杜のAndroid研究室

第188回

Office文書をAndroidで閲覧・編集「Microsoft Office Mobile」

「Word」「Excel」「PowerPoint」を利用できるMicrosoft純製アプリ

 『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、統合オフィス環境「Microsoft Office」のAndroid用公式アプリ「Microsoft Office Mobile」に焦点を当て、その使い方と機能を紹介しよう。

個人利用が無償化された「Microsoft Office Mobile」

「Microsoft Office Mobile」

 「Microsoft Office Mobile」は、Microsoftが提供する統合オフィス環境「Microsoft Office(以下、MS Office)」のAndroid用公式アプリ。同社のオンラインストレージサービス“OneDrive(旧名:SkyDrive)”や、Android端末に保存している「Word」「Excel」「PowerPoint」の文書ファイルを閲覧できるほか、簡単な編集も行うことができる。“OneDrive”を経由することで、パソコンで編集していた文書ファイルをAndroidでシームレスに閲覧・編集できるのが特長。

 これまで「Microsoft Office Mobile」は、会社や学校など団体向けの“Office 365”のユーザーのみが利用可能だったが、3月27日に行われたアップデートにより、一般の“Microsoft アカウント”ユーザーでも非商用に限り無償で利用できるようになった。なお、「Microsoft Office Mobile」のiPhone版も提供されており、こちらも無償で利用可能。

“OneDrive”や端末内の文書ファイルを閲覧・編集できる

 初回起動時に表示される画面から“Microsoft アカウント”でログインすることで利用を開始でき、“OneDrive”の自分用フォルダにアクセスし、保存している文書ファイルの閲覧・編集を行える。

“Microsoft アカウント”でログインすると利用できる
最近使ったファイルの一覧や、“OneDrive”内のフォルダから文書ファイルを選択して表示できる

 画面はタブ切り替え型となっており、左側の[最近使ったドキュメント]タブには、“OneDrive”内で最近更新した文書ファイルが一覧表示される。パソコンの「MS Office」の保存先を“OneDrive”に設定していれば、パソコンで更新した文書ファイルもタブ内に一覧され、選択してすばやく表示できる仕組み。

 また、中央の[開く]タブからは“OneDrive”内のフォルダを閲覧でき、保存されている文書ファイルを探して表示できる。右側の[新規作成]タブでは、「Word」「Excel」の文書を新規作成したり、テンプレートから作成することが可能。なお、「PowerPoint」の文書も閲覧・編集が可能だが、本アプリから新規作成することはできない。

 また、Android端末に保存している文書ファイルや、メールに添付された文書ファイルを本アプリで開き、閲覧・編集することも可能。各種ファイルマネージャーやメールアプリで閲覧したい文書ファイルをタップすると表示される、アプリケーション選択用のポップアップで[Office Mobile]項目を選択することで、本アプリを起動してファイルを表示できる。

 なお、「MS Office」2003以前で使われていたDOC/XLS/PPT形式で保存されたファイルの一部などは、本アプリで開けなかったり、編集できない場合がある。

文字装飾や関数入力、グラフ作成などの編集も可能

画面をタップしてカーソルを移動し、日本語入力アプリでテキストの加筆・修正ができる

 起動画面の一覧などから文書ファイルを選択すると、「Word」「Excel」「PowerPoint」それぞれの閲覧・編集画面が表示される。UIはモバイルに最適化されたデザインになっており、パソコンの「MS Office」のようなリボン形式のメニューは備えていない。

 「Word」ファイルを開いて表示される閲覧画面では、上部のメニューバーでペン型ボタンをタップすることで編集モードに切り替わる。画面をタップしてキャレットを移動でき、日本語入力アプリでテキストの加筆・修正を行える。また、テキストをタッチして選択すると、通常のメモアプリのようにコピー&ペーストができるほか、画面右上の[+]ボタンをタップすることで、“コメント”を書き込むことが可能。さらに右側のブラシ型ボタンをタップすれば、文字の色やサイズの変更、太字や斜体などの装飾を行うこともできる。

テキストを選択すると、コピー&ペーストのほか、コメントの書き込みや文字装飾を行うことが可能
文字の色やサイズの変更、太字や斜体などの装飾を行える

 「Excel」ファイルの閲覧画面では、メニューバーのフォルダ型ボタンをタップすると、ファイル内のシートやグラフの一覧リストからシートの切り替えを行える。また、各セルをダブルタップすると入力モードに変わって日本語入力アプリが起動し、数字や関数、テキストなどを入力可能。関数を途中まで入力すると候補の関数一覧がポップアップし、選択して入力する機能も備える。画面右上の[完了]ボタンをタップすれば、入力モードを終えることが可能だ。

 選択中のセルをタッチし、上下左右にドラッグすると、複数セルを同時選択することが可能。複数セルの選択時にメニューバーの[関数記号]ボタンをタップすれば、数値の合計や平均、最大値や最小値をすばやく確認することが可能で、そのまま関数を選択し、隣接するセルに入力することもできる。また、複数セルの選択時には、メニューバーの[…]ボタンのメニューから[グラフの挿入]項目を選択し、選択しているデータでグラフを作成することが可能。そのほか、アンドゥ・リドゥや“オートフィルタ”による絞り込み、セルの並べ替えなどにも対応している。

セルをダブルタップして入力モードに変え、数字や関数、テキストを入力可能
関数を途中まで入力すると候補が表示され、選択してすばやく入力できる
複数セルを同時選択し、[関数記号]ボタンをタップすると、合計や平均などを表示して確認できる
[…]ボタンのメニューからアンドゥ・リドゥやグラフ作成が可能

 「PowerPoint」ファイルの閲覧画面では、画面を左右にフリックし、スライドを切り替えて閲覧できる。各スライドの下部をタップし、メモなどを“ノート”として書き込めるほか、メニューバーの[スライド一覧]ボタンをタップすれば、全スライドを一覧表示することが可能。なお、「PowerPoint」の編集機能は限定的で、既存のテキストボックス内のテキストのみ日本語入力アプリで編集することが可能。新たなテキストボックスやスライドを追加することはできない。

「PowerPoint」ファイルは“ノート”の書き込みと既存のテキストボックスの編集が可能
スライドを一覧表示することもできる

編集したファイルを“OneDrive”に保存でき、メール共有も可能

 編集した文書ファイルは、メニューバーの[…]ボタンのメニューから[保存]または[名前を付けて保存]項目を選択し、“OneDrive”にアップロードして保存できる。なお、オフラインでアップロードに失敗した場合は、ファイルがローカルに一時保存される。[最近使ったドキュメント]タブの一覧でファイルを長押しして選択すれば、あとからアップロードをやり直すことが可能。

 また、[…]ボタンのメニューで[共有]項目を選択すれば、メールアプリなどを起動して文書ファイルをメールに添付し、他のユーザーと共有することができる。

[…]ボタンのメニューから編集したファイルを“OneDrive”にアップロードできる
アップロードに失敗したファイルは、あとから手動でアップロードをやり直せる
「Microsoft Office Mobile」
【著作権者】
Microsoft Corporation
【対応OS】
Android 4.0以降
【ソフト種別】
フリーソフト(個人利用のみ)
【バージョン】
15.0.2720.2000(14/03/27)

(ライターズハイ:鈴木 友博)