWindowsと同じだ。

ウィンドウの最大化ボタンを長押し。個人的にWindowsにもほしいと感じた機能だ

 そしてもう一つ覚えておくとよい「Chrome OS」特有の方法が、ウィンドウの最大化ボタンを長押しする方法だ。しばらく待つと両隣に矢印ボタンが現れるので、それをクリックするとウィンドウを簡単にスナップできる。

輝度・音量の操作

 続いて配置されているのは、輝度と音量の調整を行うキーだ。メディアの再生をコントロールするキーが搭載されている端末もある。

検索キー

 [CapsLock]キーの位置にある[検索]キーは、Windowsの[Windows]キーに相当する。Windows向けのキーボードで[検索]キーを使いたい場合は、[Windows]キーを押せばよい。機能は上述の通りで、“ランチャー”の検索ボックスにアクセスできる。

ショートカットキーを調べたい場合は[Ctrl]+[Alt]+[?]キー

 そのほかにも、「Chrome OS」にはさまざまなショートカットキーが設けられている。ショートカットキーを調べたい場合は[Ctrl]+[Alt]+[?]キーを使うとよい。

 一度に覚える必要はなく、よく使うものから少しずつ覚えておけばよいが、[検索]+[Esc]キーでタスクマネージャーを呼び出せることなどは覚えておくと作業が捗るだろう。

[検索]+[Esc]キーでタスクマネージャーを呼び出せる。この機能はデスクトップ版「Chrome」でも利用可能だ

 次回は、「Chrome OS」で利用できるアプリの種類を紹介する。