窓の杜 More Information | |
Netscape Communicator | |
評価時: 4.0 Preview Release 2 (97/02/22) |
Professional Edition には、Standard Edition にない、以下のようなコンポーネントが追加されている。
このように、Professional Edition は、Communicator 自体がもつ「企業内のネットワークによるコラボレーティングのためのソフト」という位置づけを、より鮮明に打ち出すものだ。TN3270などのキーワードをからめてくるあたり、特にまだメインフレーム族が残る大企業をターゲットに絞り込んでいるのではないか、と推測される。
- Netscape Calendar
共有カレンダ。一種のスケジューラである。オフラインでも動くが、Netscape Calendar サーバと通信して使用する(ので、環境がなくてレビューできません^^;すみません)。Aboutを見るとわかるが、Corporate Software &Technologies社と提携してつくられたもので、同社の既存製品と同等だと思われる。- IBM Host on Demand
Java による TN3270 エミュレータ。IBMの名を冠していることでわかるように、IBMとの提携製品。TN3270 エミュレータとは、はやい話がメインフレーム系コンピュータに接続するためのターミナルソフト(なので、これもレビューできません ;-()。ちなみに、同趣旨の製品は東芝の「3270 for Intranet」など、他社からも発売されている。
ただ、それだけに率直な感想を言えば、「Professional Edition はダイヤルアップ環境などで利用している個人ユーザには、あまり関係のないパッケージ」ということになる。まあ、ユーザ自身の判断で、Standard、Professional、必要なほうのパッケージを入手するのもいいかもしれない。
参考までに、Standard は 11.4MB、Professional は13.7MB。たった2MBをケチってもしょうがないか...。
・Cascading Style Sheet(CSS) への対応である。CSS とは何か、ということについては世にあまたあるインターネット雑誌に譲るとして、今まで Internet Explorer と Amaya でしかサポートされていなかったこの機能が、Netscape によっていよいよ実際にサポートされ始めたという事件は、Web コンテンツの作成者にとって、まさに福音だろう。これで、DTPなみの美しい Web ページを作成できるようになるかもしれないのだ。
とはいえ、「サポートされ始めた」と書いたように、今回のCSSへの対応については、まだまだインプリメントとして怪しいところがあるようだ。たとえば、W3C の公式ページである
| |
|
http://www.w3.org/pub/WWW/Style/を、以前から CSS をサポートしている Internet Explorer 3.01J と Netscape で見比べてみると、違いがわかる(図)。個人的には、「えっ!こんなになっちゃうの?!」という感じである。
もちろん、CSS についてはサポートが始まったばかり。今後正式版へ向けて、より安定した動作をするようにブラッシュアップされていくことに期待したい。しかし...Netscapeという市場で巨大なシェアを占めるブラウザで、このような現状では、公式なホームページではCSSの利用がまだまだ先送りになるということか...;_; しごく残念なことだ。
使い勝手、という点については、PR2では以下のようにユーザーインターフェース周りでいくつかの変更が行われている;
いずれも、PR1へのバージョンアップによって施された変更(ツールバー、フローティングタスクバー)ほどの変わりようではない。
- Netscapeロゴのアニメーションが変更に
Transfer 時にアニメーションするNetscapeロゴのパター ンが変わった。陽が昇ったり、月が昇ったりする...。- プログレスバーの表示が変更に
Transfer 時に進捗状況を示す、プログレスバーの表示が 変更になった。ただたんに右に伸びて行くのではなく、 昔懐かしい「ナイトライダー」のキットの眼(?)のよ うに、左右にゆれる。- Preferencesメニューのデザインが変更に
Preferencesメニュー([Edit]->[Preferences])メニュー のデザインが変わり、ツリービュー形式が採用され、整理 された。
他に、機能面において、
などの修正がなされている。英文スペルチェッカはともかく、日本語のインライン入力ができるようになったことは、日本語圏へのきめこまかい対応として、かなり評価できるだろう。
- 英文スペルチェッカがついた
- 日本語のインライン入力が可能に(Composer)
「落ちやすい、落ちにくい」といった、プログラムとしての堅牢さについては、公平に判断しづらい部分なので、この稿では割愛させていただく。これを読まれている方ご自身で判断してほしい。
http://home.netscape.com/eng/mozilla/4.0/relnotes/windows-4.0b2.htmlなどを参考にするとよいだろう。 私見をまじえて総括すると、今回の PR2 では、
といった点が主なトピックだと言えそうだ。
- 企業向けイントラネットソリューションの核となるツールとしての一層のブラッシュアップと、コンポーネント追加
- Cascading Style Sheet への対応開始
- ユーザーインターフェースのブラッシュアップ
個人的には、企業向けツールとしてブラウザの商品構成を整備しつつある Netscapeの戦略は、非常に残念な気がする。家庭で WWW を楽しんでいるユーザにとっては、メインフレームとの連携などはあまり興味がもてる機能ではない。むしろ、ブラウザとして身軽で、なおかつ堅牢、そして美しい Web ページを気軽に見ることができるようにすることに、力を注いで欲しいと感じる。1年前、2年前に比べると、パッケージもあまりにも巨大化しすぎているのではないだろうか。創業当初から同社の製品を使わせてもらっている一ユーザとしても、何か残念な気がする。とはいえそれは別の観点から見れば、Netscape が、ターゲットとする市場をきちんともった大企業へと成長してきている、ということのあらわれなのかもしれないが。
今後、2月中または3月には、対抗馬である Internet Explorer も4.0βが公開されるという噂がある。技術的にも高度化し、OSとの一体化という最終兵器をもってシェアを拡大しつつある IE に、Netscape は対抗できるのか。しばらくは目が離せない。
※記述内容に誤りを見つけたらお知らせ下さい
窓の杜 ©1996-1998 Takashi HIGUCHI and Impress Corp.