REVIEW(12/06/04)

Windows用に最適化された「Firefox」ベースのWebブラウザー「Pale Moon」

優れた拡張機能のおかげで「Firefox」を乗り換えられないという人は要注目

「Pale Moon」v12.1「Pale Moon」v12.1

 「Pale Moon」は、「Firefox」をベースにWindows用として独自ビルドされたWebブラウザー。Windows XP/Vista/7および64bit版のXP/Vista/7に対応する寄付歓迎のフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードできる。

 一般的にWindows用のアプリケーションを開発する際には、各種CPUの処理能力を最大限に生かすための“拡張命令セット”と呼ばれる仕組みが利用でき、これによりアプリケーションの各処理を効率化させることで動作全体の高速化などが期待できる。

 しかし「Firefox」は、万人が使えるようにWindows以外にもMac OSやLinuxなどのマルチプラットフォーム対応として開発されているため、この拡張命令セットを利用していない。つまりWindowsユーザーにとっては、アプリケーションの高速化という魅力的な恩恵を受けられていないことになる。

 そこでWindows用として拡張命令セットを使い、さらに64bit向けも併せて公開されているのが「Pale Moon」だ。「Firefox」はオープンソースで公開されているため、誰でも自由にソースコードを改変して公開することができ、こうしたものは一般に“独自ビルド版”と呼ばれている。ただし、そのほとんどは個人作者の手によって公開されているため、更新が滞ってしまったり、すでに更新する気配のないものも多いのが実情だ。

 いくつかの独自ビルド版が停滞している状況にあって、「Pale Moon」は本家「Firefox」の高速リリースにも対応しながら着実にバージョンアップを繰り返している。また、本家の新機能追加やセキュリティアップデートにもしっかりと対応しているので安心できる。

 「Pale Moon」はあくまでWindows用として最適化されたものに過ぎないので、本家「Firefox」とインターフェイスや使い勝手は何も変わらない。もちろん、有志によって公開されているさまざまな拡張機能もインストール可能だ。

 ただし、そもそも「Firefox」というWebブラウザーはユーザーが好みの拡張機能をインストールしてカスタマイズすることが前提といっても過言ではなく、その点においては「Pale Moon」も同様。インストールしている拡張機能やその数によっては、必ずしも高いパフォーマンスが期待できるわけではないので注意。「Pale Moon」は「Firefox」と共存できるほか、インストール不要のポータブル版も用意されているので、完全移行する前にしばらく試用してみるとよいだろう。

 なお、日本語化についてはいくつかの注意が必要。日本語化ファイルは拡張機能と同様のXPIファイルとして提供されているので、まずは「Pale Moon」で下記ダウンロードページを開き、“ja.xpi”ファイルをインストールして再起動しよう。これだけでは日本語化されないので、ロケーションバーへ“about:config”と入力し、設定画面を開く。続いて設定画面内のテキストボックスへ“general.useragent.locale”と入力し、一覧に表示された項目をダブルクリックする。現れたダイアログには“en-US”と表示されているはずなので、これを“ja-JP”と書き換えてダイアログを閉じる。あとは設定を反映させるため、もう一度「Pale Moon」を再起動すれば日本語化が完了する仕組みだ。

ロケーションバーへ“about:config”と入力して設定画面を開く。続いて設定画面内のテキストボックスへ“general.useragent.locale”と入力。ロケーションバーへ“about:config”と入力して設定画面を開く。続いて設定画面内のテキストボックスへ“general.useragent.locale”と入力。

項目をダブルクリックして、現れたダイアログ上のテキストボックスに“ja-JP”と入力して閉じればOK。項目をダブルクリックして、現れたダイアログ上のテキストボックスに“ja-JP”と入力して閉じればOK。

【著作権者】
Moonchild Productions
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/XP x64/Vista x64/7 x64
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
12.1

(久保 望)