Q. FTPってなんですか?
A. ファイル転送の方式のことです。
FTP とは File Transfer Protocol の略で、インターネットで標準的に用いられるファイル転送方式のことです。パソコン通信では「X-MODEM」「QuickVAN」「BPLUS」といった転送方式がよく用いられますが、インターネットでは FTP という方式を用いることが多いのです。FTP を行うにはサーバー側に FTPサーバープログラムが、利用者側に FTPクライアントプログラムが動いている必要があります。FTPクライアントがFTPサーバーにログイン(接続)し、特定のコマンド(命令)をFTPサーバーに送ることで、サーバー側のハードディスク内に置いてあるファイルをクライアント側(利用者)のハードディスク内に転送することができます。このようなサーバー側からクライアント側へのファイル転送のことを「ダウンロードする」といい、クライアント側からサーバー側へファイルを転送することを「アップロードする」と言います。これはパソコン通信でも同じ呼び方ですね。
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Q. anonymous FTP サーバーってなんですか?
A. そのサーバーの登録利用者でなくても利用できる、公開 FTP サーバーのことです。
一般に FTP を行うには FTP サーバーにアカウント(利用者登録、ID)が必要です。電子メールではかならずプロバイダやネットワーク管理者にメールサーバーを利用するための事前登録が必要ですよね。FTPの場合も同様です。しかし、インターネットにはそのFTPサーバーの登録利用者でなくても、誰でも自由に無料で利用できるサーバーがあります。ログインするときには「anonymous」という ID を入力し、パスワードに自分の電子メールアドレスを入力すれば、そのサーバーにアクセスすることができ、サーバー内に置いてあるソフトウェアやファイルを自分のハードディスクに転送(ダウンロードといいます)することができます。このような公開サーバーのことを anonymous FTP サーバー(アノニマス・エフ・ティー・ピー・サーバー、匿名FTPサーバー)といいます。多くのフリーソフトやシェアウェアソフトがこのような anonymous FTPサーバーに置いてあって、インターネットの利用者はそこからそれらのソフトを自由にダウンロードすることができます。
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Q. anonymous FTP サーバーはなぜ無料で利用できるのですか?
A. みんなが幸せになるためです。
anonymous FTP サーバーは一般にボランティアで運営されています。原始インターネットの概念というのは「自分の持っているもの(リソース、資源)をみんなに公開しみんなで共有してみんなで幸せになろう」というものだと聞いています。anonymous FTPサーバーもこのポリシーに基づいて多くが運営されています。「オレはプロバイダに金を払っているぞ」と思う人もいるかもしれませんが、プロバイダはあなたのマシンをインターネットにつなげるという行為に対して報酬をもらっているわけで、あなたの払ったお金がこれらの anonymous FTP サーバー管理者に回ってくるわけではありません。インターネットは数多くのボランティアによって支えられています。忙しい仕事や学業の合間をぬって、自分の時間を費やしてサーバーのメンテナンスをしたりトラブルに対処してネットワークを維持している人たちがいるのです。このことを忘れてはいけません。
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Q. 窓の杜の中で時々出てくる「ミラー(mirror)」って何?
A. サーバーの内容をそっくり別のサーバーにコピーすることです。
mirror とはインターネットに特徴的な仕組みの一つで、元サーバー上の特定のディレクトリの内容をサブディレクトリ構造ごとそっくり別のサーバーにコピーすることを言います。鏡に映ったもののようにそっくり同じもの、ということから mirror と呼ばれるようです。 ミラーは次に詳しく述べるようにアクセスを分散させサーバーやネットワーク経路の負荷を下げる目的のものです。 mirror の更新は一般には 'cron' という UNIX 上の自動実行プログラムと組み合わせて周期的に自動的に行われます(窓の杜FTPサーバーの公式ミラーサイトの場合は1日1~5回の周期)。従って普通は更新に気を配る必要はありません(ただしミラーは手動で行う場合もあります)。ミラーによって元サーバーにあるソフトは自動的に「ミラーサイトに転載される」ということになりますが、cron を使う自動ミラーの場合はファイルやディレクトリの配置などミラー内容の管理権限はミラー元にあるため、ミラーサイト側ではミラー元へのミラー許可申請以外は、個々のファイルについて改めて転載許可を取ることはないのが一般的です。
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Q. なぜ「ミラー(mirror)」が必要なの? なぜミラーサイトを利用した方がいいの?
