杜のVR部

第15回

さまざまな360度画像・動画をドーム型にして鑑賞できる「AMATERAS Dome Player」

Oculus Riftで星空やオーロラを見上げるプラネタリムも楽しめる!

 これまで、Oculus Riftを使ったゲームや実写コンテンツの紹介をしてきた。どれも360度を見回せるOculus Riftを使って実現できることへの可能性を感じるものばかりだ。

 ここで、VRを使わない既存のコンテンツで360度見回す性質のものを、Oculus Riftを使って手軽に実現できるのではないか、という発想をすることもできる。それが、プラネタリムといったドーム型の立体シアターだ。

 今回は、ドーム映像プレイヤー「AMATERAS Dome Player」を紹介しよう。

体験してひと目で分かる相性の良さ

 「AMATERAS Dome Player」(以下、AMATERAS)は(株)オリハルコンテクノロジーズが提供している、ドーム映像を再生するプレイヤーだ。

 オリハルコンテクノロジーズは、ドームシアターや立体シアターなどの映像施設のシステム構築やソフトウェア開発をしてきており、次世代プラネタリウム施設の開発にも携わってきた。ドーム映像を初心者でも楽しめるようにという趣旨でこのソフトの提供を行っている。既存のソフトをOculus Riftに対応させたもので、もちろんOculus Riftを使わなくても楽しむことができる。

 本ソフトは誰でも無償でプレイヤーの機能を楽しめる“フリー版”と連番画像の書き出しに対応した“書き出し版”、ネットワーク同期再生などすべての機能が使える“フルライセンス版”という3つのライセンスが提供されている。Oculus Riftを使って自分が持っている画像、動画のドーム再生を楽しむのであれば、フリー版で十分だ。

 さっそく、Oculus Riftで表示させる手順を紹介しよう。AMATERASのダウンロードファイルの中にサンプル画像がかなり多く入っており、ソフト上の“ファイルライブラリ”ペインから読み込めるので、そちらを鑑賞するのが手短だ。任意のファイルを読み込むのも簡単で、鑑賞したいファイルをAMATERASの画面にドラッグ&ドロップするだけで、画像が貼り付けられる。

AMATERASのフォルダに入っているサンプルのオーロラ
リボンメニューの[表示]-[スタイル]から[広角表示]を選ぶとドームの中からの視点になる

 そして、リボンメニューの[表示]から[スタイル]のボタンを押して[Oculus Rift表示]を選択すると、立体視用の2つに分かれた画面が表示される。ウィンドウをそのままOculus Rift側に持っていき、リボンメニューの[ウィンドウ]から全画面表示を押すと、Oculus Riftでの鑑賞ができるようになる。

[表示]の[スタイル]から[Oculus Rift表示]を選択。Oculus Rift用に2つの画像が並ぶ表示に切り替わる
Oculus Rift側にウィンドウを移動し[ウィンドウ]から全画面表示を選択すると、ドームの中央に自分が居るような状態になる

 また、本ソフトはリコーの全天周カメラ“THETA”に対応しているため、自分で撮影した全天周写真もドームに貼り付けて見ることができる。ドームへの投影のための画像変換がしっかりとされているので、違和感もほとんどなく眺めることが可能。まだOculus Rift自体が開発者版の状態とはいえ、複雑な制作ツールを使わずに一般ユーザーでもここまで簡単に自分が撮影した映像を楽しめることは驚きだ。課題としてはまだ若干のカクつきがあることくらいだろうか。

THETAを使って沖縄のビーチで撮影した全天周画像を取り込んでみた

 なお、このAMATERASにはドーム画像のさまざまな補正や、演出効果の追加、デスクトップ画面のキャプチャーや動画、プレゼンの表示機能も盛り込まれているので、こういった機能もぜひ試していただきたい。

「AMATERAS Dome Player」プレイ動画
沖縄のビーチの全天周写真を取り込んで見てみた

 また、プラネタリウムのように星空を再生して楽しめるツールとしては、国立天文台が提供している「Mitaka」も、つい先日Oculus Rift対応バージョンが実験版として公開された。「Mitaka」は地球から宇宙空間の構造までを自由に移動して楽しめるソフトで、累計80万ダウンロードされている定番ソフトだ。

 公開されているOculus Rift DK2対応バージョンについては実験版ということもあり、動作の検証は十分ではないとのこと。残念ながら筆者のPCでは動かなかったが、宇宙を覗けるツールのVR対応は非常に気になるところだ。星空を楽しみたい人はぜひこちらも試してみていただきたい。

ソフトウェア情報

「AMATERAS Dome Player」フリー版
【著作権者】
(株)オリハルコンテクノロジーズ
【対応OS】
64bit版のWindows 7/8/8.1(Mac OS X版あり)
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
3.1.2(14/11/27)
「Mitaka」Oculus Rift DK2 対応バージョン
【著作権者】
大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
フリーソフト(非営利利用のみ)
【バージョン】
1.2.2b for Oculus Rift DK2(15/02/13)

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【FPS】
 60 fps (Mitakaは起動せず)
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)