#モリトーク
第55話
バックアップソフトの変化
(2013/4/23 10:40)
前回、前々回と、サポート期限が1年を切ったWindows XPからの乗り換え準備として、バックアップの自動化をオススメした。そのなかで定番バックアップソフト「BunBackup」を取り上げたことによって、筆者自身が、あることに気付かされた。
バックアップソフトは昔から数も種類も豊富で、オンラインソフトでは花形ジャンルのひとつだと言える。それが最近では変化しているようだ。といっても、バックアップソフトの需要はその必要性から普遍的なものなので、人気がなくなったというわけではなく、その中身が変わりつつある。
「BunBackup」のようなバックアップソフトは手間のかかるコピー作業を代行し、ファイル・フォルダ単位でデータをバックアップする。その仕組みはよい意味で古典的であり、複雑なことをしているわけではないので、初心者でも比較的扱いやすく、バックアップ処理の信頼性も高い。難点を挙げるとすれば、バックアップ作業を自動化できても、リストア作業までは完全に自動化できないことだろう。
一方、イメージバックアップなどと呼ばれるタイプのバックアップソフトは、ドライブやパーティションを丸ごとバックアップし、データのリストアに重点が置かれている。つまり、どちらもデータを複製するという点に違いはないが、コピー型バックアップがデータ保全を目的としているのに対し、イメージバックアップはOSのリカバリーに近い。ここ最近は、古典的なコピー型バックアップよりも、イメージバックアップのほうに人気が集まっているのだ。
イメージバックアップの注目度が上がっている理由はいくつか考えられ、第一に、もともと有料が当たり前だったイメージバックアップソフトを無料で利用できるようになったことが挙げられる。Windows Vista以降のWindowsではエディションにもよるが、イメージバックアップ機能が標準で搭載されているため、サードパーティ製のイメージバックアップソフトは無料化せざるをえなかったと考えられる。窓の杜では、無料のイメージバックアップソフトを2008年ごろから継続的に紹介しており、「Backup & Recovery 2013 Free」「EaseUS Todo Backup Free」「AOMEI Backupper」という3本のソフトが窓の杜ライブラリに収録されている。
イメージバックアップにも難点はあり、バックアップしたデータのファイルサイズが数十、数百GBと巨大になってしまう。しかしそれも、外付けの大容量ハードディスクが低価格化したことでほぼ無視できるようになった。さらにSSDの登場も、イメージバックアップの人気を後押ししていると思われる。SSDの最大容量はハードディスクに比べてだいぶ少ないため、ドライブを丸ごとバックアップしても、そのファイルサイズは必然的に小さいからだ。
「AOMEI Data Backuper」には、バックアップしたドライブのイメージからファイルを個別に取り出す機能も搭載されており、使い勝手もコピー型バックアップに近付いている。しかし前述したように、イメージバックアップはリカバリーに向いているものの、OSの再インストール・乗り換えなどを前提としたデータ保全に不向きな面もある。今のところは、両タイプのバックアップソフトを併用するのが一番ということだろうか。