週末ゲーム
第655回
跳ねる球で敵を倒すブロック崩し風アクション「投月兎 ~なげっと!~」
球で破壊しまくる爽快感と、スキルを使いこなすパズル要素が楽しめる作品
2016年11月11日 06:00
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ブロック崩し風アクションゲーム「投月兎 ~なげっと!~」をご紹介する。
本作は2016年夏のコミックマーケットにて完成版が頒布された有償の同人ゲームで、現在はダウンロード版を購入可能。価格は432円(税込み)など。作者サイトにて体験版も公開されている。
跳ねる球を射出し、敵や障害物を壊して進むアクション
「投月兎 ~なげっと!~」は、弾を飛ばしてブロック崩しのような感覚で敵や物を壊していく、ステージクリア型のアクションゲーム。白ウサギの化身“シロ”を操作し、丸い球の形をした月の子“アカリ”を飛ばして、フィールド上にある“黒の結晶”をすべて壊せばステージクリアとなる。
主な操作は左右の移動とジャンプ、アカリの射出。アカリは上下左右と斜めの8方向に撃ち出せる(下と斜め下は空中でのみ可能)。射出されたアカリは、敵に衝突するとダメージを与えて跳ね返る。また一部の障害物も破壊可能だ。黒の結晶は敵や障害物など複数のタイプがあるので、とにかく黒くて壊せるものをどんどん壊していけばいい。アカリは射出されてからもフィールド内を跳ねまわり、次々と敵や障害物を破壊していく。
アカリがシロの場所に戻ってくるとキャッチし、再び射出できるようになる。飛び跳ねているアカリの動きは操作できないが、ワンボタンでシロのもとに呼び戻すことは可能。
アカリを射出するボタンを押し続けると溜め状態になり、一定時間溜めてから離すと、アカリが黄色い光をまとって高速で射出される。黄色く光っている間は貫通力があり、接触した敵や障害物に大ダメージを与えられる。
手元にアカリがない状態のシロは、射出ボタンを押すことで手に持つ杵を突き出すようにして攻撃できる。さらにボタンを押したままにすると杵を回転させ、近くの敵を連続攻撃できる。シロが杵を回転している最中にアカリが接触すると、キャッチせずに打ち返す。杵を向ける方向によって、アカリを打ち返す方向を調整できる。
フィールド上にある黒の結晶は、アカリと杵のどちらで破壊しても構わない。ただ杵よりアカリの方が攻撃力はかなり高く、またシロが敵に触れるとダメージを受けてHPが減るので、基本的にはアカリをぶつけて戦いたい。シロのHPが0になると、そのステージの最初からやり直し。残機が0になるとゲームオーバーだ。
シロを動かしながらアカリを呼び戻し、撃ったり弾いたりして黒の結晶を壊していく。操作は時にかなり忙しくなるので、ゲームパッドを使ってプレイするのがいいだろう。
7つのスキルを使い分けるパズル要素も重要
攻撃の要となるアカリには、さらにスキルで特殊効果を与えることができる。ステージは10ステージごとに章で区切られており、各章の最後にはボスが登場する。ボスを倒すと宝珠が得られ、新たなスキルを獲得できる。
スキルはアカリから別の攻撃を発生させるものや、アカリとシロの位置を入れ替えるものなど複数ある。アカリを射出している最中のみ発動でき、発動するたびにHPゲージの下にあるスキルゲージを消費する。スキルゲージはアカリをキャッチすると満タンまで戻るほか、杵で打ち返しても少量回復する。スキルはアカリをキャッチしている状態で切り替えが可能だ。
適切なスキルを使用することで、ステージの攻略がぐっと楽になる。特にボス戦においては、火を操る(火の宝珠を持つ)ボスとの戦いで水のスキルを使うと、ボスの攻撃を消しつつ大ダメージを与えられるなど、スキル間の相性もある。章をクリアするごとにスキルが増えていくことになるが、どの章から進めるかはプレイヤーの判断に委ねられている。相性のいいスキルを取れる順に攻略するのもポイントになる。
スキルで特に重宝するのが、アカリとシロの位置を入れ替える“日”のスキル。移動が困難な場所でも、先にアカリを飛ばしてある程度安全を確保した後、シロを一気に移動させることが可能。殲滅には着弾点で爆発する“火”が便利。地形に炎や溶岩などがある場所では“水”スキルで発生する泡を当てると、火を消したり溶岩を固めたりできる。スキルを使ったパズル的な要素もあるので、色々試してみると面白い。
本番は2周目。アクションゲームファンも満足の裏ステージ
宝珠は日月火水木金土の7つあり、全70ステージの攻略でクリアとなる。正直なところ、アカリを飛ばして適当にスキルを打っていれば道中はほとんど苦労しない。ブロック崩し風アクションゲームと言っても、シロがステージ外に落下することも、アカリがステージ外に飛んでいくこともないので、余程のことがないとミスにならない。また残機もどんどん増えていくので、ノーコンティニューでのクリアはかなり簡単だ。
しかし本作はここからが本番。クリア後には新たに“真月の章”が追加される。こちらも同様に日月火水木金土の7章立て、70ステージが用意されている。7つの宝珠を集めるという流れは同じだが、難易度は格段に上がっている。いわゆる2周目、裏ステージである。
道中には新たな敵を次々と生み出す石像のような敵があちこちに現れる。沸いて出てくる敵を倒していてもきりがないが、倒しながら進まないとシロがダメージを受けてしまう。杵で敵を攻撃することも可能だが、杵と敵や障害物が接触すると、シロはその反動で弾かれるように滑ってしまい、その先に敵や罠があるとダメージを受ける。敵が増えると次々に跳ねて操作不能になり、ダメージがかさみやすい。
そうなる前に慌ててアカリを呼び戻すのだが、近くの敵を倒そうとして杵を回していると、アカリを捕まえられない。アカリの動きが制御できず、敵をうまく倒せない……という悪循環に陥ってしまう。スキルも活用して、すばやく攻略することが求められる。アクション性がぐっと上がった印象だ。
もっと厳しいのがボス戦。基本は1周目と変わらないのだが、攻撃の苛烈さが増している。適切なスキルを使ってもそう簡単には攻略させてくれない。残機を削って攻略の糸口を探ることになる。特にラスボスは強力で、筆者も数十回トライしてようやくクリアできた。
ちなみに1周目をクリアすると、新たなプレイヤーキャラクター“クロ”を使用できる。基本操作は同じだが、シロよりもアカリの威力が高く、ジャンプがゆっくりになるなどの違いがある。プレイ感が変わるので、ちょっと違った気分でプレイを楽しめる。他にも各ステージ単位でクリアタイムを競うタイムアタックモードや、ステージエディット機能、サウンドテストなども解放される。
普通のブロック崩しは、球をステージ外に落としてはいけないというルールがあるが、本作はそういう点を気にせず、とにかく敵や障害物を破壊するのに集中できる。ブロック崩し風アクションゲームと銘打っているが、プレイ感はブロック崩しとは全く違う。素晴らしい爽快感と、パズル的要素が同時に楽しめる、ユニークなアクションゲームとなっている。140ステージ+αとボリュームもあり、変わり種ながら完成度も高い作品だ。
ソフトウェア情報
- 「投月兎 ~なげっと!~」
- 【著作権者】
- 稲荷ドロップ
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/8/8.1/10
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 432円(税込み)など(体験版あり)
- 【バージョン】
- 2.00(16/10/29)