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ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第23回】

「Linar」
簡単!速い!きれい!カタログ作成もスライドショーもデキる画像ファイラー

(99/02/15)

 比較的リリースが新しく、これからの成長も楽しみなオンラインソフトにスポットを当て、その魅力などを紹介しよう。

 たくさん溜まった画像ファイルの整理には、縮小画像(サムネイル)で画像を一覧表示できるビューワーがあると便利だ。サムネイル一覧を見ながら画像ファイルの移動やコピーができる、いわば“画像ファイラー”と呼べるようなソフトとして、本連載でも第8回('98年10月13日)に「ViX」というソフトをとりあげたが、またまた非常に強力なフリーソフトが登場しているので紹介しよう。

カタログ作成もスライドショーも一歩進んだ画像ファイラー

「Linar」v1.04β  「Linar」は画像ファイルをサムネイルで一覧できる画像ファイラーだ。エクスプローラ風のウィンドウは、上部にツールバー、左側にフォルダツリービュー、右上にファイル一覧リスト、右下にサムネイル表示領域という構成になっている。エクスプローラ風というよりOutlook Express風と言ったほうがわかりやすいかもしれない。

 対応画像形式は標準ではBMPとJPGのみだが、Susie32プラグインを入れれば現在日本で流通しているほとんどの画像形式を表示できる。時間のかかりがちなJPGの読み込みとサムネイル表示は、独自処理によってかなり高速に行われる。ウィンドウ内に一度に表示しきれないサムネイルの表示処理もバックグラウンドで行うため、”待たされ感”も少ない。また、ウィンドウをスクロールさせた分だけ逐次表示の処理を行う設定にすることもできる。

 ファイル操作はドラッグ&ドロップに対応し、エクスプローラや他のグラフィックソフトにもドロップできる。エクスプローラから画像ファイルを「Linar」のショートカットにドロップすれば、「Linar」が起動してその画像のあるフォルダを自動的に開いてくれる。”さくさく”使える操作性は実にスムーズで、直感的かつ、わかりやすい。ウィンドウサイズを変更すればサムネイルの表示枚数も自在に変化する。ファイル一覧リストの部分はエクスプローラのようにアイコン表示・一覧表示・詳細表示の設定が可能で、詳細表示の際にはファイル名などのほか、画素(画像のピクセル数とビット数)、画像情報なども表示される。サムネイルを選択すればファイルリストの中も選択される(逆もあり)ので、ごちゃごちゃせずファイル情報が見やすい。

 画像ビューワーとしての機能も十分なものだ。サムネイルのダブルクリックで元の画像がウィンドウ表示され、そのままボタン一つで次々と画像を見て行ける。回転させることはもちろん、スライドショーの機能も持っている。特に画像をウィンドウサイズに合わせる設定は、高速なCPUであればウィンドウサイズ変更に伴って伸縮された画像がリアルタイム表示されるので面白い。縦横比を固定したまま縦横の長い方をウィンドウサイズに合わせる設定は、スライドショーのときに便利だ。

 さらにすごいのは、画像の伸縮方法を高速だが低品質な「通常」、中速・中品質の「最近傍法」、低速でも高品質な「線形補間法」の中から選択できることだろう。「線形補間法」に設定すれば、表示時間は少々かかるが小さな画像を大きく拡大表示してもギザギザの目立たない美しい画像が得られる。スライドショーのときなど全画面表示で画面いっぱいに拡大表示しても、ギザギザが目立つとかなり興ざめしてしまうものだが、その点、この線形補間機能は非常にありがたい。線形補間表示した画像はそのまま別ファイルに保存できる。

 画像の一覧をHTMLファイルにしてくれるソフトは最近いろいろ登場しているが、「Linar」にもHTMLカタログ作成機能が搭載されている。HTMLにする際は一覧表示用のサムネイル画像を使うことも、元画像をブラウザ側で縮小表示させることもできる。HTMLのフォーマットには2つの定義ファイル(HTML形式)があらかじめ同梱されているが、定義ファイルの形式に沿っていれば自分で設定も可能だ。ヘルプファイルにはまだ特に説明はないのだが、HTMLを理解している人ならたやすく用意できるだろう。またカタログ保存はHTML形式だけでなく、BMPやJPGのカタログ画像(いわゆるコンタクトシート)として保存できるのもいい。

 そのほか、外部ソフト登録により右クリックメニューから簡単に外部ソフトで画像を開けることも特筆すべき点だろう。サムネイルのダブルクリックで、内蔵ビューワーの代わりに好きな画像ビューワーやペイントソフトで元の画像を開く設定にもできる のだ。

よく作り込まれたソフト

ビューワーの設定を線形補間に  実際に使ってみると、「Linar」は全体的によく作り込まれ、完成度も高い印象を受ける。要望点もほとんどないのだが、しいて言えば、ツリービューをエクスプローラと同様にし、デスクトップやネットワークコンピュータのフォルダへのアクセスも簡単にしてほしいことくらいだろうか。ネットワークにはネットワークドライブを割り当てることで対応しているものの、やはりもっと簡単に使えるほうが望ましい。また、デジタルカメラのExif規格などに対応し、埋め込まれている撮影日付やシャッタースピードなどのデータを表示させる機能もあればさらに便利になるだろう。

 将来的には内部ビューワーの機能をさらに豊富にするという道もあるだろうが、外部ソフトとの連携機能が現バージョンでも十分なため、さほど必要性はないように思われる。むしろプログラムサイズが大きくなり小回りが利かなくなるほうが、ユーザーにとってはありがたくない。ゴテゴテと機能を欲張って重装備にするよりも、使いやすさや安定性、スピードをさらに追求し、これからの「定番」と呼ばれるような画像ファイラーに育ってほしいものだ。

【著作権者】s.mas 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.04β(99/02/15)

□とゅうすの部屋
http://www2s.biglobe.ne.jp/~smas/
□ひぐちたかしの新作ソフト紹介・第23回「ViX」v1.0
http://www.forest.impress.co.jp/article/1998/10/13/vix.html

(ひぐち たかし)

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