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第3回:ゲームで扱う数値のアレコレ(前編) (04/07/08)
第2回:ゲームの進行を管理するもの、フラグ (04/07/01)
・ 2004年6月 ・
第1回:条件分岐は、すべての動作の基本だ (04/06/24)

ツクールXPでおぼえるゲーム制作のイ・ロ・ハ
【第1回】

条件分岐は、すべての動作の基本だ

ゲームを作ってみたいと思ったことはありませんか?

(04/06/24)

ゲームを作ってみたいと思ったことはありませんか?

 すばらしいゲームに感動したとき、イマイチなゲームで腹が立ったとき、状況や心理は違っても『自分でゲームを作ってみたい』と考えたことがある人は多いと思う。だが実際には、何をどうしたらゲームを作ることができるか分からず、あきらめてしまう場合も多いのではないだろうか。ゲームを作るには、まずはその仕組みを知ることが必要だ。

 そこでこの連載では、RPG、アクション、シューティング、アドベンチャーなどなど、どんな種類のゲームでも基本となる仕組みを、3回に分けて説明していく。この仕組みをおぼえて、ゲームを作るためのはじめの一歩を踏みだそう。

ゲーム作りの救世主、“ツクール”シリーズ

 ゲームを作ろうとしたときに、まずぶつかる大きなカベが、プログラムの知識だ。このゲームを作る前の段階で挫折してしまう人たちも多いことだろう。


“ツクール”シリーズ
“ツクール”シリーズ
 
「RPGツクールXP」体験版
「RPGツクールXP」体験版
 そんなときに便利なのが、(株)エンターブレインからパッケージ販売されている“ツクール”シリーズだ。“ツクール”シリーズは、RPGや対戦格闘、シューティングやシミュレーションなど、数々の人気ゲームジャンルをカバーしている。

 たとえば“RPGツクール”では、マウスクリックでマップに木や建物を配置したり、ダブルクリックでモンスターとの戦闘イベントを作ったりと、あらかじめ用意されているキャラや背景、BGMや効果音などを組み合わせていくだけで、カンタンにゲームが作れる。

 この連載では、“ツクール”シリーズの最新作である「RPGツクールXP」を例に使用して、実際にゲームがどんな仕組みで動作するのかを見ていくことにするぞ。「RPGツクールXP」は体験版の配布が開始されているので、実際に触りながら記事を読んでもらうことをオススメする。

□RPGツクールXP(体験版のダウンロードページ)
http://www.enterbrain.co.jp/digifami/products/rpgxp/download.html

条件分岐は、すべての動作の基本だ

 さて前置きが長くなってしまったが、そろそろ今回のお題である“条件分岐”について説明していこう。

 条件分岐は、ゲームだけでなく、日常生活でも普段から行っている動作の1つだ。たとえば、友だちがキミに『ジュースをあげるかわりに頼みを聞いてほしい』と言ったとする。ここで、キミが『はい』と答えればジュースがもらえるが、『いいえ』と言うとジュースはもらえない。

条件分岐とは?

 つまり、ジュースがもらえるかもらえないかは、キミの返答が条件となり、結果が2とおりに分岐しているわけだ。このように、何らかの条件によって動作を分岐させることを、条件分岐と呼ぶ。

 これを、RPGの例として置き換えてみると、『困っている村人がいて、頼みゴトを聞くとアイテムをくれる』という感じだろうか。今まで遊んだゲームを思い返してみると、このようなシチュエーションの積み重ねでお話しが進行していたことに、きっと気づくはず。この条件分岐という仕組みが分かれば、ゲーム制作の“イロハ”の“イ”はマスターしたも同然だ。

主人公の選択によって分岐するイベントを作ってみよう

 それでは、先ほど例に挙げたような村人との会話を、実際に「RPGツクールXP」で作ってみよう。大まかな流れは、こうだ。

 草原の上に立っている村人に話しかけると、村人が『ポーションを差し上げますので、私の頼みを聞いていただけませんか?』と答える。そこで『はい』と返事をすればポーションが手に入り、『いいえ』ならばポーションは手に入らない。

『頼みを聞いていただけませんか?』
『頼みを聞いていただけませんか?』
[はい]     [いいえ]
『ありがとうございます!』   『そうですか……。』
『ありがとうございます!』   『そうですか……。』
 
