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QuickTime Proでオーサリング!

【第1回】

QuickTimeとは何か? 最新バージョンv6の新機能

ついにMPEG-4に対応した元祖マルチメディア技術

(02/09/05)

「QuickTime」v6
「QuickTime」v6
 Windowsユーザーにとって「QuickTime」というとWebをブラウズしていてたまに出くわすムービーフォーマットというくらいで、あまりなじみのない技術ではなかろうか。この連載では先ごろ公開された「QuickTime」の最新版であるv6と、そのシェアウェア版である「QuickTime Pro」の機能を4回にわたって紹介することで、その実力を探っていく。
□窓の杜 - 【NEWS】アップルコンピュータ、「QuickTime」v6の日本語版をリリース
http://www.forest.impress.co.jp/article/2002/08/20/quicktime6jp.html
□窓の杜 - 【NEWS】米Apple Computer、ISO準拠のMPEG-4に対応した「QuickTime」v6をリリース
http://www.forest.impress.co.jp/article/2002/07/16/quicktime6.html

マルチプラットフォーム対応、マルチメディア技術の先駆け

 「QuickTime」がWindowsユーザーになじみが少ない理由のひとつに、「QuickTime」がApple Computer製で、Macintoshプラットフォーム出自の技術であるという点が挙げられるだろう。「QuickTime」の最初のバージョンが登場したのが1991年。その後、CD-ROMの普及とともに流行した“マルチメディアタイトル”では「QuickTime」のムービーが多用され、一時期はマルチメディアといえば「QuickTime」という図式が成り立っていた。

 Windows上での「QuickTime」の歴史も比較的古く、Windows 3.1のころ、「QuickTime」のバージョンでいうと1.9xの時代からWindows版が存在してはいたが、v3になるまではMacintosh版との機能差が大きかった。v3以降はWindows版、Macintosh版ともにほぼ同様の機能をもつようになったが、それと同時にフリーソフト版の「QuickTime」とシェアウェア版の「QuickTime Pro」に分かれるようになった。

 「QuickTime」はWindows、MacintoshというPC上でサポートされているのに加えて、一部のデジカメでは動画フォーマットとして採用されている。さらにApple社非公認、制限付きながらLinuxなどのUNIX系OSでも扱うことができる。

動画、音声、MIDI、テキスト……各種メディアを統合して扱う

 「QuickTime」の特徴は、“マルチメディア”の名のとおり、「QuickTime」形式のムービーファイル(拡張子は“MOV”もしくは“QT”)のなかに動画・音声データだけでなく、静止画、MIDI、テキストといった各種メディアを統合して取り扱えるところにある。たとえばテキストデータをもったムービーファイルなら、音楽(サウンドデータでもMIDIデータでも可)に合わせて文字列が次々に現れるような映像も制作可能だ。

 動画や音声などのデータは“トラック”という単位でムービーファイル内に格納される。上に挙げたメディア以外にもShockwave Flashアニメーション、QuickDraw 3Dオブジェクト、パノラマムービー、チャプター情報、URLへのリンク、ストリーミング情報、アニメーションをスプライトとしてインタラクティブに動かすための情報などがトラックとして扱われる。

 「QuickTime」ムービーファイルは「QuickTime」をセットアップするとインストールされる「QuickTime Player」によって再生される。それ以外にも、MPEG-1ファイル、WAVE、MP3といった音声ファイルや一部のAVIファイルを再生可能だ。シェアウェア版の「QuickTime Pro」では「QuickTime Player」でムービーの編集や書き出しができるようになる。

 「QuickTime Player」と同時に「PictureViewer」というアプリケーションもインストールされる。これは静止画ビューワーだ。読み込むことのできる静止画は、Windows標準の画像形式であるBMP、Macintosh標準のPICTは当然のこと、JPEG、PNG、GIF、TIFFなどよく使われるフォーマットや、SGIのワークステーションで使われるSGIフォーマット、「Adobe Photoshop」のPSDフォーマットなども読み込める。

 これらの機能は「QuickTime Player」「PictureViewer」という単体のアプリケーションが備えているわけでなく、「QuickTime」という技術そのものがもともともっているものであり、外部のアプリケーションからもこれらの機能を扱える。実際、動画系、グラフィック系のアプリケーションでは「QuickTime」が必須となるものも多い。多くのアプリケーションをプリインストールしたメーカー製のパソコンで、「QuickTime」もインストールされていることが多いのはそのためだ。

ISO準拠のMPEG-4ファイルの作成、再生に対応

 v6の目玉はなんといってもMPEG-4ファイルの作成、再生に対応したことだ。MPEG-4とはMPEG-1、MPEG-2と同様に、ISO(国際標準化機構)の一部門であるMPEG(Moving Picture Experts Group)が策定した動画に関する国際標準規格。携帯電話など帯域の狭いストリーミングメディアから広帯域まで対応したスケーラブルな規格だ。特に狭帯域に強く、同じビットレートならばMPEG-2よりも高画質であるともいわれている。また、MPEG-4ファイルの規格にはFlashやJavaScriptを使ったWebページのように、ユーザーがマウスでインタラクティブに操作できるような機能も規定されている。

 さて、このMPEG-4ファイル(拡張子が“MP4”であることからMP4ファイルとも呼ばれる)のファイルフォーマットは「QuickTime」のファイルフォーマットをベースに規格が制定されている。ある意味、MP4ファイルの本家は「QuickTime」であるともいえるだろう。

 ここで少々ややこしいのがファイルフォーマットとコーデックの関係だ。AVIファイルの中に“MPEG-4”を名乗っているものがある。Microsoftの“MPEG-4 V3”や、DivX Networksの“DivX”がそうだ。これは「MPEG-4の技術を使っているAVIファイル」ということになる。「QuickTime」のMOVの場合もAVIの場合も同じだが、通常、ムービー内の映像や音声はさまざまな形式の圧縮がかけられていて、それを映像や音声という形に復元するためにはその形式に合った圧縮・伸張モジュールが必要になる。このモジュールがコーデックだ。つまり、MOVファイルやAVIファイルのフォーマットは、コーデックによって圧縮されたトラックの“入れもの”として規定されており、それぞれのMPEG-4技術がコーデックとして利用されているのだ(DivXはMP4ファイルも作成可能)。

 さて、今回は駆け足で「QuickTime」の概要を紹介したが、次回はシェアウェア版である「QuickTime Pro」を使って実際にムービー編集を行う予定だ。おたのしみに。

(モッティ)

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バックナンバー

最終回:ISMA 1.0準拠のMPEG-4エンコーダーとしてのQuickTime 6(後編)(02/10/03)

第3回:ISMA 1.0準拠のMPEG-4エンコーダーとしてのQuickTime 6(前編)(02/09/19)

第2回:QuickTime Playerでムービーファイルを編集しよう(02/09/12)

第1回:QuickTimeとは何か? 最新バージョンv6の新機能(02/09/05)

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