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【第150回】

経済ストラテジー「Economic War」

産業を育成し、国際社会での生き残りを目指せ!!

(01/09/26)

タイトル画面

 ニューヨークで起こったテロ事件は、世界中を震撼させた。激突し、火だるまとなった旅客機。崩れ落ちた世界貿易センタービル。被災者とそのご家族に、心より哀悼の意を表したい。同時に、テロは世界経済へも手痛い打撃を与えた。日米欧を巻き込んだ世界同時株安。ドル安による為替市場の混乱。このテロがきっかけとなってアメリカ経済が大きく後退し、深刻な不況と失業に見舞われるという予測もある。そうなれば、日本を含む多くの国が影響を受けるだろう。今後どうなるのか見当もつかない状況だが、だからこそ、たまにはこんなゲームで世界経済について思いを廻らせてみるのはどうだろうか。今回は経済ストラテジー「Economic War」を紹介しよう。

貿易をテーマにしたストラテジー

 「Economic War」は、国家間の貿易競争をテーマにしたストラテジーだ。自国の産業を育成し、ミサイル、石炭、穀物、テレビ、携帯電話、人工衛星、パームトップ、カメラの各市場でシェアの拡大、もしくは生き残りを目指す。ただしプレイする国によって条件が異なるので、必ずしもすべての市場を制覇する必要はない。それぞれの国の特徴を活かし、与えられた目的を達成すれば勝利となる。育成したい分野の研究開発を推進し、競争力のある製品をいかに安く生産できるか、そしてそれを相手国に高く売りつけることができるかどうかが勝敗のカギとなるだろう。

ハイテク市場の覇者となれ!!

携帯電話市場での生き残りを賭けたシナリオ“TELECOM”をプレイ
携帯電話市場での生き残りを賭けたシナリオ“TELECOM”をプレイ

 デモ版を起動し、メインメニューが表示されたら、まず“OPTIONS”ボタンをクリックして環境設定を済ませてしまおう。選べる解像度は、800×600ドットと1024×768ドットの2種類。解像度が高いほど一覧性がよくなるので、できれば後者をおススメしたい。“Sim speed”というのは、ゲーム内での時間の流れだ。あまり速いと考える時間がなくなってしまうので、慣れないうちは“Slow”か“Medium”がよいと思う。設定が完了したら、画面右下の赤い×印をクリックしてオプション設定画面を抜ける。

 メインメニューに戻ったら、今度は“TUTORIAL”ボタンをクリックしてみよう。ここでは「Economic War」の操作とプレイの基本を、対話形式で学ぶことができる。…といっても、表示されるメッセージを読みながらクリックするだけなので、所要時間は15~20分程度。このゲームの遊び方についてわかりやすくまとめられているので、面倒くさがらずに、ぜひ最後まで目をとおしてもらいたい。

 これで準備はOKだ。再びメインメニューに戻ったら、“START SOLO GAME”ボタンをクリックしてプレイを始めよう。「Economic War」には5つのシナリオが用意されているが、デモ版では上から2つめの“TELECOMS”を試すことができる。時代設定は2005年。携帯電話やパームトップを中心とした、ハイテク市場を巡る争いだ。参加国はドイツ、イギリス、アメリカ、中国、フランス、インド、日本、スウェーデンの8カ国。プレイヤーはドイツ、イギリス、アメリカの中からひとつを選び、その最高指導者として自国のハイテク産業の育成に努める。

選んだ国によって目的や戦い方が変わる

勝利条件は選んだ国によって変わる アメリカの首都ワシントン。研究施設や工場を建設して産業の育成を計る
勝利条件は選んだ国によって変わる アメリカの首都ワシントン。研究施設や工場を建設して産業の育成を計る

 勝利条件は選んだ国によって変わる。たとえばドイツの場合、ちょっと物騒だが、中国政府を転覆させること。イギリスの場合は、テレビの世界シェアを50%以上にすること。アメリカの場合は、日本との貿易戦争に勝つこと。定められた期間内にこの条件を満たせば勝利だ。

 戦い方は、大きく3つの方法に分かれる。まずひとつは、研究開発と工場の建設によって自国の産業を育成する方法。もっとも基本的なやり方だ。ふたつめは、工作員を使って相手国を混乱させ、その隙を突く方法。汚いやり方だが、これもまた有効な手段のひとつ。そしてもうひとつは、軍事力による圧力をかけて、相手国に要求を飲ませる方法。失敗すれば国交断絶や戦争状態になってしまうこともあるが、現実の世界でもしばしば使われるやり方だ。プレイヤーはこれら3つの方法を組み合わせて戦略を練り、最終的な勝利を目指す。

