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老舗フリーソフト作家・柳井政和氏が小説家デビュー!松本清張賞最終候補作が8月末に刊行

プログラマー探偵が活躍するミステリー『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』

『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』表紙

 老舗フリーソフト「めもりーくりーなー」などで知られるプログラマー・ゲーム作家の柳井政和氏(クロノス・クラウン)が、一般文芸のジャンルで作家デビューすることが明らかになった。8月27日に文藝春秋より、『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』が刊行される。四六判・312ページで定価は1,500円(税抜き)。

 『裏切りのプログラム』は、第23回松本清張賞の最終候補作となったミステリー小説。プログラマーが企業データを暗号化して失踪し、“身代金”7,000万円を要求してくるという事件にプログラマー探偵が立ち向かう。柳井氏によるとソースコードが物語の鍵となる内容とのことで、筆者の経歴を活かした異色のミステリーを堪能できそうだ。ちなみに、松本清張賞へ応募時のタイトルは『バックドア』。

 また、表紙を『スティーブズ』『大東京トイボックス』などで知られる漫画家ユニットのうめ先生が担当する。

あらすじ

安藤裕美は、人材派遣会社を経て20代で会社「コードエージェント」を立ち上げ、腕のよいプログラマーを企業に斡旋している。だが、取引先で、自分の会社が送り込んだプログラマーが企業データを暗号化して失踪し、“身代金”7000万円を要求してくるという大事件が起きる。

「電子おくすり手帳」5万人分のデータを人質に取られているため、警察に通報して事件が公になれば会社は社会的信用を失う。極秘の捜査を依頼され、安藤は出資者の東城院加奈子から、補佐役として奇妙な青年を紹介される。鹿敷堂(かしきどう)桂馬。いかにもやる気のなさそうなこのプログラマーに、安藤は苛立ちを覚えるが……。

「ぼくはプログラマーなので、コードで答えさせてもらいます」

「プログラマーという人種はですね。他人とともに、自分も信じない人間なんですよ」

いかにもやる気なさげなプログラマー探偵、鹿敷堂登場!
相棒の安藤裕美をイラつかせながらも、やるときゃやる!

松本清張賞 選考委員の選評

「探偵役の鹿敷堂がいいキャラクターなので、シリーズ化に挑戦してほしい。プログラマーの世界をもっと読みたいという意見は(選考委員)全員一致した」(石田衣良氏)

「じつに刺激的だった。理系ブラック社会のありようがリアルに描かれている」(角田光代氏)

「事件の謎とともに、プログラミングを通して男性キャラ達の思考回路を理解していけるところも興味深く、楽しく読めた」(桜庭一樹氏)

「理系ミステリーとしての面白さに加えて、シリーズ物になりうる構えがあるのも好感が持てた」(葉室麟氏)

「私は今回「バックドア」を一番に推した。(中略)過酷な労働を強いられる人々への熱い応援の気持ちと、現状への疑問や怒りが作品にこめられていて、非常に胸打たれた」(三浦しをん氏)