|
|
【第2回】
ゲームの進行を管理するもの、フラグフラグはゲームのマネージャー
(04/07/01)
ときどき見かける(?)フラグの話
インターネットのチャットルームで、こんな調子の会話を見ることがある。B君は上記の会話で、『“知り合いフラグ”を立てる』を『知り合いになる』という意味で使っている。だが、唐突に“フラグ”と言われても、困ってしまう人の方が多いのではないだろうか? “フラグ”は英語の“flag”、つまり旗のことだ。しかし、これをさっきの会話にそのまま当てはめると『旗を立てる』となり、さっぱり意味が分からない。それもそのはず、この会話で使われているフラグとは、ゲームなどのプログラムで使う専門用語なのだ。
フラグとは、条件分岐のきっかけとなる“スイッチ”であるフラグは、前回で説明した“条件分岐”に勝るとも劣らぬ、ゲームの重要要素だ。簡単に説明すると、フラグとは、条件を満たしたかを判定するON/OFFスイッチのようなもの。プログラムは、フラグがONなのかOFFなのかをチェックし、イベントを発生させるかどうかを決める。前回の条件分岐では、自分の選択が条件となり、その後の展開が分かれた。しかし今回学ぶ“フラグ”では、フラグのON/OFFが条件となり、ユーザーは選択しなくても展開が2とおりに分岐するわけだ。
先ほどのA君の体験を借りて、条件分岐とフラグの例を出してみよう。まずは前回 の条件分岐に当たる部分から説明する。 女のコがお礼の挨拶をした場面で、女のコの連絡先を聞けば、女のコとメールアド レスを交換することができる。だが、何も尋ねなければ、女のコのメールアドレスは 手に入らない。 キミの行動が条件となり、結果が2とおりに分岐した。これはまさしく、前回説明 した条件分岐に当たるよね? そしてこの先が、今回覚えてほしい、フラグによる条 件分岐の説明だ。 数日後、ケータイを落とした女のコが、『合コンに呼べる男のコの知り合い、いな い?』と友人に尋ねられたとする。メールアドレスを交換していれば、キミのことを 思い出し、キミ宛てに合コンの誘いを送るかもしれない。しかし、キミとメールアド レスを交換していなければ、女のコは『呼べそうな知り合いはいないなぁ』と友人に 答え、それっきりだろう。 つまり、女のコの身に“男性の知り合いが必要だ”というイベントが発生したとき に、“メールアドレスの交換”というフラグがONになっていれば、キミのもとに誘い のメールが届く。反対にフラグがOFFならば何も届かない。以上が、フラグを使った 条件分岐の例だ。 ゲームでは多くの場合、何かのイベントに出くわしたり、何かのアイテムを手に入 れたりすることで、フラグがONになる。ちなみにプログラムの世界では、フラグが OFFからONになることを、本物の旗になぞらえて“フラグが立つ”と表現するぞ。 フラグは1つだけでなく、複数使用するのが普通だ。1つ目のフラグが立ったらイベン トを起こし、そのイベントが終わったら2つ目のフラグを立てる、という具合にイベン トを順序よく並べていくことで、物語は進展していく。いわば、フラグこそがゲーム の進行を管理する“マネージャー”なのだ。 さて、もう1度冒頭のA君・B君の会話を見直すと、B君は『女のコの連絡先を聞いて 知り合いになっておけば、何か新しい進展があったのかもしれないのに』とA君に忠 告していたことが分かる。つまり、日常の出来事をゲームの攻略風に話していたわけ だ。
フラグはこんな使い方をするここで、前回「RPGツクールXP」で作ったイベントを思い出してほしい。“村人の 頼みを聞くとポーションがもらえる”というものだったが、テストプレイして気づい たことはないだろうか? そう、何回話しかけても、村人が同じことしか言わないの だ。つまり、頼みを聞く方の選択肢を選べば、何度でもポーションがもらえてしまう ことになる。これはおかしいよね?このような場合には、フラグを使えばいい。まず、ポーションをもらったときに、 “ポーションをもらった”というフラグを立てるようにする。そして、このフラグが 立っている場合は、会話の内容を別のものに変えるのだ。
ゲームの進行によって、会話の内容が変わるイベントそれでは、村人との会話イベントを再び「RPGツクールXP」で作ってみよう。大まかな流れは、こうだ。
草原に立っている村人に頼みごとをされ、『はい』と答えるとポーションがもらえる。ポーションをもらった後にもう一度村人へ話しかけると、今度は村人のセリフが『頼みを聞いていただき、ありがとうございました。』に変化する。
今回のイベントは、前回の改良だ。まずは、前回の手順を参照して、ポーションをもらうところまでイベントを作ってほしい。今回は、その続きからの手順を説明するぞ。ちなみに、「RPGツクールXP」ではフラグのことをそのまま“スイッチ”と呼ぶ。
制作の流れ
次回予告さてみんな、“フラグを理解した”というフラグは立ったかな? 条件分岐とフラグさえ分かれば、ゲーム制作の“イロハ”をマスターするまであと一息。次回は最終回。今回のフラグからさらに一歩進んだ“変数”について説明するぞ。お楽しみに!
□RPGツクールXP(製品の紹介ページ) (文:矢野 厚 イラスト:AQUATIC Design) |
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トップページへ ツクールXPでおぼえるゲーム制作のイ・ロ・ハINDEX へ |