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WinRAR


評価時: Ver 2.00 (1/26/97)


高圧縮率のファイル圧縮形式「RAR」その実力は?

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日本で広く普及している LHA (*.lzh) はその圧縮率の高さで知られる。最近では圧縮率の高い lh7 オプションの開発が進み,UNLHA32.DLL でも対応が始まっている。確かに ZIP (*.zip) で圧縮率最大にしたときよりも,lh7 形式での LHA 圧縮は若干圧縮率が高い。 しかし劇的に高いわけでもなく,対応率・普及率から考えるとまだまだ開発途上の lh7 の使用は時期早尚なのが現状だ。そんな中,その lh7 よりもさらに高圧縮率を誇る圧縮形式「RAR (*.rar)」が海外で登場している。ここでは「RAR」をサポートする Windows版アーカイバ「WinRAR」を使ってその実力をテストしてみようと思う。

今回はテスト用アーカイブとして秀丸エディタ Ver2.13 の配布ファイル (hm213.lzh; 541,468 byte) を使用することにした。このアーカイブ中のファイル群はテキスト・バイナリ混在で16ファイルが同梱されている。解凍後のトータルサイズは約1MB (1,065,056 byte) である。これら解凍後のファイルを WinRAR, WinZip, LHMelt(または ExpLZH)を使って様々な圧縮時オプションにて圧縮してみた結果が下の表だ(圧縮後のファイルサイズの小さい順に並べてある)。特に圧縮率に注目して欲しい。(グラフでなくてゴメンなさい)

サイズ(byte)圧縮率
(%)
圧縮方法(圧縮時オプション)
492,54246.2RAR 独自形式,圧縮率最大(Best),Dictionary Size 1024Kb
494,94546.5RAR 独自形式,圧縮率最大(Best),Dictionary Size 通常(256Kb)
497,336 46.7RAR 独自形式,圧縮率通常(Normal),Dictionary Size 通常(256Kb)
529,031 49.7LHA 独自形式,圧縮率最大(lh7)
531,386 49.9LHA 独自形式,圧縮率やや大(lh6)
532,598 50.0ZIP 独自形式,圧縮率最大(Max)
535,729 50.3ZIP 独自形式,圧縮率通常(Normal)
541,468 50.8LHA 独自形式,圧縮率通常(lh5) ※オリジナル配布ファイル (hm213.lzh)
543,127 51.0LHA 自己解凍形式(Win16SFX),圧縮率通常(lh5)
549,078 51.6ZIP 自己解凍形式(16bit),圧縮率最大(Max)
550,398 51.7RAR 自己解凍形式,圧縮率最大(Best), Dictionary Size 1024Kb
550,842 51.7LHA 自己解凍形式(Win32SFX),圧縮率やや大(lh6)
552,209 51.8ZIP 自己解凍形式(16bit),圧縮率通常(Normal)
552,801 51.8RAR 自己解凍形式,圧縮率最大(Best), Dictionary Size 通常(256Kb)
554,678 52.1ZIP 自己解凍形式(32bit),圧縮率最大(Max)
555,192 52.1RAR 自己解凍形式,圧縮率通常(Normal), Dictionary Size 通常(256Kb)
557,809 52.4ZIP 自己解凍形式(32bit),圧縮率通常(Normal)
561,036 52.7LHA 自己解凍形式(Win32SFX),圧縮率通常(lh5)
備考
  • 一般に圧縮率が高いほど圧縮にかかる時間は長くなった(今回は最長で約1分)。
  • RAR の Dictionary Size は大きいほど圧縮率が高いが,時間がかかりメモリ消費が大きい(解凍には影響なし)
  • RAR の自己解凍形式は 16bitと32bitの違いはない
  • lh7 での自己解凍書庫は現時点では未対応(Windows版)
  • LHA の Win32自己解凍書庫は解凍時のメッセージ指定・展開先指定・展開後の実行コマンド指定などが可能
  • ZIPの自己解凍書庫作成には WinZip Ver6.2 標準のものを使用(WinZip Self Extractor不使用)

確かに独自ファイル形式の場合,ZIP と RAR を比較すると,後者の方がファイルサイズで(20~30 % とは言わないまでも)7~8 % 程度小さいサイズになっている。自己解凍実行形式の場合はほとんど変わらないようだ。また,ほぼ同サイズのテキストファイルの圧縮の場合(電子メールをテキスト形式で保存したもの)は,下記のようになった。

サイズ(byte)圧縮率
(%)
圧縮方法(圧縮時オプション)
298,89724.7RAR 独自形式,圧縮率最大(Best),Dictionary Size 1024Kb
335,72027.7RAR 独自形式,圧縮率通常(Normal),Dictionary Size 通常(256Kb)
356,75329.5RAR 自己解凍形式,圧縮率最大(Best), Dictionary Size 1024Kb
365,30430.2LHA 独自形式,圧縮率最大(lh7)
389,91032.2ZIP 独自形式,圧縮率最大(Max)
393,57632.5RAR 自己解凍形式,圧縮率通常(Normal), Dictionary Size 通常(256Kb)
395,02632.6ZIP 独自形式,圧縮率通常(Normal)
406,30633.6LHA 自己解凍形式(Win32SFX),圧縮率やや大(lh6)
406,38733.6ZIP 自己解凍形式(16bit),圧縮率最大(Max)
411,50334.0ZIP 自己解凍形式(16bit),圧縮率通常(Normal)
445,63736.8LHA 独自形式,圧縮率通常(lh5)
447,33437.0LHA 自己解凍形式(Win16SFX),圧縮率通常(lh5)

すなわち,ZIP に比べて (ファイルサイズ比較で) 20 % 程度 RAR の方が小さく圧縮でき,自己解凍形式でも 10 % 程度 RAR の方が小さい。以上をまとめると,

と言うことができるだろう。ただしもちろんこのテストだけで一概に判断することはできないので,目安程度に考えて欲しい。現段階では対応アーカイバの普及度も念頭に置かなければならないし,ZIPは書庫にパスワードをかけられるといった特徴がある (RARは未対応)。 また,自己解凍書庫に関しては多少のサイズの増減よりも,解凍時のユーザーインターフェースを考慮することも重要だろう。RAR の自己解凍書庫は解凍先ディレクトリを問い合わせてくるだけで,既定値設定もできない(それでも解凍先すら問い合わせない LHA の Win16SFX よりはマシだが)。自己解凍書庫ファイルを日本で配布する場合は LHA の Win32SFX,海外にも配布する場合は WinZip Self Extractor (シェアウェア) を使って作成するのがおすすめだ。結論としては,用途に応じてそれぞれ使い分けるのが一番だろう。

(Reported by thig@mars.dtinet.or.jp)
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