#モリトーク

第52話

デスクトップをデザインする

 以前、『Windowsユーザーはカスタマイズ好き』ということをテーマに、機能面でのカスタマイズを取り上げたことがある。カスタマイズは機能だけに限らず、デスクトップ外観のカスタマイズも昔からWindowsユーザーの間で親しまれている。古くはWindows 95からWindows 2000までの時代、現在“クラシック”と呼ばれる外観しか用意されていなかった。そのため当時は、タスクバーを改造する「TClock」が絶大な人気を博し、多くの派生版も登場した。そして最近でも、「TTClock」などの類似ソフトがそのコンセプトを引き継いでいる。

「Zune Desktop Theme」

 Windows XPの時代になると、“Luna”などと呼ばれるビジュアルスタイル機能が実装され、デスクトップの外観をユーザーの手で切り替えられるようになった。ところが、同機能には制限が多く、マイクロソフト社が標準で用意したデザインしか選べなかった上、あとから追加で公開されたビジュアルスタイルも「Zune Desktop Theme」くらいしかない。カスタマイズ好きなWindowsユーザーがここに目をつけないはずもなく、同機能を非公式に“脱獄”し、さまざまなビジュアルスタイルを適用することも流行った。

 Windows Vistaが発売される頃になると、ガジェットやウィジェットが登場し、それらでデスクトップを飾るようになる。ガジェットやウィジェットを探す際に、その機能だけでなく、そのデザインを重視していた人も多かったのではないだろうか。しかし残念ながら、本コラムの第32話でも紹介したように、ガジェット・ウィジェット用のエンジンはほぼ絶滅してしまった。

 それでも、まだ生き残っているガジェットエンジンもあり、窓の杜で先週紹介したアナログ時計「System Meter」は、ガジェットエンジン「Rainmeter」用のスキンとして動作する。「Rainmeter」という名前を初めて聞いた人もいるかもしれないが、2001年から開発が続く定番のガジェットエンジンだ。ただし、一概にガジェットエンジンと言っても、Windows Vista/7などのそれとはコンセプトが異なる。

「Rainmeter」用スキン「Hanging Tags」

 通常のガジェットエンジンでは各ガジェットが独立しており、必要なものを組み合わせて利用するため、統一感がなかったり、デスクトップが煩雑になってしまうことも少なくない。一方の「Rainmeter」では、デスクトップ全体をデザインすることがまず先にあり、スキンと呼ばれるガジェットをその配置も含め、好みの壁紙に合わせて利用する。

 そのため、各所で公開されている「Rainmeter」用のスキンはデザインにこだわっていることが多いほか、複数のスキンがパッケージ化されており、スタイリッシュなデスクトップを完成した状態で得られるのが特長だ。もちろん、「System Meter」のようなスキンを単体で利用したり、パッケージ化されたスキンと組み合わせてもよい。ガジェットエンジンが絶滅しかけている今だからこそ、「Rainmeter」の価値を見直してみてはどうだろうか。

(中井 浩晶)