レビュー

ヒロインを救うため祖先の時代を改変するタイムリープ・和風ADV「千年魔封刀剣記」

過去での選択により未来が変わるマルチエンディング

主人公の幼なじみ“胡蝶”。魔物封印に失敗し命を落としてしまう

 「千年魔封刀剣記」は、ヒロインを救うため過去の時代を改変していく和風ファンタジー・アドベンチャーゲーム。Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7に対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 8.1でも動作を確認した。“ふりーむ!”のWebサイトからダウンロードできる。

 主人公は魔物退治を生業とする“神刃一族”の末裔。神刃一族は魔物封印に特化した“和泉一族”と協力して300年に一度の魔物封印を行うが、封印に必要な鏡に傷がついていたことから封印は失敗。幼なじみの“和泉胡蝶”が命を落としてしまう。主人公は胡蝶を救うため、過去を変える力を持つと伝承されている刀を使い、現代から鏡が傷ついたとされる500年前、そして前回の封印が行われた300年前へと旅立っていく……。

 先祖に憑依することでその時代の人物として行動することになった主人公は、刀に宿る意志と共に封印失敗の原因を探っていく。現代における友人の先祖と出会ったり、過去へ介入した結果、後の時代にこれまで居なかった人物が現れたりとタイムリープものらしい内容に加え、刀自身の思惑や魔物と一族の関係など、事件の真相に迫っていく展開も見所だ。

500年前に主人公が助けたことにより一族への協力を誓った“津雲三郎太”。300年前の時代にはその子孫の少女“津雲結壱”が登場する

 ゲームとしては選択肢が多く用意されており、過去改変失敗によるバッドエンドもあるほか、選択によって過去の人物や相棒となった刀との関係にも影響があり、これによって物語の結末が変化するマルチエンディングとなっている。数百年にわたる因果が収束する終盤では驚きの展開も。全エンディングクリアまで2時間程度の短編だが、躍動感のあるイベントCGも付いた白熱の戦闘シーンを含め、密度の高い物語を楽しめる作品だ。

選択肢の積み重ねによりエンディングが変化する
白熱の戦闘シーンや、意志をもつ刀と主人公の軽妙でときに熱い掛け合いも見所

ソフトウェア情報

「千年魔封刀剣記」
【著作権者】
棚瀬江莉加 氏
【対応OS】
Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
0.9(14/12/10)

(中村 友次郎)