Gear VRで楽しむスターフォックス風STG「Anshar Wars 2」

　VRによって画面の枠を飛び出して“体験”できるゲームが今後多く登場することは間違いない。これまであったゲームのジャンルも、VRに対応していくことになるだろう。

　数あるゲームジャンルの中でも相性が良いのはシューティングゲームだ。キャノピーから外を見るように360度を見渡せると、広大な空間に実際いるような感覚になる。そして、頭を動かして照準を動かす操作は、これまでのアナログスティックによる照準合わせよりも直感的だ。

　第51回ではCCP Gamesによる「Gunjack」を紹介した。今回紹介する「Anshar Wars 2」は、OZWE Gamesが制作、Oculusのクレジットも入っているシューティングゲーム。14.99ドルと、2016年2月2月時点でOuclus Sotreに並ぶGear VR向けアプリの中で最高価格の作品だ。

「Anshar Wars 2」。いかにもSFチックな雰囲気だが今回の舞台は宇宙だけではない（本画像はプレスキットより）

　その実力やいかに、今回はその内容を紹介していきたい。

動けることで広がるゲーム性の幅

　「Anshar Wars 2」の最大の特長は移動できること。VRとシューティングゲームの相性がいいとはいっても、移動が制約されてしまうゲームは多い。それは酔いを防ぐためだ。

空間を自由に飛び回ることができる

　特にシューティング特有の急加速や急旋回は一人称視点の場合、酔いを引き起こしやすい。そういったこともあり、「Gunjack」ですら移動はなく、固定砲台で敵を迎え撃つというゲームプレイになっている。

　この「Ansher Wars 2」は移動に挑戦したシューティングだ。そのポイントとなるのは視点。キャノピーからの一人称ではなく、自機を後ろから追尾する三人称視点だ。視点が三人称になるだけで、酔いは一気に軽減する。

　動けない一人称視点である「Gunjack」と動ける三人称視点の「Anshar Wars 2」はある意味対照的だ。

　本ゲームでプレイヤーは艦隊の一員となり、戦闘機を操縦し、味方の戦艦を援護して各ステージでミッションをクリアしていく。頭の動きで方向転換、そして照準合わせも兼ねている。武器は2つと非常にシンプルで操作はしやすい。移動できないシューティングばかりやっていると、やはり自由自在に飛び回れるのは嬉しいところだ。

照準を合わせて攻撃。頭を動かすと移動になるが、照準も合わせて動く

　ちなみに。本作の舞台は宇宙だけではない。雪原といった地表近くのステージなどもあり、バリエーションは豊か。また動けることからステージの内容も、1ステージ内に2～3個のミッションが続いて発生するという流れになっている。ストーリーをたどりながら、敵を全滅させたり、味方の船を援護したりといったさまざまミッションをこなすことになる。

各ステージではストーリーが語られ、その後ミッションが示される。仲間から聴こえてくる台詞が英語なのが残念だ

　移動できることにより、ゲーム性の幅は非常に広い。敵の出現パターンだけでなく、ミッションひとつひとつで動き方や攻撃方法、そして武器が変わってくる。多様性が加わったことで、ゲームとしての面白さが一気に増すということがよくわかる。

前作から大幅にリニューアル、高まった完成度

　この「Anshar Wars 2」で用意されているステージは13。タイトルに“2”と入っているようにシリーズ2作目で、1作目の「Anshar Wars」は2014年末に公開されていた。その際は、宇宙空間を飛び回ったりするくらいの非常にシンプルなシューティングゲームだったが、続編ではストーリー性や先に述べたような多様性が加わり、一気にゲームとしての完成度が高くなった。

メニュー画面。しっかりとした作り込みが印象的

　三人称視点、地上・宇宙を問わずさまざまなステージでのミッションの攻略など、まさにGear VR版スターフォックスとでも言える本作。14.99米ドルという金額に負けぬ内容なのでGear VRユーザーにはぜひオススメしたい1作だ。

　なお、動ける一人称がある意味最も実在感が高くVRの面白さを最高に引き出していると言えるが、これを体験するにはポジショントラッキングがあり、酔いにくい設計になっているCCP GamesのOculus Rift、PlayStation VR向けスペースシューティング「EVE: Valkyrie」を待たなくてはならない。