音楽×映像の未来を体感せよ！「[NUREN] The New Renaissance」

　音楽のプロモーションビデオやミュージックビデオは、音楽に合わせた映像が次々と切り替わっていくという視覚と聴覚で楽しむエンターテイメントだ。こうしたエンターテイメントはVRに対応するとまさにその没入感を活かした“体験”になる可能性を秘めている。

　映画では第2回で紹介した「Zero Point」のようにVRに対応したものが登場しているが、PVやMVもVRに対応したものがあったら、これまでにもまして音楽と映像の融合した、より没入できる体験になるだろう。第6回で紹介した「ユニティちゃんライブステージ！ -Candy Rock Star-」や「Miku Live AX」は音楽に合わせてバーチャルアイドルが歌って踊るライブコンテンツで、非常に印象的な体験だった。

　今回は、世界初のVR対応3Dアニメーションロック・オペラ「[NUREN] The New Renaissance」（以下、NUREN）を紹介しよう。現在、まさにKickstarterで開発資金を募集するとともに体験版がリリースされたホットなコンテンツだ。

VRになっただけで一気に増す迫力

　NURENはロック・オペラと銘打たれている通り、ボーカルが歌うロックに合わせてフル3Dアニメーションの映像が流れるコンテンツになっている。ディズニーの『Fantasia』、音楽ゲーム『スペースチャンネル5』、アニメ『攻殻機動隊』などに影響を受けて設計されているとのこと。もちろんただの3Dアニメーションではなく、視点を回して360度見渡すことができる。

　通常のディスプレイではマウスを動かすことによって見渡すことが可能だが、Oculus Riftにも完全対応している。Oculus Riftでの再生方法と併せて内容も紹介していきたい。

起動後、［Esc］キーを押すとメニューが開く。ここから右の設定で“Enter HMD Mode”を選んだ後に、左の設定に現れる“Full Screen”を選択（このスクリーンショットではまだ表示されていない）。続いて右に現れる［Enable HMD］ボタンを押すとOculus用のコンテンツが全画面で広がる

　鑑賞し始めてすぐに気が付くのは、グラフィックが非常に綺麗だということ。それもそのはず、このコンテンツは美麗なグラッフィック表現が可能なゲームエンジンのUnreal Engine 4を使って作られてる。VRのコンテンツはUnityで作られたものが多いが、徐々にUnreal Engine 4製も増えつつある。綺麗な描画を楽しむことができるということは、それだけ動作させるPCの要求スペックも高くなることにはご注意いただきたい。

最初は展示場のような白い空間から始まる

扉が開くとミュージックスタート!!

　この体験版で流れる音楽はエレクトリック・ロックだ。リズムよく流れる曲に合わせて、2人の女性アンドロイド“QGK”と“RIX”が踊るシーンと夜の街のシーンが交互に流れていく。目の前の広がる光景は、ミュージックビデオを見ているというよりはまさにその場に自分も居るという感覚だ。体験版でありながら、まさにロック・オペラにふさわしい仕上がりになっていることが伺える。

踊る2人のアンドロイドQGKとRIX。髪型がロックを感じさせる

トレイラー映像で見ていただきたいが、動きは驚くほど滑らかでセクシーだ

街のシーン。音楽の局面に合わせてライトアップ

　体験版のため楽曲も1つで数分程度の短い体験に収まっているが、本編では複数の楽曲が体験できるとのこと。監督を務めるJake "virt" Kaufman氏は昨年話題になったインディゲーム「Shovel Kinght」のサウンドを担当し、プレイを盛り上げるチップチューンを制作した人物だ。

　ゲームからVRでの表現へと軸を移して制作をすることになったという「[NUREN] The New Renaissance」。さまざまな2D・3Dアーティストとも協力を進めて制作するとのこと。Kickstarterのキャンペーンはやや苦戦気味だが、今週3月5日にサンフランシスコで開催されるVR開発者のパーティ“VR Mixer”でもライブパフォーマンスを披露する予定と精力的に活動している。本編の完成が待ち遠しい一作だ。