週末ゲーム
第612回
“そら”を目指す少女達の冒険を描く2DアクションRPG「ゆりかごのそら」
スキルを自由に組み合わせられる爽快コンボアクション。描き込まれたドットアニメーションも魅力
(2015/9/25 11:00)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、2DアクションRPG「ゆりかごのそら」を紹介しよう。
なお、本作は有償の同人ゲームとして頒布されており、ダウンロード版およびパッケージ版が購入可能。作者サイトでは体験版も公開されている。
3人の少女が“そら”を目指して冒険を繰り広げるアクションRPG
「ゆりかごのそら」は、サイドビューのフィールドを探索しながら物語を進めていくアクションRPG。物語の主人公は、村はずれの森に母親と住む少女“クーニャ”。ある日『そらを見に行ってきます』と書き置きを残して姿を消してしまった母親を探すため、そして絵本で読んで憧れていた“そら”を見るため、クーニャは幼馴染みの“ナツメ”と共に旅立つ。
空の存在がおとぎ話となっており、光る石の恩恵を受けて人々が暮らす世界を舞台に、獣の耳やしっぽ、羽が生えたキャラクター達が登場する幻想的な世界観が特徴。一方で、“管理局”と呼ばれる建物に研究者らしき白衣の人物、樹海を汚染する謎のカプセルの残骸と、不穏な空気が漂っているのもシナリオ上のフックとなっている。
描き込まれたドット絵によるキャラクターのアニメーションも大きな魅力。走る、ジャンプ、攻撃といったアクションの手触りの良さに繋がっているほか、ダメージ演出も凝ったものとなっている。さらに、イベントシーンでは幼い少女らしく全身を使った感情表現も描かれ、なめらかな動きを繰り返すアニメーションを眺めているだけで和んでしまう。木々や小物など詳細に描かれた背景美術も見所だ。
村の周囲だけが世界のすべてだったクーニャとナツメがその世界を広げていく冒険譚としても楽しく、行く先々ではさまざまな出逢いが待ち受けている。旅先の街で助けたことからクーニャを『おねえちゃん』と慕う、背中に羽のある少女“トト”も仲間に加わり、少女達の旅は続いていく。敵と戦うのはクーニャひとりだが、ナツメとトトはそれぞれの持つ移動スキルでクーニャを助けてくれる。
豊富なスキルを自由にセットしてオリジナルコンボを組める爽快バトル
一見ふんわりとした雰囲気の本作だが、アクションは本格派。2つの攻撃ボタンと方向キーの上、下、横、ニュートラルの組み合わせに対し、計8つのスキルを自由に割り当てて使い分けることができる。スキルは発動後の隙を別のスキルでキャンセルでき、攻撃を当て続けることでコンボ数が上がりダメージも増えるなど、格闘ゲーム的な作りが特徴だ。
レベルアップで増えていくスキルはコンボ数を稼げる連続攻撃や一撃が重いもの、敵を打ち上げるものや対空技、敵との距離を一気に詰める移動技など効果もモーションも豊富。突進から敵を浮かせて連続技を叩き込む、発動前の溜めが大きい技は別の技で敵を怯ませてから使う……などなど、オリジナルコンボを編み出すのも醍醐味だ。
落下しながら敵を地面に打ち付ける“ドロップハンマー”は高い所から落ちるほど高威力など、スキルにはさまざまな特性もあり使い分ける楽しさに繋がっている。スキルごとの攻撃エフェクトも凝ったものが多い。
また、敵に攻撃を当てることで“テンション”が上がり、100%になると強力な“スペシャルスキル”を発動可能。スペシャルスキルもレベルアップなどで複数覚え、確実に周囲へダメージを与えるものや正面の敵をとらえる居合斬りなど、戦闘スタイルや状況によってセットし使い分けることができる。テンションは放っておくとすぐに下がってしまうので、いわゆる必殺技ゲージ的に温存するのではなく、乱戦やボス戦の最中でコンボを当て続け、文字通りテンションが高まった時に決め技として使うのが効果的で爽快感も高い。
敵はこちらを見つけると突進してくるもの、突然ジャンプするもの、さっと這い寄ってクーニャを丸飲みにしてしまうものなどさまざまな行動パターンがあり、これを見切って対空迎撃したり、距離を詰めるスキルで先制したりといった戦術もバトルのポイントとなっている。
アイテム探しが楽しいフィールド探索。ユニークな武器もたくさん登場
クーニャ達はストーリーの進行に応じて、森や洞窟、坑道などさまざまなフィールドを進んでいく。迷宮のように入り組んだマップやさまざまな仕掛けも待ち受けているが、さらにフィールド探索の楽しみとしては隠されたアイテムの探索もある。
フィールドを探索していると、一見どうやって行くのかわからない所や、何となく怪しいと感じる所がたくさんある。勘を働かせ、ナツメの移動スキル“クーニャをおんぶして急な坂を駆け上がる”やトトの移動スキル“クーニャを持ってしばらく浮遊する”も駆使し、道なき道や隠された宝箱を見つけるのも探索の醍醐味だ。
メインのゲーム進行自体は、同じフィールドを何度も行き来するような必要はほとんどなくサクサク進めることが可能。その一方で『何かありそう』と思った所にはたいてい何かがあるという作り込まれたマップ構成により、フィールドを隅々まで調べる楽しさに繋がっている。
こうして手に入るものも含め、装備できるアイテムは数十種類にも及ぶ。装備品は剣とアクセサリに分類され、それぞれ1つずつ装備することが可能。剣はバールやおろし金、ダンボールなど、剣かどうかという以前に『そもそもこれは武器なのか?』というユニークなものも多く、見た目に反映されるほか、攻撃範囲や攻撃速度も変わるため、さまざまなものを使ってみる楽しみがある。
装備品はお店でもその地域ごとのものが買えるほか、村や街の人々からの頼み事といったサブクエストを達成することでも貰うことができ、とにかく種類が豊富。アクセサリも複数のステータスが上がるもの、敵を倒した時のアイテムドロップ率が上がるものなど個性的なものが揃っており、状況に応じて使い分けたり、剣との組み合わせを試行錯誤するのも面白い。
アクション、探索、物語を存分に楽しめる王道的良作
旅を続けるクーニャ達はやがて世界の真実に触れ、中盤以降物語は大きく加速していく。母親の行方は、“そら”は本当にあるのか、そして徐々に明かされていく“ゆりかご計画”とは……。憧れを胸に抱き困難に立ち向かっていく素朴な少女達の姿と、ハードな所もありつつ、その先に希望も見える世界を存分に描いたシナリオも大きな見所だ。
公称プレイ時間は12~15時間ほどで、アクションRPGとしてはフィールドもシナリオもしっかりとしたボリューム感がある。アクションの腕に覚えがあるならどんどん進めていくのもいいし、レベルが上がりやすく鍛冶で剣を強化する要素などもあるため、あまり得意ではないという人でもじっくりやり込めば行き詰まることはまずないだろう。
手軽に爽快コンボを組めるアクションに、宝探しのような趣のある探索、魅力的なキャラクター達が紡ぐ物語と、2DアクションRPGの王道的な楽しさが詰め込まれた「ゆりかごのそら」。アクションRPGファンにはもちろん、キャラクターやストーリーは気になるけどアクションはちょっと自信がない……という方への入門としても、幅広くお勧めできる作品だ。
ソフトウェア情報
- 「ゆりかごのそら」
- 【著作権者】
- ノンリニア
- 【対応OS】
- (Windows 7以降推奨)
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 1,000円(税込み)ほか(体験版あり)
- 【バージョン】
- 003(15/09/10)