ポーションが手に入る   ポーションは手に入らない
ポーションが手に入る   ポーションは手に入らない

 なおこの連載では、体験版を使った場合の手順で紹介しているぞ。

制作の流れ

まず最初に「RPGツクールXP」体験版を起動し、ツールバー左端の白紙型アイコンをクリックして、新規の“プロジェクト”(ゲームデータ)を作成しよう
木に囲まれた空き地のマップが表示されるので、[モード]メニューから[イベント]を選び、何も置かれていない空き地の真ん中あたりをダブルクリック
まず最初に「RPGツクールXP」体験版を起動し、ツールバー左端の白紙型アイコンをクリックして、新規の“プロジェクト”(ゲームデータ)を作成しよう 木に囲まれた空き地のマップが表示されるので、[モード]メニューから[イベント]を選び、何も置かれていない空き地の真ん中あたりをダブルクリック
“イベントの作成”ウィンドウが開いたら左端の“グラフィック”欄をダブルクリックし、新たに開くウィンドウから村人となるキャラクターを選ぼう
次に、会話開始の条件を設定する。今回は、主人公が村人に向き合い決定ボタンを押せば話せるように、ラジオボタンの“トリガー”は[決定ボタン]のままにする
“イベントの作成”ウィンドウが開いたら左端の“グラフィック”欄をダブルクリックし、新たに開くウィンドウから村人となるキャラクターを選ぼう 次に、会話開始の条件を設定する。今回は、主人公が村人に向き合い決定ボタンを押せば話せるように、ラジオボタンの“トリガー”は[決定ボタン]のままにする
いよいよ会話部分に取りかかろう。“実行内容”欄をダブルクリックすると開く“イベントコマンド”ウィンドウに、コマンドをどんどん入力していくぞ
まず[文章の表示]コマンドを選択し、ダイアログ上で“ポーションを差し上げますので、私の頼みを聞いていただけませんか?”と、村人のセリフを入力しよう
いよいよ会話部分に取りかかろう。“実行内容”欄をダブルクリックすると開く“イベントコマンド”ウィンドウに、コマンドをどんどん入力していくぞ まず[文章の表示]コマンドを選択し、ダイアログ上で“ポーションを差し上げますので、私の頼みを聞いていただけませんか?”と、村人のセリフを入力しよう
続いて[選択肢の表示]コマンドを選び、選択肢の文字列を設定する。今回、選択肢1と選択肢2はデフォルトのまま、“はい”と“いいえ”でOKだ
“実行内容”欄内に“[はい]の場合”“[いいえ]の場合”という表記が追加されるので、[はい]の真下にある“◆”という記号をダブルクリックしよう
続いて[選択肢の表示]コマンドを選び、選択肢の文字列を設定する。今回、選択肢1と選択肢2はデフォルトのまま、“はい”と“いいえ”でOKだ “実行内容”欄内に“[はい]の場合”“[いいえ]の場合”という表記が追加されるので、[はい]の真下にある“◆”という記号をダブルクリックしよう
すると“イベントコマンド”ウィンドウが現れるので、[はい]選択時に発生する処理を設定。まず[文章の表示]コマンドで“ありがとうございます!”と入力
次に、“ありがとうございます!”下側の“◆”をダブルクリックして[アイテムの増減]コマンドを選び、“ポーション”を1だけ増やすように設定
すると“イベントコマンド”ウィンドウが現れるので、[はい]選択時に発生する処理を設定。まず[文章の表示]コマンドで“ありがとうございます!”と入力 次に、“ありがとうございます!”下側の“◆”をダブルクリックして[アイテムの増減]コマンドを選び、“ポーション”を1だけ増やすように設定
今度は、[いいえ]選択時の処理を“[いいえ]の場合”の下に追加。こちらは[文章の表示]コマンドから、“そうですか……。”とセリフを入力するだけでOK
以上で設定は終了。ツールバー右端の[テストプレイ]ボタンを押し、動作を確認してみよう。[はい]と[いいえ]で、それぞれ異なるセリフが表示されるはずだ
今度は、[いいえ]選択時の処理を“[いいえ]の場合”の下に追加。こちらは[文章の表示]コマンドから、“そうですか……。”とセリフを入力するだけでOK 以上で設定は終了。ツールバー右端の[テストプレイ]ボタンを押し、動作を確認してみよう。[はい]と[いいえ]で、それぞれ異なるセリフが表示されるはずだ

次回予告

 ということで、第1回は終了。条件分岐については理解してもらえたかな? さて、今回試作したゲームをテストプレイしていると、ちょっと困った点に気づくはず。次回はその問題点を解消できる“フラグ”について説明するぞ。お楽しみに!


□RPGツクールXP(製品の紹介ページ)
http://www.enterbrain.co.jp/digifami/products/rpgxp/
□デジタルファミ通ホームページ
http://www.enterbrain.co.jp/digifami/
□窓の杜 - 【NEWS】エンターブレイン、“RPGツクール”の最新作「RPGツクールXP」の体験版を公開
http://www.forest.impress.co.jp/article/2004/06/22/rpgxptrial.html

(文:矢野 厚  イラスト:AQUATIC Design)


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