レビュー

連携魔法“ふたりがけ”が楽しいほのぼの短編RPG「双子魔道士のおつかい」

反抗期?の兄としっかり者の妹、ふたりの小さな冒険。1時間ほどで気軽に遊べる作品

「双子魔道士のおつかい」

 「双子魔道士のおつかい」は、双子の見習い魔道士による小さな冒険を描いたRPG。フリーゲームとして公開されており、作者のWebサイトや“ふりーむ!”からダウンロード可能。プレイ時間は1時間程度の短編作品となっている。

 主人公は、森の中に住む魔女のもとで魔道士になるための修行をしている双子の兄妹“リュミエル”と“エクリエル”。物語は師匠のおつかいとして、そしてズボラな師匠に代わって仕事を取ってくるため、二人が町へ向かう所から始まる。

 戦闘は本作の制作ツールである「RPGツクール VX Ace」のデフォルトをベースにしたターン制コマンド選択型だが、双子による連携魔法“ふたりがけ”が特徴。MPに加えて戦闘中の行動で溜まるTPを消費し、全体攻撃や魔法反射など、2つの魔法を組み合わせた強力な魔法を発動できる。

 本作ではTPを戦闘終了後も持ち越せる仕組みで、“ふたりがけ”コマンドは双子それぞれのコマンド選択に入る前、“戦う”・“逃げる”との並びにあるためザコ戦を開幕速攻で終わらせたりもできプレイ感は軽快。TPを“ツインズポイント”と解釈している点もツクールRPGゲーマーならニヤリとする所ではないだろうか。

 一方で魔法が通じない敵も居るため、武器ごとに用意されている“武器技”なども駆使して戦っていく。武器技には状態異常を与えるもの、威力が高く属性効果が付くものなどバリエーションがあり、短編ながら買い物や装備カスタマイズの楽しみも用意されている。

 ボリューム的にも難易度的にもサクサク進めて気軽に遊べる作品だが、エンカウント方式はシンボルで、進め方次第ではボス戦はなかなかの歯応え。強力な“ふたりがけ”だが、双子のどちらかが魔法封印やスタンを食らうとそのターンは何もできないというリスクがあるのも面白い。民族楽器を使った作者オリジナルのボス戦BGMもバトルを盛り上げてくれる。

ザコ掃討にもボスへの対抗にも、“ふたりがけ”が大活躍

 実力はあるのにグータラしていてなかなか魔法を教えてくれない師匠に対して反発気味のリュミエル、そんな兄をなだめる役回りだが、本当は妹として甘えたいという気持ちも抱えているエクリエル……と微妙な年頃の双子の機微を描きつつ、二人を取り巻く人々も交えてコミカルに仕上げたシナリオも見所。戦闘、シナリオ共にほどよく充実しつつ短編として綺麗にまとまっているので、最近忙しくてRPGをプレイできていないな……という人にもお勧めの作品だ。

お兄ちゃんは反抗期!?気苦労が絶えないエクリエル。豊富な表情差分で演出される掛け合いも見所だ

ソフトウェア情報

「双子魔道士のおつかい」
【著作権者】
ハルマキ 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8/10
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(15/12/15)

(中村 友次郎)