 たとえばアメリカの場合は、土地が広く、資源も豊富だ。多数のミサイルを保有し、軍事的なプレゼンスもある。しかしその一方で産業に偏りがあり、余っているものと足りないものの差が激しい。当面は石炭や穀物を売りながら外貨を稼ぎ、その資金を使って研究開発やハイテク関連の工場建設を続ける…という手になるだろう。

こちらは東京。首相官邸のすぐ側に大使館を建設した
こちらは東京。首相官邸のすぐ側に大使館を建設した

余っているものを高く売りつけ、足りないものを安く買う

世界地図で各国の状況を一覧。余っているものと足りないものを確認しよう 競争力のある製品を作るにには、新しい技術の開発が欠かせない
世界地図で各国の状況を一覧。余っているものと足りないものを確認しよう 競争力のある製品を作るにには、新しい技術の開発が欠かせない

 ゲームが始まったら、まず競合する他の7カ国に大使館を建設しよう。通常はこれだけで友好度が増すが、必要があれば外交官に命令を与えることもできる。工作員として送り込みたい場合は、外交官をダブルクリックして摘み上げ、そのまま相手国の政府へドラッグ&ドロップすればいい。

 続いて、自国の産業の育成を考える。研究施設を建設し、どの分野について研究を進めるかを指示しよう。テレビに関連する技術を高めたい場合は“INDUSTRY”、携帯電話やパームトップに関連する技術を高めたい場合は“HI-TECH”を育成すること。研究施設の数が多ければ多いほど技術の開発速度は速くなるが、そのぶんコストも掛かる。工場の建設や貿易に支障が出ないよう注意したい。

 貿易の基本は、自国に余っているものをできるだけ高く売却し、逆に足りないものをできるだけ安く買うことだ。他の7カ国の生産量とストックを分析し、高く売れそうな相手と、安く売ってくれそうな相手を探そう。あまり欲張ると、貿易の申し込みを拒否されてしまうこともある。相手国の首脳の表情を見ながら、適当なところで妥協することも必要だ。余っているものを高値でたっぷりと売りつけ、逆に相手が売りたがっているものを少しだけ買ってあげるようにすると、うまく行くことが多い。

育成系ストラテジーが好きな人におススメの作品

貿易する品目を2国間で直接協議。相手国の首脳の表情を見ながら考えよう
貿易する品目を2国間で直接協議。相手国の首脳の表情を見ながら考えよう

 最初のうちは何をすればいいのかさっぱりわからなかったが、生産や貿易交渉のコツがわかると一気におもしろくなる。自国の産業を育成する楽しみと外交交渉の妙が味わえる、奥の深いゲームだ。大胆にデフォルメされているが、外交の基本について学べる、よい教材であるとも思う。「シムシティ」や「シヴィライゼーション」など育成系のストラテジーが好きな人に、ぜひ一見をおススメしたい。

 ただ、読まなければならない英語のメッセージが多く、その点がちょっと厳しかった。外交や貿易となると一般に馴染みのない単語も多く、筆者も今回はかなり苦労させられた。日本語でプレイできればもっと楽しかったのに、と思う。

製品版では5本のシナリオが楽しめる

各国との関係一覧。有効度や外交官の行動、軍事的な関係を見ることができる
各国との関係一覧。有効度や外交官の行動、軍事的な関係を見ることができる

 デモ版では、5つあるシナリオのうち、ここで紹介した“TELECOMS”を試すことができる。選べる国も、ドイツ、イギリス、アメリカの3カ国のみ。…とはいえ、どの国を選ぶかによってスタート時の条件や勝利条件が変わるし、ユーザーに与えられた選択肢も広い。あれこれ試行錯誤を繰り返しながら、たっぷりと楽しめるのではないだろうか。

 製品版はヨーロッパで先行発売されており、価格は18.99ポンド(イギリスの場合)。アメリカではまだ発売されていないようだ。日本国内での販売や移植についても、いまのところ何もアナウンスされていない。

(EWdemo.zip、34.2MB、ゲームデモ)

□「Economic War」のホームページ
http://www.economic-war.com/
□「Economic War」のダウンロードページ
http://www.economic-war.com/EWus/html/demo.htm

(駒沢 丈治)


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