#モリトーク
第51話
「第50話:IEのジレンマ」の訂正記事
(2013/3/26 10:50)
前回の第50話が、伝えなければならない情報に欠き、誤解を招く内容となっていたことを、ここで改めてお詫びします。当該の第50話はすでに修正済みですが、緊急での対応となったため、不十分な内容となっています。そこで今回は、何が正しく、何が間違っていたのか、自己検証するとともに、最終的な事実を説明させていただきます。
第50話では、Windows 8上でのFlashコンテンツの扱いを説明する過程で、Webブラウザーとそのプラグインの仕様を取り上げました。“Windows ストアアプリ(以下、ストアアプリ)”版のWebブラウザーでは、従来のWindowsで使われてきたプラグインが機能せず、「Adobe Flash Player」も非対応になっています。一方、デスクトップ上のアプリケーションとして動作させたWebブラウザーでは、「Adobe Flash Player」を含めて、多くのプラグインが従来通りに機能します。
これらの仕様を前提に、ストアアプリ版の「Internet Explorer 10(以下、IE10)」はFlashコンテンツに対応するために「Adobe Flash Player」を統合したと、第50話で解説しました。加えて、サードパーティ製WebブラウザーがストアアプリとしてFlashコンテンツを再生するためには、「Adobe Flash Player」を統合する必要があるとも説明しましたが、ここの部分に大きな見落としがありました。
周知の通り、Windows 8上のアプリケーションは、デスクトップ上のソフトと、ストアアプリに分かれ、それらに互換性がありません。ただし例外的に、Webブラウザーには“New Experience Enabled Desktop Browser(新しいエクスペリエンス対応デスクトップブラウザー)”と呼ばれる動作モードが提供され、デスクトップ上のWebブラウザーをストアアプリ風に起動させることができます。つまり同モードでは、ストアアプリと同じ外観をまとったWebブラウザーが、デスクトップ上のアプリケーションとして動作するため、既存のプラグインを従来通りに利用することが可能です。そして、Windows 8のストアアプリとして見えるIE10も同モードを採用しています。
まとめると、Flashコンテンツに対応するWebブラウザーをストアアプリとして見せるためには、“New Experience Enabled Desktop Browser”モードを採用すればよいことになります。そのため、ストアアプリへの対応と、「Adobe Flash Player」の統合は直接的に関係ありません。ただし、同モードで動作するIE10では“拡張保護モード”が有効となるほか、「Adobe Flash Player」のみが利用可能なプラグインとして例外的に認められているので、無関係とも言い切れません。なお、Webブラウザーを“New Experience Enabled Desktop Browser”モードで動作させるには、それがシステム既定のWebブラウザーに設定されている必要があります。
また、第50話でリンクを掲載した窓の杜の記事にも誤解を招く表現があったため、ここで併せて訂正させていただきます。下記の両記事には、ストアアプリとして見えるIE10と、デスクトップ上のIE10では、異なるバージョンの「Adobe Flash Player」を利用しているとの表現があります。しかし実際は、どちらも同じバージョンの「Adobe Flash Player」を統合しています。上述したように、ストアアプリとして見えるIE10と、デスクトップ上のIE10は実質的に同じアプリケーションであり、「Adobe Flash Player」も同一となります。
最後に、今回の見落としを気付くきっかけとなったブログが存在したことをお伝えすると同時に、本記事をもってブログ著者への謝辞とかえさせていただきます。