杜のVR部

第60回

雰囲気を感じることができる360度全天球動画は意外とカンタンに楽しめる!

YouTubeやFacebookなどでカンタンに楽しむ方法をご紹介

 Oculus RiftやGear VRなどのVRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)の登場とともに、その1コンテンツとして注目を集めているのが360度上下左右を見回すことのできる360度全天球動画(以下、360度動画)だ。

 基本的に操作は不要のため、ゲームよりも手軽に楽しむことができること、そして何よりも360度撮影が可能な機材を使えば実写コンテンツも体験することが可能になる点が非常に相性がよい。

 まるでその場にいるかのような感覚を実現するVRHMDで実写のコンテンツを楽しむことは、まさに普段不可能な体験を可能にすることにもつながる。すでにさまざまなコンテンツ制作スタジオが登場するなか、誰もが知っているYouTubeとFacebookという2つのプラットフォームが360度動画の投稿・再生に対応し手軽に楽しむことができるようになっている。大手企業のプロモーションなどにも使われているが、まだその存在はあまり知られていない。

 今回は、徐々に広がりつつある360度動画の楽しみ方を紹介していきたい。

YouTubeとFacebookで手軽に楽しめる360度動画、ブラウザーで視聴可能

 さて、360度動画の楽しみ方だが、正直な話、特別なものは何も必要ない。該当する動画にアクセスするだけだ。PCブラウザーの場合は動画をドラッグすると360度を見渡すことができる。ブラウザーにより対応状況が異なり、「Google Chrome」「Firefox」「Opera」での視聴は確認している。だが、360度動画を楽しむための方法として、一番最初にブラウザーの体験は最も残念なものだ。手でグリグリと動かすだけではその場の雰囲気を体験することはできない。

YouTubeの360度動画。左上にアナログスティックのようなマークが表示される
Facebookの360度動画

 筆者の考えでは360度動画を楽しみたかったら、最低でもスマートフォンでの体験が必須。そして最も楽しめるのはVRデバイスを使ったものだ。

 スマートフォンのYouTubeやFacebookアプリ、ブラウザーなどからアクセスすることで、これらの動画はスマートフォンを傾けると360度を眺めることができるようになる。

 そしてVRデバイスに関しては、プラットフォーム等で若干対応事情が異なる。まずはスマートフォン向けのVRデバイスから。レンズが一枚しかない一眼のハコスコに関しては、どちらのプラットフォームでも、スマートフォンで横向きの全画面再生にすることで体験可能だ。

 レンズが二枚あるCardboardなどのスマホ向けVRデバイスの場合、YouTubeかつAndroidのスマートフォンであれば右下のゴーグルのマークをタップすることで左右にそれぞれ映像が表示される“Side by Side”モードとなり体験可能。iOSのYouTubeアプリでは未実装だ。

AndroidのYouTubeアプリでゴーグルのマークを押すと……
Side by Sideで表示され、二眼のデバイスで視聴可能になる

 Facebookはスマホ用の二眼デバイスには対応していない一方、Gear VRを持っていれば、スマートフォンで動画の“VRで見る”を押してからスマホをGear VRに装着すると、そのままVRモードで360度動画を見ることができる。

Facebookでは“VRで見る”を押すことでGear VRでの表示が可能になる

360度動画のプラットフォームで充実したコンテンツを楽しむ

 最も大変なのは、360度動画の探し方。本記事でもいくつかの非常にクオリティの高い360度動画を紹介するが、他にもたとえばYouTubeの場合、公式でまとめている360度動画のタグチャンネルなども参考になる。また、検索で“360”などと検索すると数々の360度動画がヒットするのでオススメだ。

 Facebookに関しては、360度動画の公式サイトを参考にするくらいで、360度動画を重点的に探す方法は筆者が知る限り不明だ。

 なお、こうした360度動画のプラットフォームとしては、YouTubeとFacebook以外にもコンテンツの充実したものがすでに存在している。海外ではLittlstar、Vrideo、国内ではハコスコストアといったプラットフォームだ。これらのサイトは360度に特化しているぶん、コンテンツも探しやすいという特長がある。大手企業もチャンネルを開設しており、次世代の360度動画配信プラットフォームとして期待したいものばかりだ。

 以下に、筆者がオススメの360度動画を紹介したい。

  オイルマネーの象徴とも言うべきアラブ首長国のドバイの1日の様子をタイムラプス撮影したもの。史上最高の8K画質での視聴が可能。きらびやかで美しい様子がわかる。

 スイス空軍が撮影した、大空を戦闘機で飛ぶ様子をコクピット内で撮影したもの。

 アメリカ・ブロードウェイのミュージカル“ライオン・キング”を舞台上のさまざまな視点から撮影したもの。

 人気スマホゲーム「グランブルーファンタジー」の360度動画。2015年の東京ゲームショウで展示されたもの。ゲームに登場する飛行船など世界観の再現と、甲板に佇み近付いてくるキャラクターの生き生きとした様子が印象的。

 人気ゲームシリーズ「アサシン クリード」の最新作「アサシン クリード シンジケート」のDLCの360度ティザー動画。産業革命期ロンドンの夜の街の雰囲気を”体験”できる。

 初音ミクのライブ。ミクさんが近付いてきて目を覗き込んでくるとドキドキしてしまうこと間違いなし。


 360度動画は現在、大手企業のプロモーションやジャーナリズムなどさまざまな分野で使用され始めている。今回は、360度動画の楽しみ方を紹介したが、RICOH THETA Sなどの市販の360度カメラを使うと、自分で撮影した360度動画をYouTubeやFacebookで簡単に共有することも可能になる。

 年明けに開催されたCESでも360度カメラは数々登場しており、今後はプロが撮影したものも個人が撮影したコンテンツも増えて盛り上がってきそうだ。

(もぐらゲームス:すんくぼ)