窓の杜 More Information

FTP Explorer


評価時: 1.00 Build 002 (10/21/96)


エクスプローラ風 FTPクライアントの本命はレジュームも可能

FTP Explorer
FTP Explorer画像
 Windows95 (英語版) がリリースされて1年をすぎ,気がつけばエクスプローラ風○○○,というソフトが随分増えてきた。電子メールソフト,テキスト印刷ツール,圧縮ファイル操作,…Windows95が標準で備えているエクスプローラの操作性がそれだけ高く評価されているということだろう。そしてここにまた FTPクライアントとしての「エクスプローラ風」ソフトの本命が登場した。

エクスプローラそっくり

 上部にはエクスプローラとほぼ同じボタンの並ぶツールバー,左側にツリー構造,右側にファイル一覧のウィンドウを持ち,そして下部にはホストとの通信状態を表示するウィンドウがある。このほか最初に起動したときには接続ホストを選択するダイアログが表示される。画面を見ればわかるように,確かにエクスプローラそっくりだ。下部のウィンドウは境界をマウスで引き下ろせば見えなくなってしまうので,ますますエクスプローラそっくりになる。外見だけでなく使い勝手も同様で,本当のエクスプローラやデスクトップ,マイコンピュータから開いたフォルダウィンドウに,ファイルをドラッグ&ドロップでコピー(ダウンロード)できるし,逆にアップロードも同様にドラッグ&ドロップでできる。ツールバーのボタンもエクスプローラと似たデザインのものは同じ機能を持っているので,エクスプローラになれた人なら最初から楽に使いこなすことができるだろう。

優れた FTP 機能

 FTPクライアントとしての機能も充実している。バイナリモードとアスキーモードの切り替えはツールバーの[A][B]ボタン一発だが,普段は[B]を押しておいてアスキーモードで転送するファイル拡張子をオプション (View - Options - File Types) で指定しておけば自動的に切り替えてくれる。つまり普段はテキストかバイナリかを全く気にしなくて済む。さらに,同じ設定のところでインデックスファイル名を指定することで,サーバ上のインデックスファイルを自動的に読み込んでウィンドウの Description のところに説明表示してくれるのだ(画面参照)。この機能は CuteFTP が採用していることで有名だが,FTP Explorer にもついている。なお窓の杜FTPサーバの場合はインデックスファイルは 00index.sjis.txt なので,このファイル名をインデックスファイル名の設定に加えておく必要がある (CuteFTPでは設定不要)。

 もう一つ嬉しい機能は,FTPサーバによってはレジュームが効くことだ。つまりダウンロードの再開である。途中までダウンロードしていたファイルが何らかのトラブルで切断されても,同じフォルダに同じファイルをダウンロード操作することで,続きからダウンロードできるかどうか試みてくれる。 B-Plus や Quick-VAN など一部の BBS の転送プロトコルではおなじみの機能だが,FTP Explorer を使えば FTP でもこれが可能になる(ただしホストサーバによっては不可能,窓の杜FTPサーバ 'forest' では可能であることを確認済)。これも CuteFTP の登録版では有効な機能なのだが,フリーな FTP Explorer でもレジュームができるのは非常にありがたい(註:少し前までこのページにおいて FTP Explorer ではレジュームできないと書いていました。お詫びして訂正しておきます)。

 そして FTP Explorer の最大の特徴は,それぞれのタスクが完全に32bitマルチスレッドということだろう。ダウンロード中に別のフォルダへ移動したり,複数のファイルを同時にダウンロード可能なのだ。ただしこれはオプションで設定 (View - Options - Transfers - Transfer Queued Items - Simultaneously をチェック) してやる必要がある。なお当然1ダウンロードにつき1ログインするので,ここで同時ログインの最大数を設定可能だ。しかしこの設定はサーバが混雑しているときは一人で複数のポートを独占してしまうことになるので,混雑で有名な anonymous FTP サーバに繋ぐことが多い人や遅いモデムを使っている人は迷惑をかけないようにここの設定を同時 3 login 程度にするか,Sequencially (最大同時1ログイン) に設定しておこう。 Sequencially になっていてもファイルリストはキャッシュされるので,一度一覧表示させたフォルダはダウンロード中でも戻って素早く再表示させることはできる。

 さらに,ショートカットを作れるのも大きな特徴だ。これは WWW ブラウザでもよくある機能だが,起動が遅く重い WWW ブラウザを FTP クライアントに使うより,サッと開いてサッと転送できる FTP Explorer の身軽さはありがたい。ショートカットを作りたいホスト上のディレクトリを右クリックし,メニューから Create Shorcut を選べばデスクトップ上にショートカットを作ってくれる… はずなのだが…,このとき必ず C:\Windows\Desktop の中に作ってしまう ので日本語版Windows95ユーザーは注意しよう。英語版のこのソフトを日本語Windows95で使う上で唯一困る点だ。とりあえずここを探して自分のデスクトップ上にコピーしておこう。

 そして,以外と単純なことなのだが FTP Explorer はツリーウィンドウを持っているために,ディレクトリ移動が素早くできるのが結構嬉しい。他の FTP クライアントのようにたとえファイルリストをキャッシュしていても,やはり一つ一つディレクトリをたどっていくのは面倒臭いものだ。ツリーを一気にスクロールさせて元のディレクトリに素早く戻れるのは,サーバの反応が悪いときなど精神的にイライラ感が少なくていい。  そのほか,ホストとのタイムアウト切断を防ぐオプション (View - Options - Connection - Send keepalive to prevent timeouts) なども同じサーバを利用する他の人に迷惑をかけないように気をつけて使えば便利な機能だ。

将来にも期待

 以上のように数々の長所を持つ FTP Explorer だが,まだまだ完成された作品ではない。 前公開バージョン 0.00.063 より Firewall に一部対応になったものの,まだ ID とパスワード入力を必要とする場合には対応していない。さらにファイル属性変更ももっと簡単にできるようになってほしい。現在は QUOTEコマンド (Tools - QUOTE) によって「SITE CHMOD 644 index.html」のようにファイル一つ一つを指定してやればできなくはないが,とてもお薦めできるものではない。また CuteFTP のように特定の FTP コマンドをカスタマイズできるようになると嬉しいのだが。

 とは言うものの,やはり家庭内または個人使用においては無料で使えるにもかかわらずこれだけの高機能を備えた FTP クライアントの登場は喜ばしいことだ。胸を張ってお薦めと言えるような和製 FTP クライアントがまだほとんど見あたらない今,日本語もまったく問題なく通る FTP Explorer は今後も窓の杜イチ押しソフトであり続けるだろう。

(Reported by thig@mars.dtinet.or.jp)
※記述内容に誤りを見つけたらお知らせ下さい

buttonダウンロードページへ
Windows, WindowsNT and Windows95 are registered trademarks of Microsoft Corporation. All other trademarks are the property of their respective owners.

窓の杜 ©1996-1998 Takashi HIGUCHI and Impress Corp.