A. 無用なトラフィック (混雑) を減らしインターネット全体を快適にするためです。
よく企業のホームページなどで「転載禁止」と称して自社製のソフトウェアを配布しているところを見かけますが、インターネットにおいてミラーを十分に整えずにアクセスの一極集中を招くようなソフトウェアの配布方法は、決して賢いとは言えません。むしろ人気の高いソフトであればあるほどそのような配布方法は迷惑と言っていいかもしれません。 インターネットのことをよくわかっている一流の企業であれば、必ず (条件付きでも) 再配布を許可しているか、自前でミラーサイトを複数用意して配布しています。 インターネットは普通のBBSとは仕組みが違います。どこからでもリンクが直接張れますから、どこのサーバーに置いてあるかということは概念的にはあまり関係ないように思います。もちろん誰が管理しているかということは著作権者にとっては気になる点かもしれません。しかし、1ヶ所にしか置いていないことでアクセスが集中し、サーバーの負荷だけでなく途中経路の回線資源を無駄に使ってしまうことがインターネットでは問題なのです。ミラーリングはそれを回避する手段です。インターネットがバケツリレーであることは知られていると思いますが、単純な例を挙げると、
あるファイルがサーバーAにしか無い場合、端末1からファイルを取りに行くと
端末1 --->サーバーC --->サーバーB ----> サーバーA
のように途中経路の回線資源をすべて使います。その回線の混雑度合いをトラフィックとも言います。しかしそのファイルがネットワーク距離の近いサーバーCにもミラーされている場合、
端末1 --->サーバーC サーバーB サーバーA
だけで済みます。
つまり C-B間、B-A間の回線資源を消費せず、トラフィックを軽減できるわけです。これによって C-B間、B-A間を使う人に迷惑がかからないことになります(実際はもっと複雑ですがおおまかな仕組みは同じです)。
一人の接続がどれだけ回線帯域を消費するかを想像するのは難しいと思いますが、例えば FTPサーバーに50人が同時に接続して一斉にダウンロードをはじめると、T1 (1.5Mbps) の回線帯域がほぼ埋まってしまいます。テキストや小さな画像ファイル中心でダウンロード後に「人間が読む」時間の方が長い Webコンテンツと違い、HTTPやFTPでのファイルダウンロードは常時回線帯域を使いっぱなしになりますから、その影響はシビアです。1日100万ヒットなどと公称している Webサーバーはあっても、100万ダウンロードなどと公称しているFTPサーバーがないのはそのせいです。実際 T1 程度のバックボーンしか持たない anonymous FTP サーバーでは同時接続数を 20~40程度にするのが精一杯でしょう。これに対し HTTP の同時接続数は一般には 150くらいに設定されているようです。
そしてバケツリレーの途中経路の一ヶ所でも回線帯域が埋まってしまえば、あとは相手サーバーがどんなに高性能でも、サーバーの負荷がほとんどなくても、端末が ISDN や T3 の専用線でも、ダウンロードは遅くなってしまいます。 さらに困ったことに、外からアクセスされる回線も中から外に出る回線も普通は同じ回線を使いますから、外からのアクセスが集中するとローカルネット内(同じドメイン内)から外に出る回線が重くなる可能性も十分にあります。ですから人気の高いソフトであればあるほど、ファイルサイズの大きなソフトウェアであればあるほど、一極集中で配布することはまわりの迷惑であり、逆に自分の首を絞めることにもなるのです。 またわけもわからず HTTP で自作の人気ソフトを配布していると、実は同じプロバイダ(サーバー)利用者に大迷惑をかけていることになっているかもしれません。
インターネットの基本思想はインターネット雑誌などで紹介されることがあまりないですが、基本的に利用者の良識とボランティアで支えられています。他人に迷惑を掛けないよう心がけ、譲り合ってこの不安定な大規模ネットワークを支えています。現在急増するインターネット利用者に対して国内のネットワーク資源(回線)増強が全く追いついていないことは、普段インターネットをお使いの皆さんであれば容易に感じられるでしょう。「ISDN にしたのに国内のサイトはちっとも速く表示されない」「うちのプロバイダから○○のサイトはいつも重いのに、よそのプロバイダではなんともないらしい」「国内より国外のサーバーの方が快調だ」、などなど…。これらの多くはネットワークの負荷分散がうまくいかずに回線の極端な混雑が原因のようです。しかし回線増強を指をくわえて待っているしかないのでしょうか? そこで利用者レベルでできることが、まずできる限りネットワーク距離の近いミラーサイトを利用し、無用なトラフィックを少なくすることなのです。 またソフトウェア著作者の皆さんは、多少管理が面倒でもできればミラーサイトの多い公共 FTP サーバーなどでファイルを配布するのが望ましいのです。 もし多数のアクセスの予想される大きなソフトウェアを「管理の都合上転載禁止」で配布する場合は、ミラーサイトを自分で複数用意しましょう(その場合同じドメイン内に置いても意味がないことはおわかりですね)。それが不可能ならむやみに「禁転載」にしないか、インターネットでの配布自体を控えるべきだと思います。
弊社や、通産省を筆頭とする RingServer Project が、諸処のネットワーク管理者の協力を得て国内のソフトウェア資産のミラーリングを一生懸命進めているのは、上記のようなインターネット特有の事情が背景にあるからです。 それを少しでもご理解いただき、皆さん一人一人が意識を持ってご協力いただければ幸いです。 ●TOPへ
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