【第25回】
複数タイムラインの閲覧に最適なTwitterクライアント「TweetDeck」
モバイル環境での使い勝手に優れたユニークなインターフェイスも魅力
(10/10/27)
スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”用アプリのライブラリサービス“Androidマーケット”(以下、“マーケット”)には、日々すばらしいアプリが次々と登場している。しかし現在のマーケットは人気アプリや定番アプリにたどり着くための仕組みが弱く、大量のアプリを前に途方にくれてしまう場面も多い。そこで『杜のAndroid研究室』では、さまざまなテーマに沿って窓の杜スタッフが厳選したアプリを紹介していく。今回は、定番Twitterクライアント「TweetDeck」のAndroid版を取り上げ、同ソフトの魅力に迫る。
複数のアカウントやサービスを効率的にチェック
今回紹介する「TweetDeck」は、WindowsやMacにiPhoneと複数のプラットフォームで展開しているTwitterクライアントのAndroid版だ。Twitterに加え“Facebook”“Google Buzz”“Foursquare”といったSNSにも対応し、Twitterに関しては複数アカウントの利用も可能となっている。「TweetDeck」の専用アカウントにも対応しており、これを利用することでデスクトップ版などで登録済みのアカウント情報を利用する仕組みが提供されているため、Android端末上で複数のアカウント情報を入力する手間を省くこともできる。
対応する各サービス、およびアカウントの更新情報は仮想的に横並びに配置されており、左右フリックですばやく切り替えて閲覧できるのが最大の魅力。また、各サービスのメインのタイムライン(サービスごとに名称は異なる。以下、TL)をミックスして表示する“Home”と、同じく各サービスの自分宛て返信やコメント、評価、自分の投稿が公式リツイートされた場合の通知などを一括して表示できる“Me”という2種類の画面が用意されているのも便利だ。
各サービスへの対応状況はTwitter関連が最も充実しており、複数アカウントへの対応のほか、各ユーザーのプロフィールやフォロワー一覧の表示、リストなど、Twitterの主要な機能は一通り完備。その他のサービスでは、メインのTLを取得して、TL上で投稿やコメントの追加、評価といった各種サービスのもつ独自機能を利用する形にとどまる。
一方、投稿に関しては各サービスごとの投稿画面ではなく共通の投稿画面を利用する仕組みになっており、画面上部に並んだ各サービスのアイコンをタップすることで、簡単に投稿先を選択できる。もちろん複数サービスへの同時投稿も可能だ。
以降本記事では、本アプリの主要機能であるTwitterに的を絞って紹介していく。
さまざまな画面を自由にカラム登録し、すばやく表示切り替え
先ほど簡単に触れたように、「TweetDeck」ではメインのTLやダイレクトメッセージ(DM)といった各種画面を、左右フリックですばやく切り替えて閲覧できるユーザーインターフェイス(UI)を採用している。これらの画面のことを本アプリでは“Column(カラム)”と呼んでおり、さまざまな画面を自由にカラムへ追加していくことが可能だ。
たとえば、自分やほかのユーザーのプロフィール画面から開けるフォロー先一覧やお気に入り、リストといった各種画面の下には[Add Column]というボタンが用意されており、これをタップするだけで各種画面を簡単にカラムとして追加できる。
ほかにも、画面下の[+]アイコンをタップすることで、自分のアカウントのメインTLや返信、DM、お気に入りといった主要画面や、作成済みリスト、フォロー済みリスト、TwitterのWebインターフェイスで保存した検索結果などをカラムとして追加できる。さらに、キーワードによるTwitter検索を行い、検索結果をそのままカラムとして追加するといったことも可能となっている。
また、複数のアカウントやサービスにまたがって自由にカラムを追加できるので、利用するアカウントやサービスをいちいち切り替えることなく、シームレスに利用できるのも魅力だ。
各カラムごとに通知方法や更新チェック間隔の設定が可能
端末のメニューボタンからメニューにアクセスして[Column Settings]を選択することで、現在表示中のカラムに関する設定を編集できる。これを利用することで、各カラムごとに更新チェックの間隔や、通知の有無、着信LEDや通知音、バイブレーションの設定といった、通知方法を詳細に指定できるので、たとえばメインのアカウントでは返信とDMを通知音とLEDで、サブのアカウントではDMだけをLEDのみで通知するといった柔軟な運用が行える。
モバイル用途を考慮したユニークなアイデアを詰め込んだUI
「TweeetDeck」のもう1つの特徴が、モバイル環境で快適に利用するための工夫が凝らされたユニークなUIを備えていることだ。
まず、TLに表示する情報量を絞ってその分標準のフォントサイズを大きくしたり、ツイートの詳細画面や投稿画面、プロフィール画面といった各種画面には大きく押しやすいボタンが並ぶなど、モバイル環境での見やすさ、操作のしやすさを考慮した画面デザインが目につく。
その一方で、TL上に各ツイートの発言時刻が表示されていないなど表示する情報の取捨選択も目立つが、TL上のツイートのタップで表示されるツイート詳細画面の情報量は比較的豊富になっており、発言時刻を表示するほか、返信での会話の流れをチェックしたり、投稿画像や、ツイートに埋め込まれたジオタグをもとにした地図をインラインで表示できる。地図表示では、自分の現在位置から地図上で表示された地点への所要時間が表示されるのもユニークかつ便利な機能だ。
また、投稿関連の機能も「TweetDeck」ならではのユニークなUIが採用されている。まず、URLの短縮だが投稿画面に専用のボタンが用意されていないため、投稿画面上でURLを入力したり貼り付けた場合はURLを短縮できないが、Androidのインテント機能を利用してほかのアプリから「TweetDeck」にURLを渡した場合は、“bit.ly”を利用して自動的にURLが短縮される。
さらに、リツイートにおいてもツイートの詳細画面にあるボタンを押すと投稿画面に元投稿がグレーの文字で表示され、このまま投稿を行うことで公式リツイートとなるが、ここで文字入力欄内部をタップすると文字が白に変わり編集可能となるとともに、発言の先頭に“RT @ユーザー名”が追加され、いわゆる“非公式RT”となる仕組みだ。
画像の投稿関連については、動画の投稿に対応しておらず投稿サービス自体も“yfrog”のみに限定されているが、画像投稿時のツイートの内容がyfrog側にもコメントとして反映されるのはうれしいポイントと言えるだろう。
またTL画面上でも、画面スクロールに応じて画面のトップ位置にあるツイートの発言時刻をアプリのタイトルバー領域に表示するといった、情報量を補うための工夫がされている。このタイトルバー領域をタップすることでTLの先頭へジャンプでき、この状態でさらにタップすることでTLの更新操作となるのもスマートだ。
このほかにも、画面右端にはスクロールバー風のバー表示が用意され、バーの長さで現在の表示位置を感覚的に把握できるほか、色の違いで未読の有無を判断できる機能なども用意されている。
“Foursquare”の施設情報をTwitterでも活用できる位置情報関連機能
「TweetDeck」では、複数のSNSサービスに対応し、投稿画面が1つに統合されていることはすでに紹介したが、このおかげで位置情報に関するユニークな機能が利用できる点にも注目したい。
本アプリは現在位置の情報をジオタグとしてツイートに埋め込む機能を備えているが、このとき現在位置のほかに、位置情報を共有するSNS“Foursquare”に登録された周辺施設などの位置情報を利用できる。この位置情報はTwitterを含むほかのサービスへ投稿する際にも利用できるため、現在いる店舗に関して言及したい場合や、プライバシー上の問題から正確な現在位置は伏せたい場合などに活用できるだろう。
アドレス帳機能やウィジェット機能も搭載
このほかにも、頻繁にメッセージをやり取りする相手を4×3枚のタイル状に配置されたアイコン画面に登録し、ワンタップでプロフィール画面を呼び出してそこから返信やDMを送れるアドレス帳機能や、3種類のウィジェットも用意されている。
なお、ウィジェットに関しては投稿用ウィジェットを除き、Android 2.1以降の対応となっている点には注意が必要だ。
複数のサービスやアカウントを横断的に利用したい人にお勧め
ここまで紹介してきたように、「TweetDeck」は複数のサービス、アカウントの情報を自由に横並びに配置して、左右フリックだけで次々と切り替えて表示したり、これらのサービスでの自分への返信を一括で管理したり、1つの投稿画面から複数のサービスへ取捨選択して投稿できるなど、複数のサービスとアカウントを横断的に利用できるのが魅力的だ。
反面、UIが非常に独特なため、ほかのクライアントアプリから移行した直後はなじめないと感じる人も多そうだ。しかしながら、その独特な部分もほかのアプリのUIと比較さえしなければどれも非常に合理的で、使い慣れてしまえばかえって便利に感じられる可能性も高い。
複数のサービスやアカウントを併用しているヘビーユーザーはもちろん、現在利用しているアプリの操作が複雑でシンプルなアプリを探しているという人にもお勧めできるアプリと言えそうだ。
お詫びと訂正:記事初出時、URL短縮および“非公式RT”機能は搭載されていないと記載しておりましたが、URL短縮に関しては任意の操作による短縮機能はないものの、別アプリからURLを渡された場合は自動で短縮する仕組みを備えており、また非公式RTについても特定の操作を行うことで利用できることが判明しました。お詫びして本文を訂正いたします。(10/10/29)
- 【著作権者】
- TweetDeck, Inc.
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.1